にきび

にきび

(尋常性ざ瘡)

最終更新日
2023年03月29日
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2023/03/29
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

にきび(尋常性ざ瘡)とは、毛穴を中心に起こる慢性的な炎症疾患です。

毛穴の中には、毛根を包んでいる“毛嚢(もうのう)”と呼ばれる袋状の組織があります。毛嚢には脂を分泌する“脂腺”と呼ばれる腺が付いており、これが毛嚢の中に皮脂を分泌しています。しかし、ホルモンバランスが崩れる(女性では生理前後が多い)と、皮脂の分泌が過剰になることで毛嚢の中が皮脂で充満し、皮膚表面が盛り上がってきてしまいます。これが、にきびの始まりである白にきび(白色面ぽう)です。その後進行すると、炎症が生じたり、(うみ)がたまったりするようになり、治癒後ににきび跡やケロイドが残ってしまうこともあるため、適切な治療を行うことが大切です。

ケロイドは、通常傷が治っていくのに1年半〜2年くらいかかります。ただし、治癒していく過程でも傷あとに痛みやかゆみ(炎症)が続き、傷あとが盛り上がって赤みが出てくる体質の人がいます。カニの足のように傷あとから周囲に赤みと盛り上がりが広がってくる状態を真正ケロイドと呼びます。

にきびはさまざまな年齢の人にみられますが、特にホルモンバランスの崩れやすい思春期の人によくみられます。成人以後のにきびは、ホルモンバランスのみでなく肝障害や薬剤の影響でみられることがあります。

 

種類

にきびには、その進行度合いや炎症の状態などによって複数の種類があります。

面ぽう(白にきび・黒にきびなど)

皮脂の分泌量が増え、毛穴の出口が詰まることによって皮膚表面が盛り上がった状態皮脂の中では、皮膚の中にいるアクネ菌の増殖がみられます。

面ぽうには、ごく初期段階で自分にはほとんど目に見えない“微小面ぽう”のほか、角栓によって毛穴の出口が詰まっている“閉鎖面ぽう(白にきび)”と、毛穴が開き酸化によって皮脂が黒く見える“開放面ぽう(黒にきび)”があります。閉鎖面ぽうは時間の経過とともに開放面ぽうへと変化することもあれば、炎症を引き起こして紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)などに発展することもあります。

紅色丘疹(赤にきび)

面ぽう内部でアクネ菌がより増殖し、炎症が起こった状態をいいます。“赤にきび”などと呼ばれ、痛みを伴うこともあります。

膿疱(黃にきび)

紅色丘疹が進行したもので、を伴います。“黄にきび”と呼ばれることもあります。炎症により毛穴の壁が壊され、より広い範囲で炎症が起こるようになります。

嚢腫・結節

にきびの中でも特に重症の状態を指し、炎症が皮膚の深くまで進行することにより皮膚の一部が固く盛り上がったようになります。

原因

にきびの主な原因は皮脂の分泌が盛んになることと、毛穴の出口が固くなること(異常角化)です。いずれも男性ホルモンのはたらきが大きく関与していることから、ホルモンバランスの乱れやすい思春期に多くみられます。また、異常角化にはアクネ菌の存在も影響しているといわれています。

なお、にきびを引き起こしたり悪化させたりする因子として、肌に合わないスキンケアや過剰洗浄による皮膚の乾燥のほか、便秘、ストレスの蓄積、睡眠不足などが挙げられます。また、女性の場合、月経前は女性ホルモンが低下することでにきびが起こりやすくなる人もいます。

症状

にきびでは炎症の有無、度合いに応じてさまざまな症状が現れます。通常、面ぽう、紅色丘疹、膿疱(のうほう)が混在してみられることが一般的で、特に皮脂が分泌されやすい顔・胸・背中周辺によく現れます。

放置していると、炎症後の色素沈着、にきび跡やケロイドとなり、皮膚に残ってしまう可能性もあります。

検査・診断

にきびの診断は主に医師による視診などで行われ、特別な検査はしないことが一般的です。

しかし、がひどいときには細菌培養検査を行ったり、真菌(カビ)やダニが発症の原因となっている可能性があるときには皮疹(ひしん)の顕微鏡検査を行ったりします。成人以後の治りにくいにきびはアトピー性皮膚炎(しゅ)さなど、ほかの病気と合併していることもあるため、必要に応じて詳しい検査も検討されます。

また、にきびの重症度は以下のように判断されます。

にきびの重症度

  • 軽症……顔の片側に炎症のある皮疹が5個以下存在する
  • 中等症……顔の片側に炎症のある皮疹が6個以上20個以下存在する
  • 重症……顔の片側に炎症のある皮疹が21個以上50個以下存在する
  • 最重症……顔の片側に炎症のある皮疹が51個以上存在する

