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アンジェルマン症候群
アンジェルマン症候群とは、重度の発達遅延、発語障害、てんかん、失調歩行など、神経系に関係した症状を有する病気を指します。そのほか、頻繁に笑ったり微笑んだりし、とても幸せそうな様子を呈することも特...
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アンジェルマン症候群あんじぇるまんしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

アンジェルマン症候群とは、重度の発達遅延、発語障害、てんかん、失調歩行など、神経系に関係した症状を有する病気を指します。そのほか、頻繁に笑ったり微笑んだりし、とても幸せそうな様子を呈することも特徴のひとつに挙げることができます。
アンジェルマン症候群は、小児慢性特定疾患ならびに難病指定を受けています。日本における発症率は1万5千人に1人であり、500〜3,000名ほどの患者さんがいることが報告されています。てんかんのコントロールを行うことが、長期的な予後を決定する上で重要になる疾患です。

原因

アンジェルマン症候群の原因は、UBE3Aと呼ばれる遺伝子異常であると報告されています。
人間の細胞には性別に関係なく1番から22番目まで染色体が存在していますが、両親からそれぞれ1本ずつ遺伝を受けることから、同じ番号の染色体がそれぞれ2本認められます。このうち、15番目の染色体に位置するUBE3A遺伝子についても両親から受け継いだ2本の遺伝子が存在するのですが、脳の一部においては母親由来のUBE3A遺伝子のみがはたらくように制限されています。このことを「インプリンティング」と呼び、正常な脳の活動でみられる現象です。
しかし、何かしらの原因をきっかけとして、母親由来のUBE3A遺伝子がはたらきを失ってしまうとアンジェルマン症候群が発症します。
70%ほどの方においては、母親由来のUBE3A遺伝子が「欠失」と呼ばれる形で失われています。10%ほどにおいては、母親由来のUBE3A遺伝子に「変異」が生じており、UBE3A遺伝子が正常な機能を果たすことができなくなっています。
さらに一部の方においては、UBE3A遺伝子が父親のみから遺伝を受けており、その結果、正常な細胞活動に必要な母親由来のUBE3A遺伝子が全く失われています。この現象のことを、「片親性ダイソミー(UPD:Uniparental disomy)」と呼びます。残りは、先のインプリンティングを調節する別の遺伝子に変異がある場合や、染色体転座などが含まれます。
欠失とUPDに関連したアンジェルマン症候群では遺伝性はありません。しかしその一方、インプリンティングやUBE3A遺伝子の変異に関連したアンジェルマン症候群は、遺伝性があると考えられています。
アンジェルマン症候群では、髪の毛の色が薄くなったり、肌が白くなったりする症状を見ることもあります。これらの特徴は、UBE3A遺伝子と同様に15番目の染色体に位置するOCA2遺伝子の異常と関連していると考えられています。UBE3A遺伝子が欠失を起こすと、近傍に位置するOCA2遺伝子も同時に障害を受けることになります。

症状

アンジェルマン症候群の特徴は、神経系に関連した症状です。重度の発達の遅れ、発語がない(発語に対しての理解は良好ですが、自分からの発語がほとんどありません)などが特徴です。また身体のバランス機能にも障害が生じており、手足の震えや失調性歩行もみられます。失調性歩行では上手に直立歩行ができずに、手でバランスを取りながら歩行します。
アンジェルマン症候群は、「Puppet Children(笑顔の操り人形)」とも呼ばれます。この名称からも想像されるように、嬉しいときに手を羽ばたかせたり、特に誘因もなく頻繁に笑う発作をみることがあります。興奮のしやすさや多動傾向、集中力の短さもあります。水に魅了されることもよくみる症状です。睡眠時間も短く、長時間睡眠を取ることが難しいです。
3歳頃になるとけいれん発作をみる様になることも多いです。けいれん発作は難知性であることもあり、生涯続きます。アンジェルマン症候群と内臓奇形との関連性はなく、健康な方と大きく変わりない生命予後を期待することができます。

検査・診断

多くの場合は、UBE3A遺伝子が「欠失」していることからアンジェルマン症候群が発症しています。欠失はFISH法と呼ばれる方法で検出することが可能です。UPD関連のアンジェルマン症候群については、メチル化テストと呼ばれる方法で検出することが可能です。UBE3A遺伝子の変異については、こうした検査で検出することは出来ず、臨床的な特徴から診断することになります。
けいれんの診断やコントロールに際しては、脳波検査が行われます。

治療

アンジェルマン症候群の治療では、けいれんに対する治療が重要な位置を占めます。しかしながら、アンジェルマン症候群に特異的に効果がある抗てんかん薬は現在のところ存在せず、一般的に使用可能な抗てんかん薬を適宜使用してコントロールを図ります。なかには、ケトン食が奏功する場合もあります。
アンジェルマン症候群では多動をみることもあり、ときにメチルフェニデートが使用されることもあります。また睡眠障害を呈することも多く、鎮静剤を使用することもあります。
発語をみないことが多いですが、その一方で、言語理解は良好であり、非言語的なコミュニケーション手段に重点を置いた言語療法はとても重要です。
以上のような対応をしつつ、学校生活から社会生活を送る上で対応できるような、包括的な治療体制を敷くことが重要になります。

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