院長インタビュー

時代とともに変わりゆく地域の皆さんのニーズに“やらまいか精神”で応え続ける聖隷浜松病院

時代とともに変わりゆく地域の皆さんのニーズに“やらまいか精神”で応え続ける聖隷浜松病院
岡 俊明 先生

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院 院長

岡 俊明 先生

目次
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静岡県浜松市中区に病院を構える総合病院 聖隷浜松病院(以下、聖隷浜松病院)は、1962年3月の開院以来、地域の皆さんに医療で貢献することを第一に考えて、診療内容の充実や新たな取り組みなどを積極的に行っています。また、同院に勤務する多職種のスタッフへの教育体制を整え、適切な医療をより安全に提供できるように努力を重ねています。

地域の皆さんのニーズに応える取り組みやスタッフの教育体制、医療安全への対策などについて、院長の(おか) 俊明(としあき)先生にお話を伺いました。

聖隷浜松病院 外観
聖隷浜松病院 外観

当院は、“地域に必要とされる医療を行う”という目標を掲げています。この目標の実現に向けて、増床や診療科数の充実を図るなかでも、特に緊急性の高い脳卒中心疾患などの急性期治療、周産期医療などに力を入れて取り組んでいます。

また、地域の皆さんのニーズを把握し、それに応えるべく、医師が主体となって、新たな治療や技術を積極的に取り入れています。これからも当院は、地域の皆さんが求める医療の提供に努めるとともに、静岡県西部のやらまいか*精神に基づき発展してまいります。

*やらまいか:やってみようという意味の方言

当院は、救命救急センターを備え、地域の二次救急ならびに三次救急を担っています。当院は“断らない医療”を目指し、入院での治療が必要な患者さんや、緊急の手術を要する患者さんをスムーズに受け入れるための体制整備に努めています。

特に、重症な救急患者さんを24時間体制で診られるような当直体制をとっています。各診療科が連携しながら内科系と外科系それぞれの当直医のほかに、脳卒中当直やCCU(Coronary Care Unit:心臓病専用の集中治療室)当直、一般小児科の当直などの専門当直医を配備していることが当院の特徴です。

近年、当院では患者さんの体への負担が少ない急性期治療にも力を入れています。具体的には、脳卒中の患者さんに対する血栓回収療法、大動脈弁狭窄症の患者さんに対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI:Transcatheter Aortic Valve Implantation)などが挙げられます。これからも、救急患者さんに適した治療を速やかに提供できるように診療科同士がよりいっそう連携してまいります。

地域がん診療連携拠点病院に認定されている当院は、がん診療に力を入れています。その一環として、患者さんに適切な治療ならびにケアを提供できる体制を整えるべく、部門や診療科の垣根を取り払ったがん診療の組織作りを行っています。加えて、医師や看護師をはじめとする多職種のスタッフと緊密に連携することによって、一人ひとりの患者さんに応じた細やかな治療とケアの提供を行っています。

がん患者さんは、治療だけでなく経済面の悩みなどを抱えている方が多くいらっしゃいます。そうした患者さんの不安を少しでも取り除きたいという当院のスタッフからの声で、がん相談支援センターを設置いたしました。がん相談支援センターでは、多岐にわたるがん治療の相談に応じています。一人や家族で悩みを抱え込むことなく、ご利用いただければと思っています。

2020年5月には、サイバーナイフによる放射線治療がスタートしました。サイバーナイフとは、腫瘍に集中的にX線を照射することができる放射線治療装置です。サイバーナイフでは、呼吸などによって動いてしまう腫瘍の位置を追尾することができるため、患者さんはベッドに横たわったまま楽な姿勢で治療を行うことが可能です。

サイバーナイフ
サイバーナイフ

また、サイバーナイフを用いた放射線治療では、従来よりも副作用が少なく、かつ必要な部分へ高線量を集中することができるため、治療期間の短縮が可能となり、患者さんへの負担が軽減されます。そのため、外来通院での治療が可能となり、仕事を続けながらでも治療を受けることができます。

当院は、地域の皆さんに医療を提供するうえで欠かすことのできない“医療安全の確保”に病院を挙げて取り組んでいます。その一環として、安全管理室を設置し、リスクがあった場合にスタッフが報告するという体制を整えています。安全管理室では、リスク管理の指針を定めるのはもちろんですが、リスク報告があった場合には調査のうえ改善策を考え、その施策を病院が一体となって実践していくことを重視しています。

安全管理室定例会の様子
安全管理室定例会の様子

また、第三者機関から当院の医療安全の質を評価してもらい、現時点でどの程度、医療安全に取り組めているかを確認することも大切であると考えています。そのひとつとして、JCI(Joint Commission International)という第三者評価機関から病院機能を審査していただき、2012年11月にJCI認定を取得しました。これは、国際的な医療機能評価機関から医療の質や安全性が認められたということを意味します。これからも第三者評価機関からの審査を定期的に受けることで、スタッフ全員が日頃から医療安全について意識してくれることを期待しています。

研修の様子
研修の様子

当院は、人材育成センターを設置し、医師に限らず看護師や事務職員など多職種のスタッフの教育に取り組むことで、先輩が若手スタッフを育てる文化が根付いてきました。このような風土のなかで、各々がスキルアップしていくことに加え、チームとしての成長もできるような教育体制を取っています。

なかでも、臨床研修医をはじめとする若手医師には、ある程度の裁量権を委ねることによって主体性を持って医療に向き合っていただくことを大切にしています。裁量に任せるうえで、医療安全は欠かすことができない要素です。そこで、シミュレーション・ラボで実際に機器を用いてトレーニングを行うことで、技術の習得と向上に取り組んでいます。

これからも一人ひとりのスタッフが技術を磨き、チームのレベルアップを図ることによって、よりいっそう医療の安全性を高めてまいります。

当院は臨床研修医をはじめとする若手医師を育成する文化、そして風土があります。それは、未来の医療界を担う医師を育てることは当院の使命であると考えているからです。

主体性をしっかり持って成長したいと望む若手医師の皆さんには、ぜひ当院で研鑽を積んでいただきたいと思います。また、そういった意志のある若手医師の皆さんに集まっていただき、皆さんから刺激をもらって病院全体のレベルアップにつながることを期待しています。

先生

当院の魅力は、総合力であると感じています。70診療科をそろえ、幅広い病気に対応できるスキルとマンパワーで、地域の皆さんが必要とする医療に応えてまいります。

今後、高齢化が進むなかで医療の在り方は変容していくでしょう。そこで、一人ひとりのスタッフが技術や知識を磨き、医療の質を向上させることが重要であると考えています。これからも当院は、多職種のスタッフがスキルアップできる環境の整備や医療安全対策によりいっそう力を入れて取り組んでいく所存です。また、時代とともに変わりゆく地域の皆さんの医療ニーズに応え続けるために、病院経営や人材確保にも尽力いたします。

地域の皆さんに「何かあったら聖隷浜松病院に行こう」と思っていただける病院であるために、努力を重ねてまいります。

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  • 社会福祉法人 聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院 院長

    岡 俊明 先生

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