大腸がん
40歳代でステージIVaと診断された直腸がん患者さん
こちらの患者さんは40歳代の男性で、腹痛・下痢・下血などの症状が悪化してきたことをきっかけに受診されて直腸がんが見つかりました。比較的若い患者さんでしたが、発見時には単発ではあるものの肝臓に転移が見つかっており、ステージIVaと診断されました。
直腸がんと肝転移を同時に切除
こちらの患者さんの場合、肝転移が1か所で、しかも肝臓の表面にあり手術で取りやすい位置と判断されました。そのため、直腸がんをロボット支援下手術で切除すると同時に肝転移も腹腔鏡下手術で切除するという選択を取りました。
手術自体は合計9時間を超える大手術となりましたが、カメラを入れる穴として直腸切除時と肝臓切除時で同様の穴を使用できたことから術後の傷は小さく、合併症もありませんでした。手術でがんをしっかり取りきることができたため、現在は仕事に復帰することもできています。
関連の症例
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放射線治療の結果、手術可能になった60歳代男性
がん研有明病院 消化器センター・大腸外科部長の福長 洋介(ふくなが ようすけ)先生に、大腸がんの症例について伺いました。 放射線治療の結果、手術可能になった60歳代男性 こちらの患者さんは直腸がんで、腫瘍が大きく膀胱への浸潤(しんじゅん)(がんが周りの器官に広がっていくこと)がひどい状態でした。貧血や低タンパクなど体力も大きく落ちており、このような全身状態では手術治療はもちろん、抗がん剤治療を行うことすら困難です。以前受診していた医療機関では緩和ケアで様子を見ることをすすめられたとのことでした。 当院でも、この状態で手術を行うことは難しいと考えられましたが、まずはがんによる貧血や低タンパクを改善するため、入院で放射線治療を行うことにしました。 放射線治療で全身状態が改善し、手術が可能に 放射線治療を行ったところ、腫瘍が縮小したことにより貧血や低タンパクが改善し、全身状態がよくなってきました。そこで当院では、放射線治療から1か月経過し体力が回復した後、手術を行うことになりました。 前述のとおり、膀胱への浸潤がひどい状態だったので直腸・膀胱・前立腺を全て摘出する“骨盤内臓全摘術”を行い、排泄のための人工肛門(じんこうこうもん)・人工膀胱の2つのストーマを造設しました。現在手術から5年ほど経過しましたが、再発なく元気に生活していらっしゃいます。 放射線治療後の手術は組織が脆(もろ)く手術の難易度が上がりやすいという特徴があります。しかし当院では、さまざまな技術やチームワークを生かして、このような難しい手術にも挑戦しています。
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診断時に余命半年といわれたステージIVの70歳代女性
京都桂病院の消化器センター・外科の副部長を務める濱洲はます晋哉しんや先生に、大腸がんの症例について伺いました。 診断時に余命半年といわれたステージIVの70歳代女性 こちらの患者さんはS状結腸がんで、診断時にはすでに肝転移がみられるステージIVと診断されました。診断時の余命は半年。危険な状態でしたが、原発巣となるS状結腸がんを手術で切除し、その後抗がん剤による化学療法を行ったところ、抗がん剤がよく効き転移や再発なく数年経過しました。 その後、肝転移や肺転移がみられたものの、また別の抗がん剤が効果を示し、肺の転移はなくなりました。肝転移が残ったので2回目の手術を行い、放射線治療も行いました。 集学的治療によってがんをコントロールして10年 2回の手術とさまざまな抗がん剤、放射線治療などを駆使することにより、診断から10年ほど経った今でもご存命です。半年といわれた命がこんなにも延びることは、私たち医師としてもとても嬉しいことです。
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