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インタビュー

精巣腫瘍の検査・診断ー早めに検査を受けましょう

精巣腫瘍の検査・診断ー早めに検査を受けましょう
岸田 健 先生

神奈川県立がんセンター 副院長/泌尿器科 部長

岸田 健 先生

この記事の最終更新は2015年04月27日です。

15〜35歳の若い男性にできるがんの中では最も多い精巣腫瘍。精巣腫瘍が疑われたら、どのような検査を行うのでしょうか? 神奈川県立がんセンター泌尿器科部長の岸田健先生にお伺いしました。

精巣腫瘍は、精巣にできる腫瘍(おでき)です。悪性の腫瘍、いわゆる“がん”であることが多いです。
頻度としては10万人に1〜2人のめずらしい病気ですが、15〜35歳の若い方に多く、この年代の男性にできる悪性腫瘍のなかでは最も多い疾患です。

多くの場合、ある日ふと気が付くと痛くもない、ぶつけてもいないのに精巣が大きくなっていることに気が付きます。正常な方と比べるとやや硬く、ごつごつした感触の事もあります。一方、痛みを伴って見つかる場合も2,3割あります。年単位でゆっくり大きくなる場合から日に日に大きくなる方まで様々ですので、あまり大きさが変わらないからと放置していると危険です。気がついたらすぐに泌尿器科を受診しましょう。病院でも診療所でも大丈夫ですし、泌尿器科が近くになかったら内科の先生でも構いません。

精巣腫瘍が疑われた場合は、以下のような検査を行います。

1. まずは、陰嚢(いんのう:たまのふくろ)の触診(しょくしん)を行います。昔は懐中電灯を陰嚢にあてて光の通り具合を診ていましたが、現在はエコー(超音波)検査で調べることが一般的です。

懐中電灯を陰嚢にあてた時の光の通り具合に関して、少しご説明します。精巣腫瘍は中身が詰まっているため、懐中電灯をあてても光を通しません。

一方、精巣腫瘍と似たような症状をおこす病気に、“陰嚢水腫(いんのうすいしゅ:陰嚢に水がたまっている病気)”というものがあります。この陰嚢水腫の場合には、中身が液体ですから光を通し中身が透けてみえます。
しかし、精巣腫瘍と陰嚢水腫が合併している場合もあり、ご自身で判断せず、きちんと病院を受診するようにしましょう。

2. 触診やエコー検査で精巣腫瘍が疑われた場合、血液検査で腫瘍マーカーであるHCG, AFP, LDHという物質を調べます。腫瘍マーカーは全ての精巣腫瘍で上昇しているとは限りませんが、上昇の程度とその後の治りやすさには関連があります。また治療中の効果判定や経過観察中の再発のチェックに役立ちますのでとても大切な検査です。

3. 精巣腫瘍の疑いが強いと判断したら、受診後一週間以内程度で精巣を摘出する手術を行います。
以前は、受診したその日のうちに入院・手術を行うこともありました。、治療の進歩により現在はそこまでは急ぎませんが、できるだけ早く行った方が良いでしょう。

4. 手術の前後のタイミングで、CT検査を行います。これは全身をチェックし、精巣腫瘍が他の場所に転移していないかどうかを確認するためです。

転移する場所として多いのは肺やリンパ節で、肝臓や骨、脳などに転移することもあります。その後、例えばCT検査により骨への転移が疑われた場合は、骨のアイソトープの検査を行います。肺への転移が疑われた場合は、肺から脳に転移しやすいので脳のCT検査やMRI検査を行うこともあります。

手術で摘出した精巣の病理検査(顕微鏡による判定)と腫瘍マーカー、CTなどの検査結果をみて、最終的な診断をくだします。

ただし病理検査の結果は数週間かかる事もありますので、精巣腫瘍が明らかで、転移が認められる場合は、病理検査の結果が出る前に精巣腫瘍と診断し、抗がん剤治療を始めます。これは、進行の速い精巣腫瘍が短期間に急速に進行してしまうことがあるためです。精巣腫瘍では、できるだけ早く治療を行うことが大切です。

精巣が腫れてきて何かおかしいな、と思ったら、検査や治療を早めに受けるようにしましょう。精巣腫瘍は20〜30代の方に多いため、仕事や学校などでなかなか休みがとれないこともあるかもしれません。場所が場所だけに泌尿器科を受診するのに気が引けるのも良くわかります。しかし、精巣腫瘍は、悪性がほとんどで進行が早いことが多い病気です。きちんと検査、治療すれば治癒する可能性の高い病気ですが、進行すると治りにくくなることも事実です。忙しいからと検査や治療を後回しにすることのないようにして下さい。

記事1:精巣腫瘍は治るがん?―精巣腫瘍の完治率、生存率について
記事2:精巣腫瘍の症状―「痛くないから大丈夫」は間違い?
記事3:どういう人が精巣腫瘍になりやすい?―精巣腫瘍の原因
記事4:精巣腫瘍と不妊症―精液保存のすすめ
記事5:精巣腫瘍の検査・診断―早めに検査を受けましょう
記事6:精巣腫瘍の治療・前編ー治療の流れについて
記事7:精巣腫瘍の治療・後編ー治療期間、治療後の通院、再発について
記事8:急性精巣炎とはどんな病気?おたふくかぜになったら注意しよう
記事9:急性精巣上体炎とは?
記事10:慢性精巣上体炎とはどんな病気?陰嚢(いんのう)の違和感、にぶい痛みが長く続く

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    岸田 健 先生

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