比企地域の医療を支える
埼玉成恵会病院

地域の中核的な病院として、
地元で完結できる泌尿器科医療を
近年、高齢化の影響により前立腺肥大症など泌尿器科疾患でお悩みの患者さんは増加しています。一方で、当院が位置する比企地域においては、専門的な治療や手術に対応できる泌尿器科の病院が少ないという課題がありました。
地域にお住まいの皆さんが、遠方の病院へ足を運ぶことなく、住み慣れた地元で安心して治療を受けられる環境を整えるべく、当院ではこのたび泌尿器科の医師を常勤として迎え入れ、泌尿器科の診療体制を強化いたしました。
私たちが目指すのは、前立腺肥大症や尿路結石症といった幅広い泌尿器科疾患に対し、1つの窓口で検査から治療までを切れ目なく提供できる体制です。さらに、救急患者さんをより多く速やかに受け入れられるよう、病床数の増床も計画しています。

写真:PIXTA
充実した診療体制で、患者さんの健やかな日常をサポートする
当院はもともと整形外科・手外科を中心とした医療を提供してきた背景があり、その後、地域のニーズに合わせて内科や消化器外科などの診療体制を拡充してまいりました。そして今回の泌尿器科の体制強化により、当院の総合的な強みがさらに生かせるようになりました。
たとえば、背骨(脊椎)の病気を抱える患者さんは、頻尿などの排尿トラブルを合併することが少なくありません。症状の原因が前立腺などの泌尿器にあるのか、あるいは脊椎の神経にあるのか判断が難しいケースでも、整形外科と泌尿器科が密に連携して原因を見極め、患者さんの状態に合った治療を迅速に提供することが可能です。
さらに、当院では人間ドック*も実施しており、血液検査で前立腺がんのサインとなるPSA(腫瘍マーカー)の異常が見つかった際には、すぐに当院の泌尿器科をご案内し、早期発見・早期治療につなげることも可能です。
排尿のお悩みは毎日の生活の質(QOL)に直結します。少しでも気になる変化がありましたら、決して我慢しすぎずお気軽に当院へご相談ください。
人間ドックについては自費診療です。費用:人間ドックコース 38,000円(税抜)
埼玉成恵会病院における
泌尿器科の医療体制/
尿路感染症・前立腺肥大症・
尿路結石症の治療
泌尿器科の医療体制
検査から治療まで、切れ目なく完結できる“ワンストップ”の体制を目指す

写真:PIXTA
「トイレが近い」「尿が出にくい」「血尿が出た」「脇腹が急に痛くなった」――こうした症状は、同じ“尿の悩み”でも、その背景には前立腺肥大症や尿路感染症、尿路結石症、あるいは悪性腫瘍など、さまざまな病気が隠れている可能性があります。そのため、泌尿器科の診療においては、最初の相談から必要な検査、診断、治療方針の決定、そしてその後のフォローまでを、できるだけ切れ目なく進められることが非常に重要です。
そこで当院が目指しているのが、患者さんが不安を抱えながら複数の医療機関を行き来することなく、1つの窓口で診断から治療までをきっちりと行える“ワンストップ”の体制です。良性疾患に対するお薬の治療はもちろん、レーザーを用いた前立腺肥大症の手術(HoLEP)や尿路結石の破砕術(TUL)、さらには包茎や陰嚢水腫の手術、前立腺がんの生検など、泌尿器科全般の幅広い診療において、地域のニーズを考慮しながら積極的に対応していく方針です。
総合病院の強みと、地域とのシームレスな連携体制を生かして患者さんを支える
当院は、比企地域において二次救急を担う急性期病院であり、複数の診療科を備えています。この環境は、泌尿器科の病気のみならず、患者さんの持病や全身状態も含めて総合的に診療していくうえで大きな強みとなります。ご高齢の方や複数の病気を患っている方に対しても、必要に応じて一般内科や消化器外科などの他科と連携することで、安全かつ安心いただける医療の提供に努めています。
また、地域のクリニックの先生方との連携も大切にしています。クリニックの外来で異常が見つかった際には当院で専門的な検査や手術などの治療を行い、状態が落ち着けば再び元のクリニックでお薬を出していただくといった連携を取りながら、地域全体で患者さんをサポートする体制を敷いています。もし当院での治療が難しい大きな悪性腫瘍などが見つかった場合には、速やかに近隣の大学病院などへ適切にご紹介する体制も整えています。
「手術が怖い」という方も、まずは気軽にご相談を

