埼玉県東松山市にある埼玉成恵会病院は、比企医療圏で2次救急を担う地域の外科的中核病院です。
かかりつけ医でありながら、急性期医療や手外科・関節外科・脊椎外科・消化器外科・循環器内科を含む生活習慣病診療など専門性の高い医療を提供している同院が地域で果たしている役割について、理事長で院長の長谷川 岳弘先生にお話を伺いました。
当院は1969年に東松山整形外科医院として開設されました。1977年に現在の場所に新築移転し、1983年の第一期増築に合わせて埼玉成恵会病院に改称しています。その後は、2005年に介護福祉部門の成恵ケアセンターを新築移転、2012年に外来棟、リハビリ棟と福利厚生棟の新築、2020年に看護小規模多機能型居宅介護を行うかんたき クオーレ成恵を開設するなど、診療機能を中心に体制を強化してきました。
当院は開院当初から、創設者である長谷川 芳男会長の意向により、救急医療体制の強化として埼玉県で初となる救急センターを開設し、現在においても比企医療圏における2次救急(入院や手術を要する重症患者への救急医療)で、急性期の中核的な病院の1つとして救急車の受け入れを多く行っています。
また、当院は埼玉県指定の災害時連携病院で、災害時には重症患者さんを受け入れる災害拠点病院と連携を図りながら、中等症患者さんや容体の安定した重症患者さんを受け入れる態勢を整えています。リハビリ棟の多目的ホール、外来待合室では、多数傷病者を受け入れる態勢も整えております。
そのほか、専門性の高い医療を提供しているのも当院の特徴の1つです。その1つが、長谷川 芳男会長と、初代所長の故・児島 忠雄先生のアイデアで院内に設立された“埼玉手外科研究所”です。手指の外傷、骨折はもとより、母指から環指を中心にしびれや痛みが出る手根管症候群や、親指のCM関節(指の付け根の関節)に腫れと痛みを伴う母指CM関節症、ものをつかんで持ち上げようとすると肘の外側から前腕にかけて痛みが出る上腕骨外側上顆炎(テニス肘)など、専門性の高い“手”に関する病気やけがの診療と治療をしています。
日常生活を送るうえで、手は重要な役割を担っています。そうした手の病気やけがを専門的に診ることは、地域医療の質を高めることにつながるのではないでしょうか。
当院の関節外科センターでは、主に一般整形外科や救急科、救急センターを受診された患者さんのうち、変形性股関節症に対する人工股関節手術や人工膝関節置換術、膝半月板鏡視下手術など、専門性が高い治療を必要とする方々の診療を行っています。近年は患者さんの高齢化が進んでいることから、関節などの変性疾患の治療が増えており、スポーツ後に受診される傾向が強くなっているように感じています。
担当する医師も知識と経験が豊富で、元東京慈恵会科大学整形外科教授で関節外科センター長の大谷 卓也先生、副センター長と副院長を兼務する小澤 正宏先生、副センター長と整形外科部長を兼務する大槻 茂先生、関節鏡・膝靱帯再建顧問の山岸 恒雄先生、肩関節顧問の佐藤 達夫先生、手・肘関節顧問の村中 秀行先生らが中心になって、数多くの関節の診療と手術を行ってきました。
新たに関節外科センター長に就任していただいた大谷先生は、慈恵医大附属第三病院で整形外科教授、診療部長をされており、当院においては、2003年から股関節外来を週1回担当し、人工股関節手術や寛骨臼蓋回転骨切り術といった難易度の高い手術を行ってきました。
現在は、センター長として、週2回の人工股関節手術を行っており、引き続き専門性や難易度が高い症例の診療と手術を続けていきます。
当院の脊椎外科センターでは、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、脊髄腫瘍、脊椎圧迫骨折など、首から腰までの脊椎疾患において専門性の高い診療をしています。
診療においては手術療法に限定せず、薬物療法や整形外科ペインクリニック医によるブロック療法などの保存療法も積極的に行っています。また、脊椎外傷や脊椎感染では、高圧酸素療法も取り入れています。
センター長は、日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医の資格を持つ私(長谷川 岳弘先生)が務めています。また、顧問には元帝京大学整形外科教授で日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医の資格を持つ平林 茂先生が着任しており、私と平林先生が中心になって手術を行っています。
今後は関節外科センターや脊椎外科センター、手外科研究所、消化器外科センターなど、当院の強みである専門性の高い分野の診療をさらに強化して、より質の高い医療を提供していきたいと考えています。それと同時に、地域の皆さんにとっての“かかりつけ医”として、患者さん一人ひとりを丁寧に診ていきたいと思っています。
また、当院(成恵会)ではチャリティー演奏会・チャリティーゴルフコンペの開催など、チャリティー活動に積極的に取り組んでいます。その際にお寄せいただいた寄付金は、地域の医療支援や自然災害の支援、人道支援団体への支援などに利用させていただいております。今後もこうしたさまざまな活動を通して地域の皆さんのために貢献してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
医療法人埼玉成恵会病院 理事長・院長、埼玉手外科研究所 所長
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