院長インタビュー

地域の生活に密着した医療を提供する新潟県立十日町病院

地域の生活に密着した医療を提供する新潟県立十日町病院
吉嶺 文俊 先生

新潟県立十日町病院 病院長

吉嶺 文俊 先生

この記事の最終更新は2018年07月27日です。

新潟県立十日町病院は新潟県魚沼地域における中核病院として、救命救急医療から地域医療まで幅広く手がけています。

病院長の吉嶺文俊先生に、病院の概要、特色、求める人材像、前任地時代より取り組まれている「健康ファイル」についてお話を伺いました。

病院外観(完成予想図)(新潟県立十日町病院よりご提供)
講堂に集合した職員(新潟県立十日町病院よりご提供)

1944年4月に日本医療団十日町病院として創立、1946年11月に新潟県立十日町病院として開設して以来、時代によって異なる地域の医療ニーズを反映し続けてきました。

2018年4月現在、当院は275病床を有する地域密着型中核病院として、『「命の尊厳・信頼と安心の病院」を目指して』という理念のもと、地域のみなさんの生活に密着した医療を提供できるよう職員一同努めています。

新外来棟2階からの風景(新潟県立十日町病院よりご提供)

当地域にお住まいの方の多くが「病気になったら十日町病院で診察を受ける」という認識をお持ちです。当院では15診療科を標榜しており、2017年度では26名の医師が中心となって外来患者113,174名、入院患者78,914名の診療にあたりました。

新潟県立十日町病院では新病院の建設を進めています。

新病院は「地域中核病院のモデル病院」と「魚沼基幹病院との連携と役割分担」に基づき、『~三つの「新」~』を整備コンセプトに掲げています。新・病棟システムによる切れ目のない病棟づくり、新・救急医療システムによる救急と災害医療体制強化、新・臨床研修プログラムによる家庭医育成を目標とした後期研修プログラム導入などを構想に入れており、医師研修体制の刷新と医師確保を目指しています。

新潟県立十日町病院では1966年4月に救急病院告示を受けて以来、魚沼医療圏の救急医療を支え続けています。

地域の医療を支える最後の砦でもある当院では救急車は断らない方針を掲げており、2017年度では2,078名の救急車搬入患者さんを当院で受け入れました。

病棟回診場面(新潟県立十日町病院よりご提供)

緊急度と重症度がより高い救命救急医療のみでなく、病状の進行や変化が比較的早い急性期医療にも力を入れています。

また患者さんの病態などを考慮して、近隣の三次医療を担う医療機関をご紹介することもあります。

冬期巡回診療場面(新潟県立十日町病院よりご提供)

日々の診療や在宅医療など生活に密着した医療によって、病状の悪化を未然に防ぐことが重要であると考えています。

当院は在宅療養後方支援病院として、魚沼医療圏で在宅医療を選択された患者さんとご家族、地域包括ケアに取り組む診療所を支援しています。在宅療養後方支援病院とは、在宅療養中の患者さんの入院治療が必要となった際に受け入れ先となる病院のことです。

また、病診連携の窓口となる地域医療連携室を2003年4月に開設し、地域の開業医の方々とさらに緊密な連携を取りやすく、当院で検査や入院治療をスムーズに受けられるようにしました。

医学生実習CT室(新潟県立十日町病院よりご提供)

新潟県立十日町病院は新潟県内の基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れや指導などに取り組んでいます。

診療科同士の垣根が低く、複数の病気を抱えている患者さんを診療する機会が多い当院では、さまざまな症例の診療を経験することができます。また他診療科の患者さんをコンサルテーションすることも可能です。

研修医外来場面(新潟県立十日町病院よりご提供)

年を重ねるにつれ複数の病気をかかえやすくなるため、特定専門領域に偏らない全人的医療が必要になります。全国的な高齢化進行の影響もあり、この傾向は今後ますます強くなることが予想されます。

当院は、救命救急医療から地域医療、へき地巡回診療まで「なんでもみる」病院です。手がける医療の幅が非常に広いため、総合診療に必要なスキルのみでなく、臨床研修をつうじてさまざまな「気づき」を得られるのではないかと考えています。

多くの医学部生や研修医のみなさんの応募をお待ちしています。

厚生労働省がまとめた「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、新潟県民の肥満者の割合は全国平均より低く、1日あたりの野菜摂取量は全国平均を上回っています。そして、健康寿命も全国平均以上に延伸していることから、病気に生活を制限されることなく寿命を全うできる方は今後も増加すると考えています。

しかしその一方で、新潟県では医師不足が問題となっています。特に当院のある魚沼地域は深刻で、日本でも有数の豪雪地帯であることが加わり、救命救急医療や出産など一刻を争う医療への多大な影響が懸念されています。

問題解消のため新潟県ではさまざまな施策を実施していますが、地域のみなさん一人ひとりの健康意識向上も重要ではないかと考え、「健康ファイル」を考案しました。

健康ファイルとは、患者さんの健診や検査の結果、診断の明細、薬剤の処方などをまとめるA4サイズのファイルのことです。

いつ検査を受けたか、どのような結果だったということは、意外と忘れがちです。検査を受けたかどうかでさえ、曖昧になってしまう方も少なくありません。しかし、診療を受けるうえでこれらの診療情報は非常に重要です。そこで、診療に関わる情報を配布して患者さんご自身にも管理してもらうことで、健康や医療に対してもっと主体的に考えていただくために自ら考案してはじめました。

健康ファイルは前任地ではじめた取り組みで、開始して10年経つころには私が担当する患者さんの9割近くが受診時に持参してくださるようになりました。健康ファイル導入によって患者さんの健康意識の変化を感じられただけでなく、診療する医師も患者さんのことをより複合的に診療可能になったなど、相乗効果も生まれました。

これらの支援ツールで重要なことは、健康ファイル自体が面倒とならないよう、「病院からもらった紙をファイルにいれるだけ」という、できる限りシンプルであることです。健康ファイルを持ち歩くことが難しい方には、「幸せの黄色いつづり紐」もご用意しています。ご興味がある方は、ぜひご相談いただければと思います。

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