前立腺がん
持病を抱え、相談を重ねて小線源療法を行った患者さん
順天堂大学医学部附属順天堂医院の泌尿器科で教授を務める堀江重郎先生に、前立腺がんの症例について伺いました。
持病を抱え、相談を重ねて小線源療法を行った患者さん
この患者さんは、70歳代の男性でステージはII~IIIの間でした。もともとの持病から車椅子で生活をされていたため、手術を受けるために必要な筋肉量がなく、手術治療は難しいことが想定されました。
また、ホルモン治療は筋肉量がさらに減ってしまう可能性があり、放射線治療も車椅子で7週間もの間通院をするのは負担になるであろうことが懸念されていました。総合的に考え患者さんと相談したうえでたどり着いたのが、局所の小線源治療でした。
相談を重ねたうえでたどり着いた局所の小線源治療
小線源療法を行った結果、進行を食い止めることができました。この患者さんのように、すでに病気を抱えていたりご高齢であったりする方の場合、治療前と治療後のライフスタイルが変わらないことがとても大切です。この患者さんの場合には、局所の小線源治療を行ったことで、治療前と変わらぬ生活を送ることができています。
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80歳代で行った前立腺がん手術が患者さんの自信に
順天堂大学医学部附属順天堂医院の泌尿器科で教授を務める堀江ほりえ重郎しげお先生に、前立腺がんの症例について伺いました。 80歳代で行った前立腺がん手術が患者さんの自信に この患者さんは、80歳代の男性の方で合併症のないステージ3の状態でした。年齢を踏まえると、患者さんによっては治療をしない選択肢を取ったり、手術治療はせずに放射線治療を選択したりする方もいらっしゃいます。しかし、この患者さんには手術を受けたいという希望がありました。 幸いにも、この方はテニスをするなど日常的に体を動かしていたために筋肉がしっかりしており、尿道括約筋が長かったこともあって、患者さんの希望どおり手術を行うことができました。 手術治療を無事に終えて手に入れた自信 ロボット支援下手術を行い、結果は無事に終了。手術後2か月が経過したころには尿漏れなどもなく、テニスも再開するまでに回復していました。患者さんとしても不安はあったと思いますが、やはり病気を治したという事実は患者さんの大きな自信になっているようにも見えました。この患者さんは、現在も大好きなテニスなどの趣味を楽しみながら、元気に暮らしていらっしゃいます。
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高難易度でも手術を行った60歳代男性
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