ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう

腰部脊柱管狭窄症

最終更新日:
2024年06月21日
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2024/06/21
更新しました
2017/04/25
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概要

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)とは、背骨の中にある“脊柱管”という神経の通り道が腰の辺りで狭くなることで神経の血流が悪くなり、痛みをはじめさまざまな症状が現れる病気です。具体的な症状として、長い距離を歩くと下肢にしびれや痛みが生じ、力が入らなくなって歩行が難しくなる“間欠跛行(かんけつはこう)が挙げられます。

腰部脊柱管狭窄症は腰に負担がかかる仕事や加齢などが原因で起こり、60〜70歳以降に発症しやすいといわれています。症状が比較的軽い場合は、リハビリテーションや薬物療法などの保存的治療で様子を見ますが、改善しない場合や症状が強い場合は手術治療が検討されます。

原因

脊柱管が狭くなる主な原因としては、骨の変形、背骨の間でクッションの役目を担う“椎間板(ついかんばん)”の変性*、分厚くなった靱帯による脊柱管の圧迫が挙げられます。

特に、重量物を持ち上げる動作の多い仕事などは背骨に大きな負担がかかるため、背骨が変形して脊柱管が狭くなることがわかっています。また、靱帯の肥厚などは加齢に伴い生じる可能性が高まります。

*変性:椎間板にひびがひったり潰れたりすること。

症状

腰部脊柱管狭窄症のもっとも特徴的な症状として、長い距離を連続して歩くと下肢に痛みやしびれが生じる“間欠跛行”が挙げられます。

間欠跛行とは、歩いている際に脊椎に負荷がかかり神経が圧迫されることで、下肢に痛みやしびれが生じ、歩きにくくなることをいいます。特に、朝や寒い季節に症状が現れやすいといわれています。しゃがんだり前かがみになったりして神経の圧迫を和らげると症状は落ち着きますが、病気の進行とともに、連続して歩ける距離が短くなったり、安静にしていても下肢の痛みやしびれが強くなったりする可能性があります。

間欠跛行のほか、神経の圧迫によってトイレが近くなる、夜中にトイレに行きたくなる、残尿感、失禁などの排尿障害が起こる場合もあります。

検査・診断

腰部脊柱管狭窄症は、MRI 検査やCT検査、脊髄造影検査(せきずいぞうえいけんさ)などで診断されますが、患者にかかる体の負担を考慮し、近年はMRIの画像検査のみで診断する施設が増えています。

また、腰部脊柱管狭窄症の症状は、“末梢動脈疾患”や“糖尿病性神経障害”などで現れる症状と似ているため、問診などの診察も含めてほかの病気との鑑別を行います。

治療

腰部脊柱管狭窄症の治療方法は、リハビリテーション(以下、リハビリ)や薬物療法などからなる“保存的治療”と“手術治療”に分けられます。

保存的治療

保存的治療では、リハビリや薬物療法などが検討されます。

リハビリでは、ウォーキングなどの適度な運動が指導されるほか、姿勢改善や就労時のコルセットの着用をすすめられることもあります。

薬物療法では、血流を改善する薬、痛みを和らげる薬、ビタミン剤などの飲み薬の処方が検討されます。そのほか、点滴による血流を改善する薬の投与、局所麻酔薬やステロイドなどによるブロック注射が検討される場合もあります。

また下肢のしびれ(ビリビリ感)や痛み(神経障害性疼痛)がある場合には、プレガバリンやミロガバリンも併用されます。

手術治療

保存的治療では改善がみられなかった場合や、症状が強く日常生活に支障が出ている場合、症状が両足に現れている場合などには手術治療が検討されます。手術治療には、以下の2種類があります。

  • 除圧術……脊柱管を狭めている原因となる骨や椎間板、靱帯などを削り神経の圧迫を開放する
  • 固定術……背骨にボルトを入れて固定し神経が圧迫されるのを防ぐ

近年は内視鏡を使用することで、手術時の切除範囲を最小限に抑える“低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)”を行う医療機関もあります。低侵襲手術を行うことで手術後の回復が早まる可能性もありますが、神経が損傷して合併症が起きる可能性もあります。手術を受ける際には自身の状況や治療の選択肢について医師から詳しく説明を受けましょう。

予防

腰部脊柱管狭窄症は、加齢とともに生じやすくなることがわかっています。骨や軟骨、靱帯などに強い負荷がかからないよう、日頃から正しい姿勢で過ごし、体を支える筋肉を鍛えるためにも適度な運動を心がけましょう。

また、体重が極端に重い場合には骨や軟骨、靱帯などに負担がかかりやすいため、適正な体重を保つことも予防の1つといえます。なお、喫煙は軟骨や神経に悪影響を及ぼすといわれているため、禁煙を検討することもよいでしょう。

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