「手術になったら怖い」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。当院ではいきなり体への負担が大きな治療をおすすめするようなことはありませんので、ご安心いただければと思います。まずは原因を見極め、薬物療法から体への負担が少ない低侵襲な手術まで、患者さんの状態やご希望に合った選択肢をしっかりと提示し、一緒に治療方針を考えていくことを基本としています。
泌尿器科の症状は、つい受診を躊躇ってしまう方も多いものですが、尿の悩みは毎日の生活の質に直結する大切な問題です。少しでも気になる変化や、お困りの症状がありましたら、我慢しすぎずにどうぞお早めにご相談ください。「どこに相談すればよいか分からない」という段階でも、地域の皆さんの窓口として頼っていただけるよう、全力を尽くしてまいります。

尿路感染症の診療
重症化することも――いつもと違うと感じたら軽視せず一度受診を
尿路感染症は、尿管や膀胱、尿道といった尿の通り道に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。大きく分けると、膀胱炎や前立腺炎などの“下部尿路感染症”と、腎盂腎炎などの“上部尿路感染症”に分類されます。下部尿路感染症は排尿痛や残尿感、頻尿などの症状が現れますが、気に留めず見過ごしてしまう方も少なくありません。しかし、感染が上部に及んで腎盂腎炎を引き起こした場合、高熱や背中・脇腹の痛み、強いだるさなど全身の症状が現れます。尿路感染症は決して珍しい病気ではありませんが、腎臓や前立腺に感染が生じた場合は、敗血症など重症化するリスクが高いため注意が必要です。

イラスト:PIXTA
特にご高齢の方は典型的な排尿痛が現れにくく、「なんとなく元気がない」「食欲がない」といった変化をきっかけに見つかるケースもあります。急にトイレの回数が増えたり、排尿痛や血尿が出たりした際は、突発的な感染も疑われます。背中の痛みや震えを伴う発熱は急を要するサインです。夜間に熱が出た場合でも、「きっとただの膀胱炎」「明日まで待とう」などと先延ばしはせず、すぐに受診いただきたいと思います。
根本的な原因を探る診断と、一人ひとりに合わせた治療を提供
当院の診療では、まず症状の経過を丁寧にお伺いし、基本となる尿検査を行います。尿の中に炎症を示す白血球が出ていないか、細菌が紛れ込んでいないかを確認します。感染が疑われる場合には、超音波(エコー)検査へと進み、腎臓や前立腺の状態を確認します。
尿路感染症は、単に細菌が入っただけでなく、その背後に「残尿が多い」「気付かない間に結石が生じていて、そこに菌が繁殖している」といった原因が隠れていることが少なくありません。検査の結果、結石や前立腺肥大症といった病気が見つかった場合は、まず感染症を治療した後に、その根本原因に対する専門的な治療を進めていきます。エコー検査で原因が見当たらなければ、培養検査で菌の種類を調べ、速やかに適切な抗菌薬による治療を開始します。「なぜ感染したのか」「繰り返さないためにはどうすべきか」を徹底的に見極めることを重視しています。
診療科の垣根を越えた連携で、尿路感染症の総合的な診療を実践
当院は、比企医療圏において二次救急指定病院としての役割を担っており、泌尿器科だけでなく、一般内科や消化器外科など、複数の科が連携できる総合的な診療体制を備えています。この総合力が、尿路感染症の診療においても大いに生かされます。
たとえば、腎盂腎炎や前立腺炎でご来院される患者さんは、入院での治療が必要になるケースが多くみられます。さらにご高齢の患者さんの場合、糖尿病などの基礎疾患が悪化してしまっていることも少なくありません。そのような場合でも、必要に応じて内科などと連携を図り、病院全体で患者さんの全身状態に配慮しながら治療を進められる体制を整えています。
先述のとおり、尿路感染症は放置すると全身状態を急激に悪化させることもあります。尿の症状は少し相談しづらいものですが、「これくらいなら様子を見てもいいかな」と思うような症状でも、実際には治療のタイミングが大切なことが多くあります。お困りの排尿症状があれば、決して我慢せずお気軽に当院へご相談ください。

