けいついしょうせいしんけいこんしょう

頚椎症性神経根症

最終更新日:
2018年12月14日
Icon close
2018/12/14
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

頚椎症性神経根症とは、頚椎の椎間板の突出や骨棘(こつきょく)(骨の出っ張り)が形成されることによって、脊髄から上肢に分岐する神経根が障害を受ける病気です。主な原因は加齢ですが、腕や手の痛み・しびれ・筋力低下が生じ、首を後ろへ反らすと症状が強くなるのが特徴です。

頸椎症神経根症は、神経根のいずれかが障害されることで発症します。そのため、症状が現れる部位はどの神経根が障害されたかによって異なります。

頚椎症は中高年以上の男性に多く発症し、非常に頻度の高い病気です。

原因

首の骨は、7つの頚椎が縦に連なって形成されています。頚椎の内部にある脊柱管(せきちゅうかん)という隙間には、脊髄という非常に太い神経が走行しています。脊髄は、頭部から腰にまでつながる中枢神経のひとつです。

脊髄からは各頚椎の隙間を通って左右に神経が分岐しており、それぞれ左右の腕や手、指などに分布します。このような脊髄の分岐部を神経根と呼びますが、頚椎症性神経根症はこの神経根が圧迫されることによって発症します。

神経根が圧迫される主な原因は、椎間板ヘルニア(椎間板の中身が飛び出す)や加齢による骨棘(椎間板変性の影響で骨が棘状に出っ張る)です。

椎間板は、頚椎と頚椎の間の衝撃を和らげるクッションのような役割を持っており、その一部が膨隆(ぼうりゅう)すると、神経根を圧迫することがあるのです。

症状

頚椎症性神経根症は、神経根が圧迫を受けることで、しびれやいたみなどの感覚障害が生じます。筋力低下をきたすこともあります。どの部位に症状が現れるかは、圧迫を受ける神経根の部位によって決まります。

障害されやすい神経根は、第5-6頚椎間から分岐する第6頚神経、第6-7頚椎間から分岐する第7頚神経です。

第4-5頚椎間から分岐する第5頚神経

三角筋・上腕二頭筋に筋力低下、肩関節周囲に感覚障害、肩甲上部・上腕外側には疼痛が生じやすいです。感覚障害がほとんどなく筋力低下のみをきたす例が珍しくありません。

第5-6頚椎間から分岐する第6頚神経

上腕二頭筋・腕橈骨筋に筋力低下、母指に感覚障害、肩甲上部・上腕外側に疼痛が生じやすいです。

第6-7頚椎間から分岐する第7頚神経

上腕三頭筋に筋力低下、中指には感覚障害、肩甲間部・上肢後側には疼痛が生じやすいです。

これらの症状は、首を後ろに反らせることで、神経根への圧迫が強くなり増強するのが特徴です。また、神経根の障害部位と症状の出現部位が一致しないこともしばしばあります。

症状が進行すると、これらの症状だけでなく、障害を受けた神経が分布する筋肉のみが萎縮し、運動障害を引き起こして日常生活に支障が出るケースもあります。

検査・診断

頚椎症性神経根症は、腕や手、指に生じる諸症状や首を後ろに反らせることで症状が増強する、などといった診察によってわかる所見と画像検査によって診断されます。画像検査は、エックス線検査やMRI検査が行われます。

エックス線検査では、頚椎間の狭小化や骨棘形成の有無などを評価することができます。簡単に行うことができるため、初診時には第一に行われる画像検査です。

一方、MRI検査では、エックス線検査では描出することができない椎間板の変性や神経根圧迫の程度などを観察することが可能です。

治療

頚椎症性神経根症は、基本的には頚部の安静(頚椎カラーで頚部を固定することもあります)と鎮痛剤の内服などによる治療でほとんどは数週間~数カ月で症状の改善がみられます。

しかし、筋力低下や筋委縮が著しい場合や治療してもなかなか良くならない痛み・しびれがあるような場合には、膨隆した椎間板や骨棘を切除して神経根への圧迫を解除するための手術が行われることもあります。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「頚椎症性神経根症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

関連の医療相談が10件あります

※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

頚椎症性神経根症を得意な領域としている医師

  • 品川志匠会病院 所属、新横浜スパインクリニック 所属

    • 頚椎症性神経根症
      • 顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術(Microsurgical anterior cervical Foraminotomy:MacF)
    • 頚椎椎間板ヘルニア
      • 顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術(Microsurgical anterior cervical Foraminotomy:MacF)
    • 後縦靱帯骨化症
      • 顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術(Microsurgical anterior cervical Foraminotomy:MacF)
  • 国際医療福祉大学三田病院 整形外科 病院講師、国際医療福祉大学 医学部 整形外科学

    • 腰椎すべり症
      • 側方椎体間固定術
      • 後方椎体間固定術
      • 腰椎椎弓切除術
    • 腰部脊柱管狭窄症
      • 側方椎体間固定術
      • 後方椎体間固定術
      • 腰椎椎弓切除術
    • 頚椎症性神経根症
      • 神経ブロック
      • 頚椎人工椎間板置換術
      • 頚椎前方固定術
      • 頚椎後方除圧術
    • 後縦靱帯骨化症
      • 後方固定術
      • 前方固定術
      • 椎弓形成術
  • 東北医科薬科大学病院 整形外科 科長、東北医科薬科大学 医学部 部長、東北医科薬科大学 整形外科学 教授

    • 脊髄腫瘍
    • 後縦靱帯骨化症
    • 頚椎症性神経根症
    • 仙腸関節炎