原因
神経線維腫の原因は遺伝子異常です。原因遺伝子に応じて神経線維腫症Ⅰ型、神経線維腫症Ⅱ型、シュワノマトーシスの3つに分類されます。
神経線維腫症Ⅰ型
神経線維腫症I型は、NF1と呼ばれる遺伝子に異常が生じることから発生します。NF1遺伝子はニューロフィブロミン(neurofibromin)と呼ばれるタンパク質を産生します。
ニューロフィブロミンは、神経細胞そのものや、神経細胞周囲に存在するシュワン細胞と呼ばれる細胞に多く認められます。ニューロフィブロミンは、細胞が異常に増殖しないように調整する働きをもっており、このように細胞増殖に対してブレーキとしての働きを持つ遺伝子は、癌抑制遺伝子と呼ばれます。
神経線維腫症Ⅰ型では、異常なニューロフィブロミンが産生されるため、細胞増殖に対する抑止力が働かなくなり、無秩序に細胞が増殖するようになります。その結果、神経線維腫をはじめとした腫瘍が神経系に多く発生するようになります。
神経線維腫症Ⅰ型は、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとりますが、両親がこの病気を有していない場合でも発症することがあります。
神経線維腫症Ⅱ型
神経線維腫症Ⅱ型は、NF2と呼ばれる遺伝子に異常が生じます。この遺伝子が作り出すタンパク質はマーリン(merlin)と名付けられています。
マーリンはシュワン細胞(神経細胞を包み込む細胞の一種)に多く認められ、ニューロフィブロミンと同様に、細胞が異常に増殖しないようにする癌抑制遺伝子としての働きをもっています。
したがって、NF2に異常のある神経線維腫症Ⅱ型では、シュワン細胞を中心として腫瘍が形成されるようになります。遺伝形式は、神経線維腫症Ⅰ型と同様に常染色体優性遺伝の形式をとります。
シュワノマトーシス
シュワノマトーシスは、SMARCB1遺伝子あるいはLZTR1遺伝子の変異を原因として発症することが多いです。
これら遺伝子異常があるだけでは腫瘍が発生するには不充分であり、NF2遺伝子変異など追加の遺伝子異常が発生することから腫瘍が発生すると考えられています。
両親など家族内での発症がある場合もあれば、ない場合もあります。
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