そこうしょう

鼠咬症

最終更新日:
2020年08月31日
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2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

鼠咬症(そこうしょう)による感染症とは、主にラットなどのげっ歯類に噛まれることで起こる、動物由来感染症です。ラットをはじめとするげっ歯類の口腔内には、以下2種類の鼠咬症の病原体が常在しています。感染する病原体により、現れる病気も異なります。

モニリホルムレンサ桿菌(かんきん)

モニリホルムレンサ桿菌感染症を引き起こす病原体です。主にラットに噛まれた傷(咬傷(こうしょう))から感染することが多く、ほかにはマウスやリス、スナネズミに噛まれた咬傷や引っ掻き傷から感染することもあります。
発熱や筋肉痛など、インフルエンザのような症状を呈します。また、痛みを伴う多発性関節炎が起こることもあります。

鼠咬症スピリルム

鼠咬症スピリルム感染症を引き起こす病原体です。ほとんどの感染源はラットの咬傷といわれています。
症状はモニリホルムレンサ桿菌感染症とよく似ているものの、関節炎を伴うことは少ないとされています。
鼠咬症スピリルム感染症は、日本では鼠毒として知られています。

原因

鼠咬症の病原体は、モニリホルムレンサ桿菌と鼠咬症スピリルムという、異なる2種類の細菌です。これらの病原体はラット(ドブネズミやクマネズミ)など、げっ歯類の口腔内に常在しており、主に噛まれることで人間に感染します。

モニリホルムレンサ桿菌感染症の原因

原因菌であるモニリホルムレンサ桿菌は、主にドブネズミやクマネズミなどのラットの口腔咽頭に常在しており、一般的にはラットに噛まれることを機に感染します。ただし、ラットの中耳や気管、尿にもモニリホルムレンサ桿菌の存在は確認されています。

げっ歯類では、ラットのほかにマウスやリス、スナネズミに噛まれた傷、引っ掻かれた傷からも感染することがあります。

また、げっ歯類を捕食するイタチやイヌ、ネコなどの動物から感染した例も報告されています。
世界では、モニリホルムレンサ桿菌により汚染されたミルクや水を介した経口感染による集団発生(ハーバーヒル熱)も報告されています。特に、げっ歯類が棲息している家屋での睡眠中に罹患することが多いといわれています。

鼠咬症スピリルム感染症の原因

ドブネズミやクマネズミなどのラットや、そのほかのげっ歯類に噛まれることで感染するといわれています。このほかの感染経路は知られておらず、集団感染も起こらないと考えられています。鼠咬症スピリルムは通常、感染したげっ歯類の血液中または結膜に存在しており、感染動物の口腔粘膜が傷ついたときに、唾液中に移行するといわれています。

症状

モニリホルムレンサ桿菌感染症の症状

感染後、潜伏期間を経て次のような症状が現れます。モニリホルムレンサ桿菌の潜伏期間は1~10日、通常3~5日といわれています。

  • 悪寒
  • 回帰性の発熱:発熱が続き一旦解熱するという回帰が、1週間の間隔で1~3か月持続し、自然に治癒していきます。
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 筋肉痛
  • 発疹:噛まれた傷の周囲に現れ、手足(四肢)や手のひら、足の裏にも出現するようになります。出血性の発疹や、を持った発疹が生じることが特徴です。
  • 非対称性の多発性関節炎:通常は、大関節に炎症が現れます。

など

咬傷部は炎症を起こし、自然に治癒していきます。ただし、再発することもあります。

モニリホルムレンサ桿菌感染症の合併症

など

治療をしない場合には、死亡することもあります。

鼠咬症スピリルム感染症の症状

潜伏期間を経て、以下のような熱発作が始まります。鼠咬症スピリルムの潜伏期間は通常 7~21 日と比較的長くなっています。ただし、感染から2日で発症することも、数か月を経て発症に至ることもあります。

  • リンパ節の腫脹(腫れ)
  • 暗黒色の発疹:咬傷の周囲に現れ、全身へと広がっていきます。
  • 回帰性の発熱:数日にわたり発熱が続いた後、解熱と発熱を1~3か月繰り返します。

など

モニリホルムレンサ桿菌感染症とは異なり、関節炎が現れることは極めてまれとされます。治療をしない場合に死亡することもあります。

検査・診断

モニリホルムレンサ桿菌感染症の検査

咬傷部やリンパ節、関節液、から菌を分離し、液体培地で培養して同定します。
このほか、近年では16S rRNA遺伝子特異的PCR法により、モニリホルムレンサ桿菌の遺伝子を検出する方法も用いられています。

鼠咬症スピリルム感染症の検査

鼠咬症スピリルムは、モニリホルムレンサ桿菌のように人工培地で増殖させることはできません。そのため、血液などの体液をマウスやモルモットに接種して菌を証明します。

治療

モニリホルムレンサ桿菌感染症、鼠咬症スピリルム感染症に対する第一選択薬は、いずれもペニシリン系抗生物質です。このほかテトラサイクリン系やセフェム系の抗生物質も有効とされます。

予防策としては、ネズミ駆除が挙げられます。また、実験動物を取り扱う際には手袋を着用することも大切です。げっ歯類をペットとして飼育することは避けることが望ましく、飼育する場合は十分な注意が必要です。

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