しんけいしょうがいせいとうつう

神経障害性疼痛

最終更新日:
2024年03月19日
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2024/03/19
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概要

神経障害性疼痛とは、痛みを伝える神経の損傷や病気によって引き起こされる痛みです。腫瘍(しゅよう)などによる神経の圧迫や神経の損傷などによって生じます。

痛みの性状として、灼けるような痛み、刺すような痛み、電気が走るような痛みなどと表現されることが多く、併せて感覚が鈍くなったり反対に強くなったりする感覚障害が現れます。このような症状は短期間でよくなることもありますが、外傷などがないにもかかわらず長期にわたって続くこともあります。

また、検査を行って原因が判明しても完治が難しいのが現状です。長期にわたって痛みが続く場合には、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の低下を招く可能性があるため、ADLとQOLを改善することが治療目標となります。

なお、日本ペインクリニック学会によると、2010年に行われた調査結果を踏まえ、日本では神経障害性疼痛の保有者は成人で600万人程度いると推定されています。

原因

神経障害性疼痛は、皮膚などにある痛み刺激を感じる受容器の異常ではなく、大脳から末梢神経(まっしょうしんけい)の痛みが伝わる経路に病変や病気が存在することで生じると考えられています。

原因は多岐にわたりますが、具体的には腫瘍や椎間板(ついかんばん)ヘルニアなどによる神経の圧迫をはじめ、帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)、糖尿病性神経障害などの病気による神経の障害が挙げられます。

 

症状

神経障害性疼痛の痛みの性状は以下のように表現されます。

  • 灼けるような痛み
  • 刺すような痛み
  • 電気が走るような痛み
  • ぴりぴりした痛み

痛みに加えて、感覚が鈍くなったり反対に感覚が敏感になったりする感覚障害が現れることもあります。また、痛みによって活動量が低下した結果、筋力も低下して運動制限を招く場合や、痛みによるストレスから不安や抑うつに陥ることもあります。

痛みは長期にわたって続き、神経系が痛みに対して敏感な構造に変化する場合もあることから、原因が解消しても長い間痛みが続きます。

検査・診断

神経障害性疼痛の診断では、現在治療中のけがや病気(現症)と病歴の確認、神経学的診察による感覚障害の評価がもっとも重要です。神経病変や病気を診断する検査(神経伝導検査、筋電図検査、CT、MRIなど)は確定診断に用いられます。

現症と病歴では以下2点を満たす場合に、神経障害性疼痛の可能性があります。

・痛みの範囲が神経解剖学的に妥当である*

・体性感覚神経系の病変あるいは病気を示唆する

神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版より引用】

そのうえで神経学的診察を行い、痛みのある箇所に感覚障害(感覚低下、感覚過敏、アロディニア**)などがみられる場合には、神経障害性疼痛の要素を持っていると考えられます。さらに、検査で神経病変や病気を確認できた場合に確定診断となります。

*実際に痛みが生じている範囲が、原因疾患で典型的にみられる痛みの範囲とで大きな差異がないことなどを加味

**アロディニア:通常であれば痛みを感じない程度の刺激で痛みが誘発される状態

治療

神経障害性疼痛は慢性疼痛の中でも特に治療が困難な場合が多いため、治療では主にリハビリテーションや心理社会的治療(介入)などを通してADLとQOLの改善を目指し、薬物療法などは補助的に用います。

薬物療法では、一般に抗うつ薬として知られるアミトリプチリン塩酸塩やデュロキセチン塩酸塩、疼痛治療薬のプレガバリンが第一選択薬として用いられます。ただし、特に高齢者では認知障害などの副作用を起こしやすいので注意が必要です。

神経ブロック療法などの侵襲(しんしゅう)的な治療法が試みられる場合もありますが、持続的な鎮痛効果は少ないといわれています。

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