インタビュー

医療体制・救急医療体制に関する基礎知識

医療体制・救急医療体制に関する基礎知識
寺井 勝 先生

千葉市立海浜病院 小児科 、千葉市病院 前事業管理者

寺井 勝 先生

この記事の最終更新は2015年11月30日です。

多くの方には、発熱、咳、下痢、嘔吐などで受診する近くの「かかりつけ医」があるのではないでしょうか。一方で、入院や手術が必要になった場合は地域の基幹病院に行かれることでしょう。これらのかかりつけ医や基幹病院は、地域の人口や面積などに合わせて適切に配置されています。このような地域単位を「医療圏」と呼びます。本記事では、医療圏や救急医療体制についての基本的な知識について、千葉市立海浜病院の寺井勝先生にお話しいただきました。

医療圏とは、地域の医療需要(人口・面積・将来推計人口など)に応じて医療を包括的に提供するために、医療資源(病院数・病床数・診療科・人員など)を適正に配置することを目的とした地域単位をいいます。都道府県ごとに定められています。

一次医療圏とは、日常の健康相談などの保健サービスやかかりつけ医などによる初期医療を提供するための最も基礎となる単位のことをいいます。住民の日常生活に密着した保健医療サービスが提供される範囲を指します。

二次医療圏とは、医療機能を考慮した病院や救急医療体制の整備が整っているほか、一般の入院医療に提供が対応できる単位のことをいいます。「保健・医療・福祉」などの総合的な取り組みを行うために、市や町を越えて設定する地域の範囲を指します。

三次医療圏は、一次・二次医療圏の医療提供体制と連携し、高度で特殊な医療を提供する範囲を指します。一般的には都道府県の区域を単位として設定します。ただし都道府県の区域が著しく広いこと、その他特別な事情があるときは、複数の区域又は都道府県をまたがる区域を設定することができます。

特殊な医療の一例は以下のとおりです。

  1. 臓器移植等の先進的技術を必要とする医療
  2. 高圧酸素療法などの特殊な医療機器の使用を必要とする医療
  3. 発生頻度が低い疾病に関する医療
  4. 広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒などの特に専門性の高い救急医療

医療圏

日本における救急医療体制は次のように分けられています。

  • 一次救急:軽症患者(帰宅可能患者)に対する初期救急医療
  • 二次救急:中等症患者(一般病棟入院患者)に対する入院を要する救急医療
  • 三次救急:重症患者(集中治療室入院患者)に対する救命救急医療

救急医療の体系図は以下の通りです。

救急医療の体系図

(引用:厚生労働省資料)

近年、心筋梗塞脳梗塞などの救急体制が整ってきています。一方で、都道府県によって医療圏に必要な総合病院の配置がなされてないことや、成人に比べ小児の救急体制の整備が不足していることなど、解決すべき地域医療提供体制の課題はまだまだ残っています。次の記事から、地域医療や小児救急医療における課題や展望について述べていきます。

 

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