睡眠のメカニズムと睡眠関連疾患の主な発症要因

正常な睡眠サイクル

睡眠には、心と体を休息させるという重要な役割があります。そのため、睡眠時間が不足したり、質のよい睡眠が取れなくなったりすると、日常生活でさまざまな問題が生じる可能性があります。
正常な睡眠とは、毎晩同じ時間に眠くなり、朝になると同じ時間に目が覚めるという一定のサイクルを繰り返すことです。このサイクルを維持するために体内ではさまざまな機能がはたらいています。
ここでは、夜に眠くなる仕組みと睡眠中の脳や体の状態について解説します。

夜に眠くなる仕組み

人が眠くなるのには、“睡眠欲求”と“覚醒力かくせいりょく”という2つのシステムが関わっています。睡眠欲求とは体が眠りを求めることであり、疲労がたまる(起きている時間が長くなる)ほど強くなります。一方、覚醒力は目覚めさせる力のことを指し、体内時計に合わせて動いています。

出典:厚生労働省e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html

上の図のように、日中は起きている時間の経過とともに睡眠欲求が高くなりますが、同時に覚醒力も高まっていきます。そのため、私たちは日中眠くならずに活動することができます。しかし、就寝する1~2時間前になるとメラトニンというホルモンが分泌され、覚醒力が自然と弱まります。これにより、夜になると眠りにつくことができます。
メラトニンは日の光によって分泌量が調整され、夜暗いところで増えていきます。

睡眠中の脳や体の状態~レム睡眠とノンレム睡眠~

睡眠中、人間の脳と体は同時に休んでいるわけではなく、体を休める“レム睡眠”と、脳を休める“ノンレム睡眠”をおよそ90分間の周期で複数回繰り返しています。一般的に睡眠の前半は、深いノンレム睡眠を多く取って脳をしっかり休め、その後は起床に向けて浅いノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返し、心身の回復を図っています。
レム睡眠では脳は活発に動いていますが、手足などの体の筋肉はゆるみ、脱力しています。一方、ノンレム睡眠中には脳は休息状態ですが、体の筋肉の緊張は維持されています。

睡眠関連疾患の主な発症要因

上記で説明した睡眠サイクルが乱れたり、レム睡眠時やノンレム睡眠時に問題が生じたりすると、睡眠関連疾患の発症につながることがあります。ここでは、睡眠関連疾患の発症要因についておおまかに説明します。
なお、発症要因が明らかになっていない睡眠関連疾患(特発性過眠症や睡眠関連運動障害など)もあります。

睡眠サイクルの乱れ

夜に眠くなり、朝になると目が覚めるという睡眠サイクルが乱れてしまうと十分な睡眠が取れなくなり、不眠症や概日リズム睡眠・覚醒障害などの睡眠関連疾患の発症につながることがあります。その一因として、ストレスや不安、不規則な生活などが挙げられます。
また、不規則な生活を送るようになると、メラトニンが増えるべきタイミングに分泌が行われず、眠りたいのに眠れない(体内時計が眠る時間と判断していない)という状態になる可能性があります。

レム睡眠・ノンレム睡眠時の問題

通常、レム睡眠中の手足の筋肉は脱力した状態、ノンレム睡眠中の脳は休息している状態にあります。それに反した動きが起こってしまうことが睡眠関連疾患の原因になると考えられます。たとえば、レム睡眠中にもかかわらず筋肉を動かせることでレム睡眠行動障害に、ノンレム睡眠中に脳が覚醒してしまうことが睡眠時驚愕症すいみんじきょうがくしょうなどにつながります。
睡眠関連呼吸障害では、睡眠中に呼吸が止まったり弱まったりすると、脳が危険を察知して中途覚醒を繰り返すため睡眠が妨げられます。それによって、日中の眠気などを引き起こすといわれています。

睡眠関連疾患による症状かも? と思ったら
睡眠関連疾患を疑う症状があるか、まずはセルフチェックをしてみましょう。自覚症状に加えて、ご家族や同居している方から指摘されたことがある項目があれば、チェックを入れてください。
気になる症状があれば、睡眠関連疾患の診療を行っている病院に相談しましょう。
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睡眠に関する問題がある場合は、まずは生活習慣の改善を行うことが大切です。生活習慣を見直しても症状が改善しない場合には、睡眠関連疾患を診療している病院に相談し、薬物治療をはじめとする適切な治療を受けることをおすすめします。
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