前立腺肥大症の診療
尿の勢いの低下や夜間頻尿は受診のサイン――我慢せずまずは受診を
前立腺肥大症は、男性特有の臓器である前立腺が加齢とともに少しずつ大きくなり、尿道を圧迫する病気です。初期の頃は「若いときと比べて尿の勢いが弱くなった」「出始めるまでに時間がかかる」「排尿後もスッキリしない」といった変化が現れます。そして肥大が進むと、 “夜間頻尿(夜中に何度もトイレに起きること)”が生じるようになります。

イラスト:PIXTA 加工:メディカルノート
こうした排尿のトラブルは、昨日今日で急に起こるものではないため、「年のせいだから仕方ない」と放置されてしまうことが少なくありません。しかし、夜間に何度もトイレに起きるようになれば睡眠不足につながったり、外出先でトイレが気になって活動が制限されたりすることもあり、生活の質は大きく下がってしまいます。また、前立腺肥大症は単に不便なだけでなく進行すると、まったく尿が出せなくなる“尿閉”になったり、膀胱や腎臓の機能を低下させたりすることもあります。数年前と比べて明らかに尿の出方が変わってきたと感じたとき、あるいは夜間頻尿が気になり始めたときには、一度泌尿器科へご相談いただきたいと思います。
一人ひとりの症状に寄り添い、納得のいく治療に努める
排尿のトラブルには、さまざまな原因が考えられます。当院ではまず症状を詳しくお伺いしたうえで、尿検査や超音波(エコー)検査を行い、前立腺の大きさや残尿量を把握します。また、前立腺がんの場合も似たような症状が現れるため、がんの可能性を確認するため、採血によるPSA検査も併せて行います。

診療においては、「前立腺が大きいかどうか」だけではなく、その方が何に困っているのか、どこまで生活に影響しているのか、合併症がないかを総合的に診ることが重要であり、当院では患者さんとの対話と信頼関係を何よりも大切にしています。良性疾患ということもあり、治療においてははじめからいきなり手術をおすすめするようなことはほとんどありませんのでご安心ください。まずは内服薬による治療や、水分摂取のタイミングを見直すといった生活指導からスタートします。一般的に、多くの方は薬の治療で症状が落ち着きますが、前立腺が膀胱の中へ大きく突出するように肥大している方など、薬の効果が十分に得られない場合には、手術も視野に入れながら治療方針を検討していきます。
根本的かつ体への負担を抑えるレーザー治療「HoLEP」
お薬でのコントロールが難しくなった患者さんに対して、当院では“HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)”という手術を導入する予定です。従来の肥大した前立腺を削り取る手術(TUR-P)とは異なり、内視鏡からレーザーを照射し、肥大した前立腺の組織を周りから丁寧に剥がしていく治療法です。みかんの皮を残して、中身だけをくり抜くようなイメージをしていただくと理解がしやすいかもしれません。前立腺の大きさにかかわらず基本的には1回の手術で根本的な改善が見込めるため、ご高齢になってからの再発や再手術といった将来の不安を軽減できるのが大きなメリットです。

