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多脾症候群
 多脾症候群とは、人が発生する段階で異常が生じ、結果として内臓臓器に様々な構造異常を有することになった病気を指します。日本においては難病指定を受けている疾患の一つでもあります。 内臓の異常として...
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多脾症候群たひしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

 多脾症候群とは、人が発生する段階で異常が生じ、結果として内臓臓器に様々な構造異常を有することになった病気を指します。日本においては難病指定を受けている疾患の一つでもあります。
内臓の異常としては、心臓や腸に関連したものが問題となることが多いです。心臓については、単心室や心内膜症欠損、両大血管右室起始症などといった重篤な先天性心疾患を合併することもあり、数多くの治療介入が必要とされることになります。多脾症候群に関連した奇形はものによっては短期間で治療が終了するというものではなく、長期的なフォローが必要不可欠となることもあります。

その他、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/150911-000003-PZGJMG

原因

 多脾症候群は、内臓各部位に構造的な異常を来すようになった疾患を指します。人の身体は、外見を含めて内臓も左右対称ではありません。心臓は左に位置していますし、肺も左は2つ、右は3つに分かれています。脾臓と呼ばれる臓器がお腹の中にはありますが、脾臓も左に存在するのみで右側には存在していません。小腸から大腸についても、完全に左右対称の構造をしている訳ではなく、左右差を有しながらお腹の中に位置しています。
左右非対称であることが正常である人の身体ですが、発生段階で左右対称になってしまうことがあります。特に、左側の構造物が右側にも認めるようになった状況を「左側相同」と呼びます。左側相同では、本来左側にのみに位置する脾臓が、身体の右側にも認めるようになります。通常よりも多くの脾臓を認めると言う意味から、この状況を「多脾症候群」と呼びます。多脾症候群では、心臓や腸管などの構造についても異常を伴うようになります。
しかしながら、なぜこうした構造異常が引き起こされるかについての明らかな原因は同定されていません。極稀に遺伝的な要素を指摘できる場合もありますが、何故病気が発生したのか判らないことがほとんどです。

症状

 多脾症候群には、先天性心疾患や消化管に関連した症状が全面に出ます。先天性心疾患には両側上大静脈、下大静脈欠損、単心房、単心室、心房中隔欠損、心内膜床欠損、肺動脈狭窄、両大血管右室起始症、肺高血圧、など多彩なものが含まれます。
しかし、心疾患に関連した症状の出方は、病気やその重症度により様々です。中には新生児期早期からチアノーゼや呼吸困難(多呼吸や陥没呼吸など)、哺乳障害、多汗などを呈するものもあります。哺乳障害が強く、成長に異常を認めることもあります。
その一方、心奇形を有していても、心不全徴候やチアノーゼなどの症状がしばらく何もなく経過することもあります。その場合でも年齢を経るにつれて、徐々に心不全症状が出たり、不整脈からの動悸や失神などを発症したりすることもあります。
消化管の異常に関連して、腸回転異常や総腸間膜症などの合併症を有することがあります。この病気を抱えている場合でも、新生児期乳児期には症状を呈することなく経過し、嘔吐や腹痛などの腸閉塞症状をきっかけとして病気が指摘されることがあります。

その他、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/150911-000003-PZGJMG
https://medicalnote.jp/contents/160506-036-XD

検査・診断

 多脾症候群では、心臓奇形に関連した検査を重点的に行うことになります。胸部単純レントゲン写真が撮影されることになりますが、心臓の大きさや肺の血管状況、腸回転異常なども同時に評価することになります。
心臓の構造異常を併発することもありますので、心臓の超音波検査を行うことも重要です。より一層正確に心臓の構造を評価するために、CTやMRI、カテーテル検査などが併用されることもあります。カテーテル検査では、心奇形に続発する肺高血圧症を詳細に評価することも可能です。
多脾症候群では不整脈を併発することも稀ではありません。このことを評価するために心電図検査が行われますが、特に洞機能不全や房室ブロックを認めることが多いです。
腹部超音波検査やCTを行い、脾臓、肝臓、胆嚢、下大静脈などの位置を確認することも重要です。
 
その他、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/150911-000003-PZGJMG
https://medicalnote.jp/contents/160517-004-JO

治療

 多脾症候群の治療は、心臓奇形に対してのアプローチが重要であり、合併奇形によって治療方針が異なります。解剖学的に心臓をもとの形態に近づけることを目的とした手術を選択することができる場合もあれば、その一方、一つの心室のみで全身血液循環をまかなわなければいけないこともあります。例えば単心室は後者の例であり、最終的には「フォンタン手術」と呼ばれる手術を目的とします。
フォンタン手術とは、全身から心臓に戻ってくる静脈血を、上大静脈は直接、そして下大静脈は人工血管を通して、肺動脈に流す手術です。右心室の働きがないため、“右心バイパス術”とも呼ばれます。肺から戻ってきた、酸素を十分に蓄えた動脈血は心室を通り大動脈へと全身に送られるため、チアノーゼ(顔色や皮膚、指先、唇などが紫色に変色し、血液が酸素不足になる状態)はなくなります。最終的にフォンタン手術が出来るかどうかは個々の状況によって大きく経過が異なります。手術療法以外に心不全や肺高血圧に対応するために薬剤療法、カテーテル治療が行われることもあります。
また多脾症候群では不整脈を合併することもあります。胎児期の間から徐脈性の不整脈を来すことがあり、ペースメーカーの使用が求められることもあります。
多脾症候群では、合併する心奇形や消化管奇形などによって経過は大きく異なります。フォンタン手術を要するような心奇形がある場合には、手術を行った後であっても日常生活上注意すべき点は多く、長い間のフォローアップが必要不可欠です。

より詳細には、こちらの記事を参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/150911-000005-LHCPOG
https://medicalnote.jp/contents/160517-004-JO