食道がん
ほかの医療機関では手術が難しいとされていた50歳代男性
がん研有明病院で副院長と消化器外科部長兼食道外科部長を務める渡邊雅之先生に、食道がんの症例について伺いました。
ほかの医療機関では手術が難しいとされていた50歳代男性
こちらの患者さんは頸胸部に進行した食道がんがあり、以前受診していた医療機関では手術が難しいと判断されて放射線治療を受けたといいます。しかし、治療後も腫瘍が残ったままで気管にも浸潤しており、当院にお越しになったときはがんによって食道がかなり狭窄し、水も飲めないような状態でした。前医で放射線治療後であり、手術治療以外に根治を目指せる治療方法がないと判断し、当院では手術治療を行うことになりました。
手術によってがんが根治し食べ物も食べられるようになった
手術治療では咽頭・喉頭・食道の全てを全摘し、縦隔気管孔を造設する手術を行いました。喉を温存することはできませんでしたが、がんをしっかり取り切ることができ、術後3年以上経過しますが今のところ再発はありません。また、当院を受診した当初は水も飲めないような状態でしたが、今では口から食べ物を摂取することができています。
関連の症例
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2箇所にがんが生じ、化学放射線治療を行った患者さん
がん研有明病院で副院長と消化器外科部長兼食道外科部長を務める渡邊雅之(わたなべまさゆき)先生に、食道がんの症例について伺いました。 2箇所にがんが生じ、化学放射線治療を行った患者さん こちらの患者さんはがんが見つかった際、ステージIIIの頸部食道がんとステージIIの胸部食道がんを重複している状態でした。初回の治療では、患者さんご自身が喉頭の温存を希望したため、手術ではなく化学放射線治療で根治を目指すことになりました。 治療は奏功し腫瘍が消失しましたが、治療開始からおよそ1年後に胸部食道がんが再燃し、救済手術を行うことになりました。救済手術によって無事がんを切除することができたほか、幸い、頸部食道がんは完全寛解状態を維持していたため、術後も喉頭の温存は可能でした。 がん寛解後に食道気管瘻()が発生するも手術で解決 こちらの患者さんの場合、治療によってがんは取り切れたものの、治療後も頸部食道がんを治療した際の化学放射線療法による瘢痕狭窄(はんこんきょうさく)(傷あとが残り食道が狭くなること)が生じており、放っておくと食道が狭まってしまうので、内視鏡による食道の拡張術を度々行っていました。すると、治療開始から4年近くが経過した際、食道に穴が空き気管に唾液や胃液などが流れ込む“食道気管瘻”が生じてしまいます。 食道気管瘻は命に関わる合併症ですので、手術によって食道の穴を塞ぎ、患者さんの結腸を使って食道をつなぎ直すことになりました。現在は治療開始から6年が経過しますが、がんの再発もなく、口から食事ができる状態で元気に生活されています。
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化学療法が効いて手術が可能になったステージIVの60歳代女性
東京大学医学部附属病院における食道がんの症例を、病院長の瀬戸 泰之(せと やすゆき)先生に伺いました。 化学療法が効いて手術が可能になったステージIVの60歳代女性 こちらの患者さんは嗄声(させい)(声がかすれること)をきっかけに病院を受診し、ステージIVの食道がんが見つかりました。声のかすれは食道がんが喉にある反回神経沿いのリンパ節に転移したために神経が麻痺をして生じたものでした。 ステージIVといえば残念ながら手術治療はできず、化学療法などでがんの増殖を抑える治療になります。しかし、この患者さんは化学療法として抗がん剤3種類を併用したところ、転移していたリンパ節のがんがかなり小さくなったことから、手術ができることになりました。 声のかすれも改善し日常生活に復帰 化学療法が効いたことにより、手術で食道のがんだけでなく転移したリンパ節のがんも切除することができたため、術後1年ほど経過しても再発はありませんでした。また、受診のきっかけとなった声のかすれも術後数か月で回復し、今では通常どおり声を出せるようになっています。食事も取れるようになり、問題なく日常生活が送れるようになりました。
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