食道がん

ほかの医療機関では手術が難しいとされていた50歳代男性

最終更新日
2021年04月16日

がん研有明病院で副院長と消化器外科部長兼食道外科部長を務める渡邊雅之(わたなべまさゆき)先生に、食道がんの症例について伺いました。

ほかの医療機関では手術が難しいとされていた50歳代男性

こちらの患者さんは頸胸部(けいきょうぶ)に進行した食道がんがあり、以前受診していた医療機関では手術が難しいと判断されて放射線治療を受けたといいます。しかし、治療後も腫瘍(しゅよう)が残ったままで気管にも浸潤しており、当院にお越しになったときはがんによって食道がかなり狭窄(きょうさく)し、水も飲めないような状態でした。前医で放射線治療後であり、手術治療以外に根治を目指せる治療方法がないと判断し、当院では手術治療を行うことになりました。

手術によってがんが根治し食べ物も食べられるようになった

手術治療では咽頭(いんとう)喉頭(こうとう)・食道の全てを全摘し、縦隔気管孔を造設する手術を行いました。喉を温存することはできませんでしたが、がんをしっかり取り切ることができ、術後3年以上経過しますが今のところ再発はありません。また、当院を受診した当初は水も飲めないような状態でしたが、今では口から食べ物を摂取することができています。

がん研究会有明病院

〒135-8550 東京都江東区有明3丁目8-31 GoogleMapで見る


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