病院を受診しても、
原因が分からず、
診断がつかない
原因を見つけるため、
病院を転々としている
熱が出やすい体質だと
諦めている
発熱はさまざまな病気によって引き起こされる一般的な症状です。もっともよくみられる原因は感染症ですが、そのほかにもがん、自己免疫疾患など、考えられる原因は多岐にわたります。
医師は、症状や患者さんの病歴、生活環境などを考慮して診断を行います。発熱以外に症状があればそれを手がかりに原因を特定できる可能性がありますが、発熱以外の症状が乏しい場合、手がかりが不足し診断が困難になります。
熱が出たり引いたりを繰り返すなど、常に症状が現れているわけではないケースもあります。この場合、診察するタイミングによっては医師が症状を把握しにくく、正確な診断が難しくなります。
原因特定の手がかりを増やすために
記録をつけておきましょう
かぜやインフルエンザ、肺炎などの感染症は、もっともよくみられる発熱の原因です。多くの場合、感染症による発熱は4日以内に治まりますが、原因となる細菌・ウイルスによっては、より長く続いたり繰り返したりすることがあります。
がんが原因で生じる発熱を“腫瘍熱(しゅようねつ)”と呼び、毎日決まった時間帯に発熱を繰り返す、寒気やふるえなどの発熱以外の症状を伴わないといった特徴があります。腫瘍熱はがんの種類を問わず生じる可能性がありますが、中でも悪性リンパ腫などの血液のがんや腎臓がんは腫瘍熱を起こしやすいことが分かっています。
自己免疫疾患は、本来は細菌やウイルスなどの異物を攻撃するはずの免疫に異常が起こり、誤って正常な組織を攻撃するようになることで生じる病気の総称です。具体的な病気としては、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどが挙げられます。自己免疫疾患で発熱が生じている場合、関節痛や筋肉痛、発疹(ほっしん)、口や目の渇きなど、ほかの症状を伴うことが一般的です。
原因不明の発熱が長期間続く場合や繰り返す場合、自己炎症性疾患が疑われることもあります。自己炎症性疾患とは、全身の炎症によって発熱や痛みなどの症状が繰り返し起こる病気の総称です。中でも、発症の原因に遺伝子の変異がかかわっているものを“遺伝性自己炎症性疾患”と呼びます。代表的な遺伝性自己炎症性疾患には、家族性地中海熱や高IgD症候群、PFAPA症候群などがあります。
ここでは、日本でもっとも頻度の高い遺伝性自己炎症性疾患である家族性地中海熱について解説します。
原因となる病気を特定するためには
発熱以外の症状も
医師に伝えることが重要です
発熱があるときは、まずかかりつけの内科や総合診療科、感染症科などを受診しましょう。
しかし、発熱以外に特徴的な症状がある場合や原因不明の発熱に悩んでいる場合、症状に応じてリウマチ科などの専門の診療科を受診することも重要です。専門の医師は特定の領域について深い知識を持っているため、詳細な検査を行って診断につなげることが期待できます。
発熱が生じる時間帯や周期、持続時間、発熱以外の自覚症状(だるさ、痛みなど)、服用した薬などの記録をつけておくと、医師が病状を理解する際の手がかりになります。発熱がいつから起こったか、どのような状況で悪化・改善するのかといった情報も重要です。
「治療ノート」は、スマートフォンを使って症状を記録できるアプリです。記録した内容は自動でまとめられ、その画面を医師に見せることで簡単に症状を伝えることができます。
まずは最近の発熱や症状について
記録してみましょう。
診察の際に伝えきれなかった病状の経過(症状が出た時間・程度や内服の記録、など)をより詳しく、正確に医師と共有することにより、原因がわからなかった発熱の診断ができるようになる可能性が高くなると思います。”治療ノート”の記録は、診断・治療までの最短ルートをたどるための”道しるべ” として、診察を担当する医師が活用できる新たなツールであると思います。
石川 雄一 先生
不明熱は問題が解決しないため複数の医療機関で相談をすることで、症状、治療経過の説明が複雑になっていきます。そうなると医師の問診は要点がつかみづらくなってくるものです。治療ノートは客観的にデータを残すことで目に見えるかたちで医師との情報共有がスムーズに進むことが可能です。短時間で詳細なデータが得られることによって診断の糸口になる可能性があります。困っている患者様こそ利用してもらいたいと思います。
清水 宣博 先生
発熱にはさまざまな原因がありますが、最初は感染症を疑うことが基本です。その場合、病原体との接触歴についての情報を医療者へ伝えるとよいでしょう。その代表的なものには次の項目があります:けが・歯科的異常・体内への器具挿入・熱発者との接触・動物との接触・生肉の摂取・旅行(海外だけでなく国内も)・特別な環境(山、川、温泉、サウナ)への曝露などです。これらの情報も記載すると問診に役立ちます。
徳田 安春 先生
受診する際は、記録内容を
医師に見せながら説明しましょう。
先生に熱の特徴や症状を
整理して伝えるために、
まずは記録を始めましょう。