くりおぴりんかんれんしゅうきねつしょうこうぐん

クリオピリン関連周期熱症候群

同義語
CAPS
最終更新日
2024年03月14日
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2024/03/14
更新しました

概要

クリオピリン関連周期熱症候群とは、クリオピリンというタンパク質を作り出す遺伝子の変異が原因で、発熱をはじめとする炎症が周期的または持続的に生じる自己炎症性疾患の総称です。

クリオピリン関連周期熱症候群は重症度により、軽症の家族性寒冷蕁麻疹(かぞくせいかんれいじんましん)(家族性寒冷自己炎症症候群)、中等症のMuckle-Wells症候群、もっとも重症のCINCA症候群/NOMIDの3つに分類されますが、明確に区別できないこともあります。関節痛や発熱、てんかん難聴、AAアミロイドーシス*などさまざまな症状が生じる可能性があり、病気によっては症状を一定期間ごとに繰り返すこともあります。

クリオピリン関連周期熱症候群は国の難病指定の1つで、国内の患者数は100人ほどと推定されています。治療はカナキヌマブやステロイドなどの薬物療法が検討されます。

*AAアミロイドーシス:血清アミロイドAというタンパク質から作られるアミロイドが全身の臓器に沈着する病気。下痢や嘔気・嘔吐、タンパク尿、むくみなどの症状が現れる。

原因

クリオピリン関連周期熱症候群は、クリオピリンの生産に関わるNLRP3遺伝子に変異が生じることで発症します。

クリオピリンは、炎症性サイトカイン*(インターロイキン-1β)の活性化に深く関わっています。インターロイキン-1βは発熱や組織障害などを招くサイトカインで、正常な組織ではほとんど検出されません。

NLRP3遺伝子に変異が生じることでクリオピリンが機能異常を示し、免疫機能の制御がうまくはたらかなくなります。それによって、炎症性サイトカインが不要な状況でも過剰に形成され、炎症を引き起こします。

なお、通常の遺伝子検査ではNLRP3遺伝子の変異が検出されず、変異した細胞と変異していない細胞が混ざる“体細胞モザイク”が原因となって発症するケースもあります。そのため、次世代シーケンサーによるNLRP3モザイク検査を行うことが望ましいといわれています。

*サイトカイン:免疫細胞から分泌されるタンパク質の1つで、細胞間の情報伝達を担う。

症状

クリオピリン関連周期熱症候群には、家族性寒冷蕁麻疹、Muckle-Wells症候群、CINCA症候群/NOMIDがあり、病気に応じて現れる症状が異なります。

家族性寒冷蕁麻疹

寒冷刺激で炎症が起きる病気です。寒さや冷たさといった刺激を5分~3時間ほど受けることで発熱や関節痛、結膜炎、蕁麻疹様皮疹が現れ、一般的には24時間程度で軽快します。ほとんどが生後6か月以内に発症するといわれています。

Muckle-Wells症候群

主な症状は発熱や蕁麻疹様皮疹、結膜炎、関節痛、頭痛で、感音性難聴を引き起こすこともあります。症状は1~2日間続き、数週間の周期で繰り返すほか、寒冷刺激やストレスで炎症症状を繰り返す点が特徴です。

25%の割合でAAアミロイドーシスを発症し、慢性腎不全になる可能性があるため早期に治療を行うことが重要です。

CINCA症候群/NOMID

乳児期の早期から発熱や蕁麻疹様皮疹が持続してみられます。そのほかの主な症状としては、慢性髄膜炎てんかんなどの中枢神経系病変、関節炎や骨幹端過形成などの関節症状が挙げられます。また、視力障害や感音性難聴、全身の倦怠感、発達の遅れ、AAアミロイドーシスなどを合併することもあります。未治療の場合は命に関わることがあるため早期に治療を開始する必要があります。

なお、NLRP3遺伝子の体細胞モザイクが原因の場合は、成人になってから発症することもあります。

検査・診断

クリオピリン関連周期熱症候群はNLRP3遺伝子の変異によって引き起こされるため、遺伝子検査を行って遺伝子に変異が生じていないかを確認します。

一部のケースでは通常の遺伝子検査ではNLRP3遺伝子の変異が認められないため、NLRP3遺伝子を含めた遺伝子検査(NLRP3モザイク検査)を行います。また、遺伝子検査の結果が陰性でも、症状がクリオピリン関連周期熱症候群に矛盾しない場合には診断が下されることがあります。

治療

クリオピリン関連周期熱症候群は、NLRP3遺伝子の変異による炎症性サイトカインの産生過剰が原因で発症するため、Muckle-Wells症候群とCINCA症候群/NOMIDでは炎症性サイトカインのはたらきを抑制するカナキヌマブという薬を使った治療を行います。家族性寒冷蕁麻疹ではステロイドや痛み止めの使用なども検討されますが、発作頻度が高い場合などはカナキヌマブを使用することもあります。

また、クリオピリン関連周期熱症候群の中でも家族性寒冷蕁麻疹は、寒冷刺激によって症状が起きることがあるため、突然の気温変化には注意が必要です。

クリオピリン関連周期熱症候群の患者さんとご家族の方へ

クリオピリン関連周期熱症候群でよりよい治療を行うためには、普段のご自身の症状や状態、治療の希望を医師にしっかりと伝えることがとても大切です。

「治療ノート」では、毎日の体温や痛み、皮疹などの症状、気になることや困りごとをスマートフォンやパソコンで簡単に記録することができます。

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