「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。
さまざまな性感染症について、性感染症学会の代議員としてわが国における性感染症予防・治療を牽引し、ご自身の診療所でも長きに渡り性感染症の患者さんと向き合われてきた尾上泰彦先生に今回伺ったのは、「真珠様小丘疹」についてのお話です。これは性感染症ではありません。しかし、性感染症である「尖圭コンジローマ」とよく似ているため、混同されることがある点に問題があります。
真珠様小丘疹とは、尖圭コンジローマとよく似ていますが、性感染症ではないイボのことを言います。尖圭コンジローマを含めたさまざまな性感染症と異なり、無害な症状(生理現象)です。
男性の場合は亀頭の冠状溝に、女性の場合は腟前庭から小陰唇にかけて左右対称に乳頭状のイボができます。男性の亀頭に発生するとき、特に「真珠様陰茎小丘疹」と呼ばれることがあります。
これらは生理的変化で生じるもので、粘膜下の脂腺が透けて黄色に見えるもの(フォアダイス状態)もあります。これらのイボは尖圭コンジローマと見分けにくいことがしばしばあり、医師であっても誤診するケースがあります。尖圭コンジローマは真珠様小丘疹と異なり、癌になる恐れもある重大な感染症ですから、これについての記事も併せて確認してみてください。
参考記事:『尖圭コンジローマとはどんな病気?―癌になる恐れもある性感染症』
真珠様小丘疹 男性の症状1
真珠様小丘疹 男性の症状2
真珠様小丘疹 女性の症状1
真珠様小丘疹 女性の症状2
フォアダイス状態 男性
フォアダイス状態 女性
真珠様小丘疹は、冒頭に述べたとおり、性感染症ではありません。無害なイボ状のものであり、またウイルス性の症状ではないため、性行為の際にパートナーにうつしてしまうこともありません。そのため、必ず直す必要のある種類のものではありません。しかし、見た目上の問題もあり、治療を希望される方に対しては治療法があります。
真珠様小丘疹の治療法には、以下をはじめとしてさまざまなものがあります。
しかし、これらの治療はそれぞれ一長一短がありますので、専門医にしっかりと相談をしてください。必要に応じて、複数の方法を組み合わせて治療する場合もあります。
また、しばしば自ら切除するなどして取り除こうと考える方もおられますが、これは危険なので避けてください。尖圭コンジローマとの混同を避けるためにも、専門医に相談するようにしましょう。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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