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特発性肺線維症
 特発性肺線維症とは、肺の構成成分である「間質」と呼ばれる部分に炎症が発症することから生じる病気の一つを指します。間質への炎症が進行することで、肺は厚く硬くなり(線維化と呼びます)、呼吸機能が著...
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特発性肺線維症とくはつせいはいせんいしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

 特発性肺線維症とは、肺の構成成分である「間質」と呼ばれる部分に炎症が発症することから生じる病気の一つを指します。間質への炎症が進行することで、肺は厚く硬くなり(線維化と呼びます)、呼吸機能が著しく障害を受ける病気です。間質に障害を引き起こす原因としては関節リウマチを始めとした膠原病、薬剤など多岐に渡りますが、特発性肺線維症では明らかな誘因を同定することは出来ません。
特発肺線維症は、「特発性間質性肺炎」と呼ばれる病気に含まれるタイプの一つであり、特発性間質性肺炎の中で最も頻度が高く、治療に難渋するものであると考えられています。特発性肺線維症が含まれる特発性間質性肺炎は、日本においては難病指定を受けている疾患です。
特発性肺線維症では、運動をすると呼吸困難を生じやすく、咳などの症状から始まります。病気の進行は緩徐であり、初発症状を自覚してから数ヶ月経ってから病院を受診される方も稀ではありません。進行性の呼吸不全を来たし、また肺がんの合併率も高い疾患です。特発性肺線維症では確実な治療方法が確立されておらず、今後の治療法の改善が強く望まれる疾患です。

原因

 肺に取り込まれた空気は「肺胞」と呼ばれる部分に運ばれますが、肺胞を構成する壁を「間質」と呼びます。肺が呼吸機能を果たすためには、肺は適切に膨らんだりしぼんだりする必要があります。しかし間質に炎症や損傷が生じると、「線維化」と呼ばれる反応を起こし壁が厚く硬くなります。厚く硬くなった壁は容易に膨らますことは出来なくなり、より大きな力を持ってして膨らませる必要が出てきて、うまく酸素を取り込むことができなくなってしまいます。このような状況に陥っているのが特発性肺線維症です。
特発性肺線維症では間質に傷や炎症が生じることがきっかけとなって線維化が生じている状況ですが、傷や炎症を誘発する直接的な原因は同定することは出来ず、遺伝因子と環境因子が複雑に関与しあっていると想定されています。中でも環境因子として重要なのは喫煙であり、喫煙習慣があると肺への障害が繰り返されることになります。特発性肺線維症は、50代以上の男性に多いという疫学的特徴もあります。

症状

 特発性肺線維症では、乾いた咳と労作時呼吸困難が特徴的な初発症状です。労作時呼吸困難とは、普段安静にしている時には呼吸困難は自覚せずとも、階段を上る、坂道を上がる、などの動作に関連して息苦しさを自覚することです。呼吸器系以外の症状として、体重減少やつかれやすさを自覚することもあります。
呼吸障害の程度は初期には軽微であり、数ヶ月経ってから病院を受診されることがあります。病状が進行すると酸素化障害が非常に強くなり、チアノーゼも呈することがあります。
特発性肺線維症では、呼吸器感染症などをきっかけとして数日から1ヶ月の経過で突然呼吸機能が増悪することがあり、このことを「急性増悪」と呼びます。さらに長期間特発性肺線維症が持続すると、肺がんを発症することもあります。

検査・診断

 特発性肺線維症では、胸部単純レントゲン写真を診断の第一歩として行います。その後より詳細に肺障害の様相を評価するために、CT検査が行われます。特発性肺線維症では、線維化の強い「蜂巣肺」と呼ばれる部分と正常な肺が隣り合う特徴的な画像所見を呈します。また病初期には背中に面した肺で病変を見ることが多いですが、時間経過と共に徐々に画像上の増悪性変化が全体に進行することも確認されます。
血液検査では肺障害を反映して高値を示すKL-6やSP-D、SP-A、LDHといった項目を検討します。特発性間質性肺炎では、血液ガス検査で低酸素血症の状況を見たり、呼吸機能検査を行って肺が硬くなっている状況を確認したりします。また間質壁が厚くなると、ガスがうまく浸透しなくなる「拡散障害」を見るようになります。
さらに特殊な検査として、気管支鏡を用いて気管支液を回収し他の疾患との鑑別を行うことがあります。また最終的な病型を診断するには、肺の組織を採取して顕微鏡で確認する病理検査が重要です。肺の組織の採取方法としては、気管支鏡や外科的な切除などがあります。しかしながら、肺の組織をとるというのは患者さんに対しての侵襲性が高い側面もあるため、その他の検査である程度診断がついている場合や患者さんの状態が検査に耐えることができなさそうな状況などにおいては、肺生検の検査を行わずに経過を見ることもあります。

治療

 特発性肺線維症では効果が確実に望める治療方法はなく、今後の治療方法の開発が強く望まれる疾患です。特発性肺線維症において使用することが検討される薬剤としては、ステロイドや免疫抑制剤(アザチオプリンやシクロホスファミド、シクロスポリンなど)があります。また病状がある程度進行すると、ピルフェンドン、ニンテダニブといった線維化を抑制する薬剤が使用されることがあります。
薬物治療に対する治療効果はまちまちであり、治療を行うにも関わらず肺障害が進行することも稀ではありません。病状が進行すると呼吸不全が強くなるため、在宅酸素療法といった治療方法が選択されることになります。また、呼吸リハビリテーションを行い、呼吸困難を改善させたりQOLを向上させたりすることを期待します。
呼吸不全強い場合には、上記のような内科的な治療方法では改善を見込むことができないこともあります。その場合においては、肺移植が検討されることもあります。
特発性肺線維症では、感染症、診断に関連した検査、薬剤などをきっかけとして肺機能障害が増悪することがあります(「急性増悪」と呼びます)。急性増悪を起こした状況では、ステロイドや免疫抑制剤、好中球エラスターゼ阻害薬、人工呼吸管理などが行われます。
特発性肺線維症は、もともとの呼吸機能が低下している状態です。手洗ううがいや、マスクの着用を行うことはもちろんのこと、ワクチンを接種して感染症予防(例えばインフルエンザ)を徹底することが大切です。

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