手術による入院期間は4泊5日を予定しています。退院後2〜4週間ほどは、尿の通り道にできた傷の影響で一時的に頻尿や血尿が出ることがありますが、これは正常な回復の過程ですのでご安心ください。その期間を過ぎれば、特に制限なく過ごしていただけます。
先述したとおり、排尿症状の背景に前立腺がんなどが隠れていることもありますし、早い段階で発見できれば、より負担の少ない治療の選択肢も検討可能です。年齢とともに起こりやすい病気ですから、気になる症状がある方はどうか恥ずかしがらずに一度ご来院いただければと思います。

尿路結石症の診療
再発しやすい病気――まずは生活習慣の改善を

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尿路結石は、尿の中に含まれるカルシウムやシュウ酸、尿酸などの成分が結びついて結晶化し、少しずつ大きくなって石のようになる病気です。砂状の結石が腎臓の中に留まっている初期のうちは、症状が出ないことがほとんどです。しかし、それが尿管に落ちてきて尿の流れを塞いでしまうと、背中から脇腹、下腹部にかけて突然の激痛が走ります。痛みには波があり、一度引いても再び痛むということを繰り返します。さらに、石が動いて尿路を傷つけることによる血尿や、腎臓の圧が高まることで吐き気や嘔吐を伴う方もいらっしゃいます。
結石ができる原因は体質や薬剤によるものもありますが、成人男性の場合は食生活など生活習慣が背景にあることが多く、一番の予防は水分をしっかりと取っていただくことです。結石は一度できると再発しやすい病気でもありますので、「以前も自然に出たから」と軽く考えず、血尿や背中の違和感といったサインを見逃さずに早めにご受診いただくことが大切です。
一人ひとりの状態を見極め、適切な治療介入のタイミングを判断
結石が見つかったからといって、全ての方がすぐに手術になるわけではありません。結石の大きさが5mm以下であれば、多くは自然に排出されるため、感染などを伴っていなければ、まずは水分を多めに取りながら経過観察を行います。
当院では、X線検査で石の場所を確認したうえで、超音波(エコー)検査を行い水腎症(腎臓が腫れ上がっている状態)が生じていないかを評価します。もし水腎症がなく、痛みが落ち着いていれば2〜3週間後に再検査を行います。しかし、自然に排出されるのを待って1か月、2か月と経過してしまうと、腎臓へ大きな負担がかかり、滞った尿に細菌が繁殖して腎盂腎炎などの重篤な感染症を引き起こすリスクが高まります。そのため、石が見つかって一定期間が経過しても排出されない場合や、初診時から水腎症による腎臓への負担が強く疑われる場合には、早めの手術をご提案しています。
レーザーを用いた体への負担が少ない結石破砕術(TUL)
手術が必要となった患者さんに対して、当院では内視鏡とレーザー機器を用いて直接結石を砕く低侵襲な治療“TUL(経尿道的尿路結石破砕術)”を導入する方針です。

一昔前は、体の外から衝撃波を当てて石を割る治療が主流でした。しかしこの方法では、結石によっては十分に割れなかったり、複数回の治療が必要になったりすることがありました。当院で導入予定のレーザー破砕術では、尿道から細い内視鏡を挿入し、モニターで結石を直接確認しながらレーザーを照射します。これにより、結石を砂状に砕き、自然な排出を促すことを目指します。衝撃波による治療が効きにくい方や、寝たきりなどで体勢を取るのが難しい方にも安全性に配慮して治療を行うことができます。

エダップテクノメド株式会社ホームページより画像提供
結石の治療は、お薬などで自然な排出を待つ保存療法から、こうした内視鏡を用いた治療まで多岐にわたります。当院ではただ痛みを取るだけでなく、「腎臓を守る」「再発を防ぐ」という視点を大切にし、患者さん一人ひとりの状態に合った治療の選択肢をご提案いたします。背中の違和感や血尿といったサインに気付いた段階でご相談いただければ、体への負担を抑えた治療方針も検討可能です。痛みの強さだけで判断せず、少しでも気になる症状があれば、どうぞお早めにご相談ください。

- 公開日:2026年10月27日

