びまんせいのうしゅちょうふしゅ

びまん性脳腫脹・浮腫

別名
びまん性脳損傷
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

びまん性脳腫脹・浮腫とは、脳の実質内に過剰な水分が溜まって脳全体が腫れあがった状態のことをいいます。かつては水分が溜まる場所によって脳腫脹と脳浮腫は区別されていましたが、今では一般的に脳腫脹と脳浮腫は同義として捉えられています。

脳は硬い頭蓋骨に囲まれた臓器であるため、脳全体が腫れあがると、脳が頭蓋骨に圧迫され、さまざまな症状を引き起こします。最終的には脳実質が他の部位へ偏位する脳ヘルニアを引き起こし、特に脳幹が高度なダメージを受けると、意識障害や呼吸抑制が生じて重篤な状態となります。

びまん性脳腫脹・浮腫は若年者の頭部外傷によって生じることが多いです。一般的に不幸な転帰をたどり、脳に二次的なダメージが加わることを避けるのは難しいと考えられます。

 

原因

びまん性脳腫脹・浮腫の多くは頭部外傷が原因となります。特に小児で発症しやすく、小児の頭部外傷の5~40%に生じるといわれています。元来、成人と比べて小児の脳は血流の調節機構が未熟なために、成人より発症しやすいと考えられてきました。しかし、脳の血流障害、低酸素脳症、けいれん発作などの外傷による脳の二次的な損傷が原因であるとの考え方も示されています。

その他、脳出血や腫瘍、髄膜炎などの感染症が原因となることもあり、脳に何らかの重度なダメージが加わる病態に続発します。

 

症状

脳の容積が拡大することで頭蓋内圧が上昇し、頭痛や嘔吐、目の痛みなどが生じます。腫脹が重度になると、けいれんや麻痺などの神経症状が現れます。

さらに進行すると、脳幹の圧迫による意識障害や呼吸抑制などが引き起こされ、重篤な状態となります。致死的な状況に陥ることもまれではありません。

また、頭部外傷が原因の場合には、非常に重度で脳実質に損傷がある場合を除いて、受傷直後は神経症状がみられず、受傷後数十分から48時間以内の間に症状が現れることも特徴です。

 

検査・診断

ほぼ全例で行われる検査は、頭部CT検査です。CT検査では、脳の腫れや脳ヘルニアの有無などを評価することが可能です。また、原因となる脳出血脳腫瘍などの診断を行うことができます。

微小な脳内出血や脳挫傷などを観察したい場合には、MRI検査が行われることもあります。しかし、検査に時間がかかるため緊急を要するときには、CT検査が優先して行われます。

髄膜炎などの感染症が原因である場合には、血液検査などで全身状態の評価が行われますが、脳圧が上昇しているため脳脊髄液の採取は禁忌です。

治療

びまん性脳腫脹・浮腫を根本から解決する治療法はなく、種々の対処療法が行われます。第一に用いられるのは、濃グリセリン・果糖注射液などの脳圧を下げる作用のある薬剤です。

腫脹が高度で、薬物療法だけでは効果がない場合には、頭蓋骨の一部を切除して頭蓋骨内にたまった圧を開放する手術を行うことがあり、これを開頭減圧術とよびます。

また、状況に応じて人工呼吸器管理や中心静脈栄養などによる栄養療法が行われ、全身状態の厳密な管理が行われます。

びまん性脳腫脹・浮腫は非常に軽度なものもあれば、重篤なものもあります。中等症以上の場合には上記のような治療を要しますが、ごく軽症なものは特別な治療が必要ないこともあります。

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