インタビュー

「元気老人の創出」-へき地を支えた保健事業

「元気老人の創出」-へき地を支えた保健事業
押淵 徹 先生

国民健康保険平戸市民病院 院長、(社)全国国民健康保険診療施設協議会 会長

押淵 徹 先生

この記事の最終更新は2015年05月03日です。

押淵徹先生は平戸市民病院で「元気老人の創出」をテーマに保健事業を展開し、へき地医療を守り続けてきました。また、全国国民健康保険診療施設協議会では副会長を務め、元気老人の創出により医療費や介護費を抑制し、国民健康保険事業や介護保険事業を安定させることを目指し続けてきました。そんな押淵先生に、へき地を支え続けた保健事業についてうかがいました。

保健事業を運営の柱にしようとしたきっかけがありました。全国国保地域医療学会で、ある町長さんが「安定した医療を提供するために最低限必要な医師確保に奔走したが実現困難だった。発想を変えて、医師を多く抱えなくてすむよう、病人を作らないための政策(=保健事業)に力を入れよう」とおっしゃられたことに強く感銘を受けたことからです。

同様に医療過疎地である平戸市でも、我々は医師確保と並行して保健事業にも力を入れてきました。また、医師の負担軽減のために医療技術職の役割も強化していきました。その結果、保健事業の方にも成果が現れると同時に、チーム医療の実践も可能になってきました。

このような事業を可能にした平戸市民病院の特徴として、「国保直診」というものがあります。国保直診は、国民健康保険診療施設を略したもので、市町村が国民健康保険を行う事業の一つとして設置したものです。国保直診は、地方自治法に基き設置された「公の施設」であり、国民健康保険法に基づき設置された「病院・診療所」でもあります。

国保直診は医療提供が困難な地域に「直接」設置されているところが多く、他の医療施設と適度な距離を保って、医療を提供しています。複雑な要因が絡むことが少ないため、さまざまな試みが出来るのが特徴の一つです。その実績を政策や行政に反映できるため、地域づくりにも貢献できます。

国保直診の特徴を大いに活かしながら、保健事業にも力を入れ、30年間にわたり地域包括ケアを実践してきました。平戸市は過疎地であり、介護力は希薄な地域のため、青壮年層に介護負担させることは地域経済にも大いにマイナスになります。

介護負担を軽減するには「元気老人の創出!」がなんといっても大切でした。その基盤は青壮年期からの健康づくりです。健康づくりのために、健診による病気の早期発見や地域への健康啓発活動をずっと続けてきました。

元気老人の創出が国民健康保険・介護保険事業を安定させることを証明できました。地域包括医療・ケアの成果により「平戸市の地域づくり」にも貢献することができました。

新たな専門医として設置される予定の「総合診療医」の育成には格好の地域ということで、教育に対する取り組みも盛り上がってきています。平戸市では地域医療の楽しさを学ぶことができます。市民の生活背景を考慮した医療、市民と苦楽を共有すること、医療の成果を行政政策に反映できる充実感・達成感、地域づくりに貢献している満足感は平戸市民病院ならではです。

教育を通して地域医療の再生を目指す

記事1:元気老人の創出」―へき地を支えた保険事業
記事2:保健事業の成果―平戸市の地域づくりから教育へ

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