のうほう

膿疱

最終更新日:
2021年06月21日
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2021/06/21
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概要

膿疱(のうほう)は、皮膚が部分的に膨れ、中にがたまった状態のものを指します。膿疱ができる場所はさまざまですが、病気によっては特定の場所に膿疱ができるものもあります。原因は大きく感染症によるものと、そうでないものに分けられます。

膿疱は水ぶくれから変化することが多く、時にかゆみを伴います。また、皮膚の症状以外に発熱や頭痛、喉の痛みなど、全身の症状を伴うことがあります。膿に病原体が含まれていると、膿が付いた周りの皮膚やほかの人に感染が広がることがあります。膿疱は破れたりかさぶたになったりして治りますが、炎症が強い場合には皮膚が深く掘れた状態になり、(あと)が残ることもあります。

感染症が原因で膿疱が現れている場合は、病原体を特定し、適切な抗菌薬・抗ウイルス薬を用いて治療します。薬は、塗り薬のこともあれば、飲み薬や点滴の場合もあります。原因が感染症でない場合は、遺伝的要因と環境要因の両方が影響していると考えられますが、はっきりとした原因が特定できないこともしばしばあります。自然に治る場合もありますが、症状が続く場合は重症度や副作用などに合わせて、さまざまな方法を組み合せて治療を施します。

原因

皮膚に膿疱ができる原因は、大きく感染性のものと非感染性のものに分けられます。感染性の場合、原因となる病原体は細菌のこともあればウイルスのこともあります。感染性以外の原因としては、体質や環境要因による炎症反応の異常や、金属に対するアレルギーなどがあり、原因がはっきりと分からない場合もあります。

感染性

膿疱の原因となる菌としては、アクネ菌や黄色ブドウ球菌などがよく知られています。これらは通常の皮膚にも存在している細菌ですが、通常より数が増えたり、ひっかいた傷口などから体内に侵入したりすると、感染症を引き起こします。膿疱と関係のあるウイルスには、水痘帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスや、単純ヘルペスウイルスなどがあります。咳やくしゃみなどの飛沫や、水疱・膿疱に触れることでこれらのウイルスに感染する可能性があり、ウイルスによっては体内に潜伏して繰り返し症状を引き起こすことがあります。

非感染性

細菌やウイルスによらない“無菌性膿疱”が生じる場合、炎症反応の異常が考えられます。いくつかの病気が知られており、遺伝的な素因と、ストレスや慢性的な炎症などの環境要因の両方が発症に影響していると考えられていますが、原因がはっきりと分かっていないものも多くあります。手のひらや足の裏に膿疱ができる“掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)”という病気では、慢性扁桃腺炎などの病巣感染(体内に潜む慢性の炎症)、歯の治療に使う金属へのアレルギーが原因となる場合があることが知られています。これらの病気では、人からうつったり人にうつしたりすることはありません。

症状

膿疱は、水ぶくれの中にがたまったものです。赤くなって水ぶくれができた後に膿疱となり、やがて破けたりかさぶたになったりするのが一般的な経過で、膿疱が治った後は元どおりになることもありますが、炎症が強いとあとが残ってしまうこともあります。病気によっては限られた場所にだけ膿疱ができるものもあります。膿疱のある場所には、かゆみや痛みが生じることがあり、また皮膚以外の全身にさまざまな症状が現れる可能性があります。

感染症が原因である場合は、膿疱と同時に皮膚に水ぶくれや赤いぶつぶつが現れたり、皮膚の下にも膿がたまったりすることがあります。膿疱の中の膿には病原体が含まれていることがあり、破れて膿が周りの皮膚や他人に付くと、感染を広げる場合があります。また、皮膚の症状のほかに、発熱や喉の痛み、頭痛などが現れることもあります。ウイルスによっては体の中に潜伏し、一度治った後に症状が再発することがあります。

感染症が原因でない場合、膿疱の中に病原体は含まれていません。症状は病気によって異なります。たとえば、掌蹠膿疱症では手のひらと足に膿疱ができやすく、鎖骨の周りなどの関節が痛む場合もあるとされています。汎発性膿疱性乾癬(はんぱつせいのうほうせいかんせん)はまれな病気ですが、高熱、全身倦怠感とともに全身の皮膚に赤みが出た後、無菌性膿疱がたくさんでき、むくみ、関節の痛み、目の炎症などが現れることがあります。

検査・診断

膿疱や皮膚の状態の確認と合わせて、感染症かどうか、感染症であれば原因となる病原体は何かを検査することが必要となります。診断は、似たような症状を示すほかの病気でないことを慎重に確認しながら行われますが、感染症でない場合には、はっきりとした原因が分からないこともしばしばあります。

感染症の検査では、膿疱の中のや、症状のある部分の皮膚の細胞を取り、そこに含まれる病原体を確認します。血液中に含まれる抗体(体内で作られる、病原体を攻撃するためのタンパク質)を調べる場合もあります。また、血液中の白血球数や、炎症に関連する物質の変化を検査することは、炎症の程度を調べるのに役立ちます。

膿疱に菌が認められない場合は、感染症以外の原因が考えられます。ほかの病気でないことを確認するための検査や、炎症の程度を調べるための血液検査、金属アレルギーの検査、組織生検(組織の一部をとって顕微鏡で調べる検査)などが行われますが、根本的な原因が分からない場合もあります。また、治療中の副作用や合併する病気がないかを調べるために、X線検査や糖尿病の検査などが行われることがあります。

治療

感染症によって膿疱が生じている場合は、原因となる病原体に対応した抗菌薬や抗ウイルス薬を用いて治療します。感染症でない場合は、病気によって自然治癒するものから入院治療が必要となるものまでさまざまです。

にきびが膿疱となっている場合は、アダパレンや過酸化ベンゾイルというにきびをできにくくする薬と、アクネ菌に対する抗生物質が主に使用されます。水疱性痂疹(すいほうせいのうかしん)とびひの一種)による膿疱では、抗菌薬の軟膏を塗った上からガーゼで覆います。抗菌薬は内服することもあり、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬も併せて処方されます。単純ヘルペスや帯状疱疹では、抗ウイルス薬の内服または点滴によって治療します。水痘は、ワクチンがあるため予防接種が有効です。

掌蹠膿疱症では、慢性的な感染(病巣感染)や金属アレルギーなどの原因が見つかった場合には、まずそれを取り除きます。原因がはっきりしない場合も数年で自然に治癒することが多く、それまでの間は対症療法として、炎症とかゆみを抑えるステロイドの軟膏や、皮膚の症状を抑える紫外線療法などで治療します。汎発性膿疱性乾癬は、全身の症状が現れるため入院が必要となることが多く、解熱剤や点滴などを使って症状を和らげます。乾癬には免疫抑制薬や紫外線療法、生物学的製剤(注射薬)など、さまざまな治療法が存在し、これらを年齢や重症度、合併症、副作用などに応じて適切に組み合わせて治療します。

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