私が愛知県の知立(ちりゅう)市でクリニックを開院したのは、長年診てきた患者さんとのつながりを大切にしたいという思いからです。
知立市の隣の刈谷市の病院や名古屋市内の大学病院で診療を続けるなかで、ある思いが生まれました。それは、担当患者さんを地域でしっかり支えていくには、継続的に診られる環境が不可欠だということです。糖尿病の治療は長く続くからこそ、患者さんと腰を据えて向き合える場所が必要でした。
そこで、開院の地として選んだのが知立市です。名古屋からのアクセスがよく、刈谷市とも生活圏が重なるこの地域なら、これまで出会った患者さんを長く見守っていくことができます。こうした理由から、この地での開院を決めました。
実は、私は学生時代に1型糖尿病を発症したのですが、そこからの10年は自分の将来に希望が持てず、合併症への恐怖とたたかう日々でした。そんななかで救われたと感じたのは、同じ病気を抱える医師が、講演中に「あなたは1人じゃない」というメッセージをくれたことです。その言葉で、ようやく前向きになれた気がします。
そんな経験があったからこそ、来院される患者さんには「病気があっても幸せに生きていくことはできる」「社会で活躍できる」という声かけをしています。気持ちの立て直しこそが治療の第一歩であり、血糖管理はその次のステップだと考えています。
また、2型糖尿病に対する世間の誤解――「生活習慣が悪い」「自己責任だ」という偏見をなくすことも重要な使命だと考えています。2型糖尿病を発症する背景は複雑で、必ずしも生活習慣の乱れだけが原因とは限りません。ご自身を責めすぎることなく、適切な治療に取り組めるよう支援しています。
多職種で支えるスムーズな診療
当クリニックには3つの診察室があり、各室でスタッフ(看護師または管理栄養士)が出迎えます。まずスタッフが現状を伺い、その後に医師が診察し、最後にスタッフが内容を整理するという流れで進みます。患者さんが移動するのではなく、医師が複数の診察室を巡回するスタイルです。そのため、患者さんは診察の合間にもスタッフと落ち着いて話すことができます。そこで得られた情報は必要に応じて医師に共有されます。糖尿病治療では日常の気付きが治療に生きることもあるため、チーム全体でコミュニケーションを大切にしています。
オンライン診療にも対応
再診の患者さんを対象に、オンライン診療にも対応しています。持続血糖測定器(CGM)などを使用している場合は、遠隔でも一定期間の血糖値のデータを共有でき、定期的な対面診療と組み合わせながら、継続的に治療を進めることができます。転居や仕事の都合で通院が難しい方、遠方にお住まいの方でも、状況に合わせて無理なく治療を続けられるような体制を整えています。
患者会の開催
当クリニックでは、年に複数回、患者さん同士が集まり意見交換できる交流会(患者会)を行っています。同じ病気の方と悩みや工夫を共有することは、治療を続けるうえで心の支えになる場合があります。また、ほかの方の話を聞くことで、「自分だけが悩んでいるわけではない」と感じ、前向きな気持ちにつながることもあります。治療の場だけでなく、患者さん同士が自然に支え合える環境づくりにも取り組んでいます。
当クリニックでは、小学3年生から成人まで幅広い年齢層の1型糖尿病に対応しています。1型糖尿病は周囲に理解されにくい面もあるため、診療では「1人で抱え込まないでほしい」という思いを大切にし、日常生活で感じる不安や悩みにも耳を傾けながら支援しています。治療では、インスリンポンプなどのデバイスを使用する方も多く、私自身がこれらを使用してきた経験を踏まえ、使用時の注意点や生活上の工夫についてもお伝えするようにしています。
「生活習慣病」という言葉の影響で、糖尿病を発症したことを必要以上に自分のせいだと感じてしまう方は珍しくありません。しかし、発症には体質的な要因や筋肉量など、生活習慣以外の要素が関わることも知られています。当クリニックでは、こうした背景も含めて病状を丁寧に評価し、一人ひとりに合った治療方針を一緒に検討しています。
バセドウ病は現役世代の女性にみられることが多い病気で、動悸や発汗、体重減少、気分の変化など、日常生活に影響する症状が現れることがあります。当クリニックでは、甲状腺ホルモンを院内で測定できる検査体制を整えており、診察当日に治療方針の検討まで進めることも可能です。仕事や家事で忙しい方にも受診しやすいよう、通院の流れをできるだけスムーズにすることを心がけています。
甲状腺ホルモンが過剰になる状態を指し、動悸や体重減少、手の震えといった症状が現れます。代表的なものはバセドウ病ですが、そのほかにも甲状腺の炎症や良性腫瘍(りょうせいしゅよう)など複数の病気が考えられるため、診察では症状の原因を丁寧に確認するように努めています。問診、診察、血液検査などを組み合わせて評価し、診断に必要な情報をその日のうちに得られるよう院内で検査を行います。検査結果を踏まえ、適切な治療方針を検討しています。
甲状腺のはたらきが低下しやすくなる病気で、若い女性にみられることが多いとされています。症状は、疲れやすさ・冷え・体重増加・むくみ・気分の落ち込みなど、原因が分かりにくい形で現れることがあるため、慎重に診断します。当クリニックでは、主要な甲状腺ホルモン検査を院内で測定できる体制を整えており、その結果を踏まえて初診日から治療方針の検討を進めることが可能です。
コレステロールの代謝には体質的な要因が関わることもあり、食事の工夫だけでは改善が難しい場合があります。当クリニックでは、生活習慣、血液検査、動脈硬化の評価などを総合的に踏まえ、薬物療法が必要かどうかを慎重に判断します。たとえば、閉経前の女性で善玉コレステロールが高く、動脈硬化の進行がみられない場合には、薬物療法を行わず経過をみることもあります。一人ひとりの状態に合わせ、日常生活と両立しやすい治療方法を患者さんと一緒に検討しています。
| 公式サイト | https://hattoriclinic-chiryu.jp/ |
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| 連絡先 |
TEL 0566-93-8500 |
住所 |
〒472-0053 愛知県知立市南新地1丁目1-5
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| アクセス | 名鉄線 知立駅 より 徒歩5分 |
※本記事は 2025年12月 時点のものです。