うえすとないるねつ

ウエストナイル熱

同義語
西ナイル熱
最終更新日:
2023年05月11日
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2023/05/11
更新しました
2017/04/25
掲載しました。
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概要

ウエストナイル熱とは、ウエストナイルウイルスに感染することによって発熱、頭痛筋肉痛、食欲低下、発疹(ほっしん)、リンパ節の腫れなどの症状を引き起こす病気のことです。ウエストナイルウイルスは蚊を介して感染することが分かっており、感染したとしても8割は何の症状も出ないとされています。しかし、残りの2割には上述したような症状が現れ、多くは1週間程度で自然に回復しますが、約1%は髄膜炎や脳炎などを発症して命を落とすケースもあることが分かっています。

現在のところ、この病気に対する確立した治療法はなく、各症状を抑えるための対症療法が主体となります。この病気はアフリカで発見されましたが、現在では世界各国に広がっており、日本でも2005年にアメリカからの帰国者が国内で発症した例が報告されています。ウエストナイル熱の発生が報告されている地域に渡航する場合は、蚊に刺されることを避けるための対策が必要です。

原因

ウエストナイル熱は、ウエストナイルウイルスと呼ばれるウイルスに感染することによって発症します。このウイルスはカラスなどの野鳥の体内で増殖する性質があり、その野鳥を刺した蚊にウイルスが移行します。そして、ウイルスを保有した蚊がヒトを刺すと感染することが分かっています。一方で、ヒトからヒトへの感染はないとされていますが、まれに母乳を介して母親から赤ちゃんに感染したり、感染者からの臓器移植や輸血によって感染したりするケースも報告されています。

なお、日本では流行国からの帰国者が国内で発症した例のみですが、ウエストナイルウイルスを媒介する蚊は日本にも生息するイエカ属やヤブカ属であるため、国内に多くのウイルスが持ち込まれた場合は全国的に広がる可能性が指摘されています。

症状

ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスに感染することによって発症する病気ですが、このウイルスに感染したとしても8割は何の症状も出ないとされています。

一方で、残りの2割は3~15日程度の潜伏期間を経て発熱、頭痛筋肉痛、食欲低下などの一般的な“かぜ症状”に加え、約半数に発疹やリンパ節の腫れが現れるのが特徴です。一般的には症状は重篤ではなく1週間前後で自然に回復します。しかし、高齢者などを中心に約1%は、ウイルスが頭蓋内に侵入して髄膜炎や脳炎を発症するとされています。髄膜炎や脳炎を発症した場合は、運動麻痺、意識混濁、けいれんなどの神経症状が現れ、命を落とすケースもあるため注意が必要です。

検査・診断

ウエストナイル熱が疑われるときは次のような検査が行われます。

血液検査

ウエストナイル熱の確定診断のため、血液中にウイルスやその遺伝子が存在するか調べる検査やウイルスに対する抗体の量を調べる検査が行われます。

また、この病気は発熱や頭痛などの症状を引き起こすため、炎症反応の程度など全身の状態を把握するために血液検査が必要です。

髄液検査

血液のほかにも脳脊髄液中(のうせきずいえきちゅう)にウイルスやその遺伝子が存在するか調べる検査を行うことがあります。

画像検査

ウエストナイル熱は重症化すると髄膜炎や脳炎を合併することがあります。そのため、何らかの神経症状が現れた場合は、ほかの脳血管疾患などとの鑑別を行うためにCT検査やMRIによる画像検査を行うことがあります。

治療

ウエストナイル熱の確立した治療法は現在のところありません。そのため、発症した場合は、発熱に対する解熱剤投与、食欲不振に対する補液などの対症療法が行われます。一方、種々の動物実験では、抗菌薬の一種であるゲンタマイシン、ステロイド、メラトニンなどの投与によって症状が改善したとの報告があるため、今後の治療法の開発が期待されています。

予防

ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスを保有する蚊に刺されることによって発症します。現在のところ、日本にはウエストナイルウイルスを保有する蚊はいないとされていますが、流行地へ渡航する場合は長袖や長ズボンなど肌の露出が少ない衣服で身を守り、虫よけスプレーなどを活用して蚊に刺されないよう注意することが大切です。

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