こうかんせいがんえん

交感性眼炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

交感性眼炎とは、片方の眼球に対して損傷が生じた際に、数週間から数ヶ月後にもう片方の眼球にも障害が生じる現象を指します。眼球内には「ぶどう膜」と呼ばれる組織が存在していますが、眼球損傷に関連してぶどう膜に対しての自己免疫反応が惹起されることが原因で引き起こされると考えられています。

眼球に対しての損傷(外傷や手術など)をきっかけにして、まれながら交感性眼炎を発症することになります。交感性眼炎を発症すると、いわゆるぶどう膜炎に関連した症状が出現します。具体的には、かすみ目、光のまぶしさ、飛蚊症などが両方の目に生じます。交感性眼炎は免疫学的な反応をベースとして発症する病気であるため、ステロイドを始めとした免疫を抑える薬剤が使用されます。

また、交感性眼炎のきっかけとなりうる眼球外傷が生じた場合、健康側の眼球への影響を考慮して、予防的に損傷を受けた眼球を摘出することもあります。
 

原因

交感性眼炎は、片方の眼球に対しての外傷や手術をきっかけとして発症します。眼球の内部には、虹彩、毛様体、脈絡膜と呼ばれる組織が存在しますが、この三つを総称してぶどう膜と呼びます。ぶどう膜は、「メラノサイト」と呼ばれる色素産生細胞が豊富に存在しています。

眼球が貫通するような損傷を受けると、ぶどう膜の中に含まれるメラノサイトの一部が血液中に入り込むリスクがあります。血液中にメラノサイトの一部が入り込むと、血液を循環する免疫細胞がこれら成分と遭遇することになります。一部の免疫細胞はメラノサイトの一部を身体にとって異物として認識し、免疫反応を起こすことになります。

こうして活性化を受けた免疫細胞は、血液を循環して健康側の眼球へ到達します。すると、健常眼球内のぶどう膜に存在するメラノサイトも同様に異物であると判断されてしまい攻撃を受けることになります。このように発症する病気のことを、交感性眼炎と呼びます。同じような免疫反応で生じる病気として、原田病と呼ばれるぶどう膜炎も知られていますが、両者は類似した症状を呈することになります。

交感性眼炎は、眼球損傷を受けた場合に必ずしも生じるわけではなく、むしろ生じることの方がまれです。人の体にはHLAと呼ばれるタイプの抗原が各種細胞に備わっており、個人個人に応じて大きく異なります。なかでもHLA-DR4やHLA-DR53といったタイプのHLA型を有している場合には、交感性眼炎の発症リスクが高まることも知られています。
 

症状

交感性眼炎では、まず損傷を受けた眼球において症状が出現します。具体的には、蚊が飛んでいるように見える飛蚊症、かすみ目、光がまぶしく感じる、目の充血、視力の低下などです。こうした症状はいわゆる「ぶどう膜炎」でも生じる症状であると言えます。

交感性眼炎を発症する場合、多くは眼球障害が生じてから2〜12週間ほどの経過を経てから、残された健常側の眼球にも障害を見るようになります。健康側の眼球に関連しても、同じく飛蚊症や視力低下などを見ることになります。

発症のメカニズムが類似していることから、ぶどう膜炎の一種類である原田病と同じような症状を呈するの点が、交感性眼炎の特徴です。
 

検査・診断

交感性眼炎の診断においては、臨床経過の詳細な評価がとても重要です。病気の発症には眼球に対しての外傷歴が必須です。時には外傷から年単位もの時間が経過してから交感性眼炎を発症することがあるため、注意を払うことが重要です。

確実に交感性眼炎であることを診断する特化した検査方法はありませんが、眼球に起きている障害を評価するための血管造影検査が重要です。具体的には、フルオレセイン蛍光眼底造影やインドシアニングリーン蛍光眼底造影といった眼底検査が重要な検査となります。
 

治療

交感性眼炎は、免疫学的な機序をもって発症している病気であるため、内服もしくは点滴などによる全身ステロイド治療が必要となります。症状が強い場合には、ステロイドパルスと呼ばれる大量のステロイド投与も検討されます。ステロイドの使用は長期間に渡ることもあるため、ステロイドの副作用が看過できない場合もあります。その際には、シクロスポリンなどの免疫抑制剤が代替薬として使用されることもあります。

交感性眼炎は、眼球に対しての損傷を原因として発症する病気です。そのため、片方の眼球に対しての損傷が非常に強く、視力予後が芳しくないと判断される場合には、交感性眼炎の発症を予防するために損傷を受けた眼球を摘出することもあります。

交感性眼炎を発症すると、両眼への影響が生じます。発症自体はまれであるとはいえ、眼球に外傷を生じた際にはその後の対策を検討するためにも眼科を受診することが重要であるといえます。
 

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