子宮がん
70歳代ステージIIIC2期の子宮体がん
こちらの患者さんは診断時進行した子宮体がんで、リンパ節転移が多発している状態でした。骨盤内リンパ節に4か所、傍大動脈リンパ節に3か所の転移がありましたが、手術で無事に取り切ることができました。
このように多発リンパ節転移のみられる子宮体がんでは、手術治療の後に再発を予防するため、抗がん剤による化学療法を追加で行うことが一般的です。しかし、こちらの患者さんは住んでいるところが当院から離れていること、年齢的な理由などから「抗がん剤治療はしたくない」とおっしゃったため、私たちも無理にすすめることができず、追加の化学療法を行わないことになりました。
患者さんが化学療法を拒否したものの10年以上再発はなし
リンパ節転移がありながら術後の化学療法を行わなかったため、患者さんだけでなく私たちも再発について非常に心配していたのですが、こちらの患者さんの場合には術後10年経過しても再発することはありませんでした。こちらの患者さんの結果から、手術でしっかりがんを取りきることができれば、たとえステージIIIであっても再発しないこともあることを学びました。
関連の症例
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30歳代ステージIIB期の子宮頸がん
こちらの患者さんは診断時ステージIIB期の子宮頸(しきゅうけい)がんで、術前に化学療法を行った後、広汎子宮全摘出術を行いました。幸い手術は成功し一度は寛解となったものの、およそ7年後に再発してしまい、再び治療が必要になりました。2度目の手術はリスクも高く、体の負担も大きいため、当院では放射線治療を行うことになりました。 治療から5年以上の長期的なフォローアップが大切 こちらの患者さんの場合、幸い放射線治療が効果を示し、最初の診断から10年以上経過しますが、元気に生活されています。がん治療後のフォローアップ期間は5年で打ち切りになる医療機関も少なくありません。しかし子宮頸がんの場合、こちらの患者さんのように治療から5~10年以上経過してから再発する可能性もあるため、長期的にフォローアップすることが非常に大切です。当院は患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら、長期的に通っていただき、経過を見ることを大切にしています。
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60歳代ステージIB期の子宮肉腫
こちらの患者さんは“子宮平滑筋肉腫”といって、比較的まれながんの患者さんでした。もともとほかの医療機関で治療を受けていた患者さんですが、手術治療で子宮を摘出した後も再発が多く、薬物治療をしても思ったように効かないなど、いわゆる治療抵抗性があり、なすすべがないために当院にいらっしゃいました。来院当時は肝臓に転移が生じていたのですが、外科の医師とも話し合い、手術を行うことになりました。 2回の手術の後、再発がなくなる 手術によって肝臓に転移したがんはしっかり取り切れたものの、次は肺に転移が生じました。そこで、今度は肺に対しても胸腔鏡下手術を行いました。「このままあらゆる臓器に転移するのではないか」と心配していたものの、術後は途端に転移がなくなり、2年近く無再発で過ごしていらっしゃいます。当院にいらしてからは化学療法も放射線治療もしていないため、手術治療だけでここまでよい経過をたどっていることに患者さんはもちろん、私たちも非常に驚きました。 こちらの患者さんの場合は肉腫という比較的まれながんだったため、当院のさまざまな診療科を集めてカンファレンスを行ったことで適切な治療方法が選択できたと思っています。また手術治療という局所療法をしっかり丁寧にやっていくことによって、がんをコントロールできる例もあるという学びにもなりました。
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