編集部記事

スポーツ障害を予防するために必要なことって何?〜オーバートレーニングを避けることが大切〜

スポーツ障害を予防するために必要なことって何?〜オーバートレーニングを避けることが大切〜
竹内 良平 先生

横浜石心会病院 関節外科センター センター長

竹内 良平 先生

目次
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スポーツ障害とは、運動などによる特定の動作を繰り返すことで骨や筋肉、靱帯などの部位が酷使されて引き起こされる障害の総称です。最初はスポーツの後に痛みを感じる程度ですが、重症化すると常に痛みを感じ日常生活にも影響をきたすため、スポーツをする際には予防策を講じることが非常に重要です。

スポーツ障害を予防するには、まずオーバートレーニング*の回避が重要となります。トレーニング内容は自身の技術や体力に見合ったものとなるよう、あらかじめ活動のレベルを把握し、適切なトレーニングプランを立てておくとよいでしょう。

*オーバートレーニング……自身の活動のレベルよりも大きな負荷をかけたトレーニングを行うこと

サイズが合っていないトレーニングシューズの使用や、条件の悪い環境でのトレーニングは、筋肉の動きによる負担が集中して組織が損傷しやすく、靱帯と骨の摩擦による炎症を引き起こすなど、体への負担を増やす可能性があるため注意が必要です。

そのため、行うスポーツに適した環境を整え、自身に合ったユニフォームやシューズを着用するようにしましょう。

身体面の原因として、筋力不足や筋肉量が左右でアンバランスになっていることが考えられます。また、体のゆがみや柔軟性が不足していることなども体への負担を増やすことになるため、十分に運動機能を発揮できる筋肉をバランスよく作り、ストレッチや整体などで体の柔軟性をよくしたりするなどの対策を行うとよいでしょう。

また、スポーツの前後には十分にストレッチを行い、終了後はアイシングすることでスポーツ障害を防ぐことにつながります。なお、アイシングは15分程度行うとよいでしょう。

スポーツ障害はスポーツ後の痛みから始まり、重症化すると日常的に痛みが生じるようになります。そのまま放置すると日常生活に支障をきたすほか、場合によってはそのスポーツを行うことが難しくなる可能性もあるため、スポーツ後に痛みを感じるようになったら早めに整形外科や専門とする医師の受診を検討するとよいでしょう。

スポーツ障害の治療は、まず原因となるスポーツや動作を控えることで、できるだけ休息や安静をとることが大事です。ただ、スポーツ中やスポーツ後の痛みが長く継続しない程度であればスポーツを続けられる可能性があるため、医師の指導のもと、コンディションを適切に整えながらスポーツを行ってください。

スポーツ障害が発生する部位は主に腰、上肢(肩や肘など)、膝や足部が挙げられます。スポーツ障害にはさまざまなものがありますが、なかでも代表的な病気とその症状は以下のとおりです。

  • 腰痛症……腰に過剰、または繰り返される負担が加わることによって腰痛が生じる。
  • 椎間板ついかんばんヘルニア……椎間板の軟骨が損傷し飛び出て、神経に触れることによって下肢に痛みが生じる。
  • 腰椎分離症……腰椎の骨の一部が疲労骨折のような状態になることで腰痛が生じる。
  • リトルリーグ肩……肩の付け根の成長軟骨がはがれ、その部分を押すと痛みが生じる。
  • 野球肘……肘を使いすぎることで、肘の内側の筋肉や靱帯に骨が引っ張られたり、肘の外側の骨同士がぶつかることで骨や軟骨が欠けたりして、その部分を押すと痛みが生じる。
  • オスグッド・シュラッター病……膝の皿の下の骨が隆起することで痛みが生じる。

このような症状がある場合は、整形外科やスポーツ外来などの専門外来を開設する医療機関の受診を検討しましょう。そのほか、鍼灸院や整骨院で施術を受けられることもありますが、X線(レントゲン)などの検査を行うことができず、基本的に保険適用外となります。

スポーツ障害の予防には、原因となるオーバートレーニングを避けることが大切です。体や技術に見合った内容の練習を行い、バランスの取れた十分な筋肉を作り、柔軟性を向上させたりするようにしましょう。しかし、予防をしていても症状が現れたり悪化したりした場合は、重症化して日常生活に支障が出る前に医療機関を受診し適切な治療を受けるとよいでしょう。

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