子宮がん

60歳代ステージIB期の子宮肉腫

最終更新日
2022年07月08日

こちらの患者さんは“子宮平滑筋肉腫”といって、比較的まれながんの患者さんでした。もともとほかの医療機関で治療を受けていた患者さんですが、手術治療で子宮を摘出した後も再発が多く、薬物治療をしても思ったように効かないなど、いわゆる治療抵抗性があり、なすすべがないために当院にいらっしゃいました。来院当時は肝臓に転移が生じていたのですが、外科の医師とも話し合い、手術を行うことになりました。

2回の手術の後、再発がなくなる

手術によって肝臓に転移したがんはしっかり取り切れたものの、次は肺に転移が生じました。そこで、今度は肺に対しても胸腔鏡下手術を行いました。「このままあらゆる臓器に転移するのではないか」と心配していたものの、術後は途端に転移がなくなり、2年近く無再発で過ごしていらっしゃいます。当院にいらしてからは化学療法も放射線治療もしていないため、手術治療だけでここまでよい経過をたどっていることに患者さんはもちろん、私たちも非常に驚きました。

こちらの患者さんの場合は肉腫という比較的まれながんだったため、当院のさまざまな診療科を集めてカンファレンスを行ったことで適切な治療方法が選択できたと思っています。また手術治療という局所療法をしっかり丁寧にやっていくことによって、がんをコントロールできる例もあるという学びにもなりました。

北海道大学病院

〒060-8648 北海道札幌市北区北十四条西5丁目 GoogleMapで見る

前の症例

これは、私が北海道大学病院に着任したばかりの話です。こちらの患者さんは白血病で、第一選択である化学療法を行った後に再発。その後、骨髄(こつずい)バンクや臍帯血(さいたいけつ)バンクを利用して2回ほど造血幹細胞移植を行いましたが、繰り返し再発してしまい、なすすべがない状態でした。 しかし、患者さんは30歳代ということで体力もあり、体は元気でした。私たちは「なんとかしたい」という思いから、当時はまだ承認されていなかったHLA半合致移植を行うことを提案。本人やご家族もそれに応じたため、当院で初めてのHLA半合致移植を行うことになりました。 10年近くたった今でも再発なし HLA半合致移植は、骨髄の血液型であるHLAが半分合致していれば移植を受けられます。HLAはそもそも両親から半分ずつ受け継ぐものなので、こちらの患者さんの場合はご本人のお父さんがドナーとなって移植を行うことになりました。 私たちとしても初めてのHLA半合致移植であり、うまくいくか不安なところはありました。しかし無事に移植が完了し、10年近く経過した今でも再発なく元気に過ごされています。この治療をしなければ命がなかったと思うと感慨深いものがあります。この患者さんの治療をきっかけに、HLA半合致移植の臨床研究をオールジャパンで実施し、その結果、認可されるに至りました。


関連の症例

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