治療

にきびは炎症の有無によって治療方法が異なります。以下では、それぞれの治療方法についてご紹介します。

炎症のないにきび

面ぽうのような炎症のないにきびでは、薬物療法や処置による改善、日頃の洗浄、保湿などスキンケアによる改善を検討します。

薬物療法としては、アダパレン、過酸化ベンゾイルといった塗り薬が検討されることが一般的です。また、面ぽうを改善する処置としては、清潔な器具で毛穴に詰まった皮脂を押し出す“面ぽう圧出療法”や、古い角質・汚れを取り除く“ケミカルピーリング”などが挙げられます。ただし、ケミカルピーリングは保険診療では行えず自費診療となります。皮膚質により刺激症状で悪化する場合もあるため、専門医の適切な判断で行われます。

日頃のスキンケアとしては、1日2回程度の洗顔を行い、化粧をしている場合には必ずよく洗い落とすようにしますが、擦り過ぎはいけません。洗顔料やクレンジング剤をしっかり洗い流すことも大切です。

また、乾燥を防ぐために保湿剤を使用するとよいでしょう。使用する洗顔料・クレンジング剤・保湿剤などに不安がある場合は“ノンコメドジェンニックテスト済み”と記載されたにきび肌用の製品の使用が推奨されます。

炎症のあるにきび

炎症のあるにきびの場合、炎症のないにきびに対する治療方法に加えて、より多様な薬物療法や手術療法も組み合わせて検討されます。

薬物療法としては、前述の治療に加えて抗菌薬(塗り薬・飲み薬)の処方が検討されることがあるほか、皮脂の分泌に関与するビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCなどの飲み薬も処方されることがあります。生理不順や生理痛がひどい場合は漢方治療、胃腸環境をよくする目的では整腸剤を使用するなど、体質を考慮した薬物の選択がなされます。

また、嚢腫や結節を伴う場合、にきび跡やケロイドが生じた場合にはステロイドの局所注射も検討されます。にきび跡やケロイドにはトラニラスト(飲み薬)や手術療法も検討されますが、実際治療は難しいため炎症を重症化しないような早期対処が望まれます。

予防

にきびの予防には、皮膚を清潔に保つことと規則正しい生活習慣を送ることが大切です。

皮膚を清潔に保つ

皮膚に手や髪、枕などが長く付着していると不衛生になる可能性があります。そのため、頬杖をついたり、うつ伏せで寝たりすることを控え、髪はまとめるなど、皮膚に付着しないように心がけましょう。

そのほか、自身の皮膚質や季節の状況に応じて洗顔料を選択し、洗顔は基本的に朝晩ですが、発汗状況により適切によく泡立てた洗顔料で優しく行いましょう。洗顔後は自身の皮膚質に適した保湿剤を使用して保湿することも大切です。

紫外線によるにきび悪化も心配されるため、年間を通じて使用できるようなサンスクリーンの使用も心がけましょう。なお、にきびを疑う病変がみられた場合はむやみに触ったり押し潰したりせず、化粧も控えめにするなど、皮膚に刺激を与えないようにしましょう。

規則正しい生活習慣

起きる時間や眠る時間などを定めて生活リズムを整えるほか、十分な睡眠時間を確保し、運動を心がけストレスをためない生活習慣を作っていきましょう。

また、食事内容も甘いものやカロリーの高いもの、脂質の多いものを控え、野菜を積極的に取ることを意識するとよいでしょう。

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    • にきび
      • にきびは、放置して痕(瘢痕)になると、治療が難しくなるため、早期からの継続した治療が近年選択できるようになっています。症状や部位に合わせた外用薬の組み合わせや、時に内服薬などで治療をしていきます。

      ざ瘡≒にきびは、毛穴と皮脂の産生が豊富な顔面、胸や背中などに、思春期以降繰り返し起こる病気です。

    • 円形脱毛症
      • 異常な免疫を抑える外用薬や内服薬、また紫外線などの治療や、免疫のバランスを活性化する免疫療法などがあります。

      いずれも、自分の毛包部や、色素産生する細胞に対して免疫の誤作動により、自分で自分を攻撃してしまう疾患ですが、なぜ起こるのかなどに関してはいまだ分かっていません。

    • 白斑
      • 異常な免疫を抑える外用薬や内服薬、また紫外線などの治療や、免疫のバランスを活性化する免疫療法などがあります。

      いずれも、自分の毛包部や、色素産生する細胞に対して免疫の誤作動により、自分で自分を攻撃してしまう疾患ですが、なぜ起こるのかなどに関してはいまだ分かっていません。