白血病
30歳代女性の白血病
これは、私が北海道大学病院に着任したばかりの話です。こちらの患者さんは白血病で、第一選択である化学療法を行った後に再発。その後、骨髄バンクや臍帯血バンクを利用して2回ほど造血幹細胞移植を行いましたが、繰り返し再発してしまい、なすすべがない状態でした。
しかし、患者さんは30歳代ということで体力もあり、体は元気でした。私たちは「なんとかしたい」という思いから、当時はまだ承認されていなかったHLA半合致移植を行うことを提案。本人やご家族もそれに応じたため、当院で初めてのHLA半合致移植を行うことになりました。
10年近くたった今でも再発なし
HLA半合致移植は、骨髄の血液型であるHLAが半分合致していれば移植を受けられます。HLAはそもそも両親から半分ずつ受け継ぐものなので、こちらの患者さんの場合はご本人のお父さんがドナーとなって移植を行うことになりました。
私たちとしても初めてのHLA半合致移植であり、うまくいくか不安なところはありました。しかし無事に移植が完了し、10年近く経過した今でも再発なく元気に過ごされています。この治療をしなければ命がなかったと思うと感慨深いものがあります。この患者さんの治療をきっかけに、HLA半合致移植の臨床研究をオールジャパンで実施し、その結果、認可されるに至りました。