前立腺がん
VRを活用した手術を行った70歳代男性
NTT東日本関東病院 泌尿器科部長の志賀 淑之先生に、前立腺がんの症例についてお話を伺いました。
VRを活用した手術を行った70歳代男性
こちらの患者さんは前立腺肥大が強く、前立腺の大きさが握りこぶし程度ある状態でした。前立腺は通常20g程度の臓器ですが、がん発見時には110gもあり、難しい手術になることが予測されました。
VRを用いて高い精度の手術を実施
このような強い前立腺肥大を伴う前立腺がんの手術では、前立腺と膀胱の状態を立体的に捉え、前立腺を丁寧に切除していくことが大切です。そこで当院ではバーチャルリアリティ(VR)を活用し、立体的に切除範囲を見極めたうえで手術に臨みました。手術直後は多少の尿失禁が見られたものの体の回復とともに改善され、今では問題なく生活されています。術後5年以上経過していますが、再発はなくお元気です。
関連の症例
-
ホルモン療法後に手術を行った40歳代男性
NTT東日本関東病院 泌尿器科部長の志賀 淑之(しが よしゆき)先生に、前立腺がんの症例についてお話を伺いました。 ホルモン療法後に手術を行った40歳代男性 こちらの患者さんはPSA検査の結果が100以上と非常に高値で、骨盤リンパ節にも転移がある状態で前立腺がんが見つかりました。ほかの医療機関では手術治療も放射線治療も難しいといわれ、ホルモン療法を行うことを提案されたそうです。当院へはセカンドオピニオン外来でいらっしゃったのですが、年齢が若いこともあり、なんとか手術ができないだろうかと私たちも頭を悩ませました。 半年間のホルモン療法の後に手術を実施 そこで当院では半年間ホルモン療法を行い、PSA値を下げてから手術を行うことにしました。手術は転移のあった骨盤リンパ節も取り除く大がかりなものとなりましたが、手術時間はおよそ2時間半と短時間で、出血量も20ccと少なく済みました。術後の合併症として尿失禁なども見られず、5年以上経過した今でも再発なくお元気に過ごされています。
続きを読む -
80歳代で行った前立腺がん手術が患者さんの自信に
順天堂大学医学部附属順天堂医院の泌尿器科で教授を務める堀江ほりえ重郎しげお先生に、前立腺がんの症例について伺いました。 80歳代で行った前立腺がん手術が患者さんの自信に この患者さんは、80歳代の男性の方で合併症のないステージ3の状態でした。年齢を踏まえると、患者さんによっては治療をしない選択肢を取ったり、手術治療はせずに放射線治療を選択したりする方もいらっしゃいます。しかし、この患者さんには手術を受けたいという希望がありました。 幸いにも、この方はテニスをするなど日常的に体を動かしていたために筋肉がしっかりしており、尿道括約筋が長かったこともあって、患者さんの希望どおり手術を行うことができました。 手術治療を無事に終えて手に入れた自信 ロボット支援下手術を行い、結果は無事に終了。手術後2か月が経過したころには尿漏れなどもなく、テニスも再開するまでに回復していました。患者さんとしても不安はあったと思いますが、やはり病気を治したという事実は患者さんの大きな自信になっているようにも見えました。この患者さんは、現在も大好きなテニスなどの趣味を楽しみながら、元気に暮らしていらっしゃいます。
続きを読む