リウマチ熱(りうまちねつ)

リウマチ熱とは

リウマチ熱とは、A群連鎖球菌(Group A Streptococci)に感染した後に続発する炎症性の合併症のひとつです。リウマチ熱を発症すると、心臓や関節、神経、皮膚に症状が現れます。
A群連鎖球菌に関連した疾患としては、咽頭炎などの病気があります。咽頭炎は小児期を中心によくみられる疾患ですが、日本では医療技術の進歩などにより、リウマチ熱を合併症として発症することはほとんどなくなったとされていますが、世界にはA群連鎖球菌感染症の治療が困難な地域もあるため、引き続き注意が必要であるといえます。

原因

リウマチ熱は、A群連鎖球菌に感染し、治療が不十分な場合、その一部に数週間後に発症します。A群連鎖球菌の感染症としては咽頭炎や猩紅熱等が知られています。
A群連鎖球菌に感染すると、病原体を排除するために体内で抗体が作られます。この抗体はA群連鎖球菌を攻撃しますが、ときに心臓や関節、神経なども同様に攻撃をしてしまうことがあり、その結果リウマチ熱が発症すると考えられています。
A群連鎖球菌に感染しても、リウマチ熱を発症する人としない人がいることから、遺伝的な要素が関与しているとも想定されています。また、リウマチ熱は人にうつることはありませんが、リウマチ熱を発症するA群連鎖球菌そのものは周囲にうつります。そのため、集団生活を送るなかでA群連鎖球菌に感染すること自体がリウマチ熱のリスクになりえます。

症状

A群連鎖球菌に感染すると、およそ2~3週間でリウマチ熱の症状が出現します。リウマチ熱で最もよくみられる症状は以下のものです;関節痛、発熱、心臓の炎症(心炎)によって起こる胸痛または動悸、けいれん性のコントロールできない動き(小舞踏病)、発疹、皮膚の下の小さなしこり(小結節)。
初期症状として一番多いのは関節痛と発熱です。関節が突然痛みだして、触れると痛み、熱をもち、腫れて、赤くなることもあります。通常、足首、膝、肘、手首の関節で発症し、肩、股関節(こかんせつ)、手と足の小さな関節にも影響する場合があります。痛んでいた関節の症状が軽減するにつれて、他の関節が痛み始めます(移動性関節痛)。関節痛は通常は約2週間続き、4週間続くことはまれです。リウマチ熱により長期的な関節の損傷が起きることはありません。
 
心臓に炎症を起こしてもまったく症状が現れなかったりします。一般には、心臓の炎症は徐々に消え、通常は5カ月以内になくなります。しかし、何年も経ってから心臓の障害が見つかることがあります。リウマチ熱で心臓が侵されると、心臓弁が影響を受けることが多く心臓弁膜症にかかります。 リウマチ性心疾患で一番損傷を受けやすいのは、左心房と左心室の間の弁(僧帽弁)です。損傷を受けた弁では血液が漏れやすくなったり(僧帽弁逆流症)、異常に狭くなったり(僧帽弁狭窄症)、この両方が起きたりします。皮膚症状として、痛みのない小さな発疹(輪状紅斑)が生じうることがあります。このできものは、前腕部や肘によくみられます。ただし、リウマチ熱で皮膚の症状をみることは、比較的まれです。
中枢神経に炎症が生じると、「舞踏病」と呼ばれるものが発症します。学童期の女児に見ることが多く、不器用になったり、意識せずに身体が動くようになったりします。典型的には、速くて無意味な、散発的な体の動きが、手から始まり、足と顔に広がることがあります。顔をしかめる動き(顔のゆがんだ表情)がよくみられます。性格が変わったなどの訴えが、周囲の大人からあるときもあります。

検査

リウマチ熱を発症したときには、原因となっているA群連鎖球菌はすでに体内にいないことが多いです。そのため、A群連鎖球菌そのものを検出するのではなく、感染していた証拠を得るために、ASO、ASK、ADNaseBなどの抗体を検出するための血液検査が行われます。また、炎症の度合い(すなわちリウマチ熱の活動度)を評価するために、CRPや赤沈といった血液検査が行われることもあります。
リウマチ熱では、特に心臓に関しての評価が重要になります。心臓のエコー検査で、僧帽弁や大動脈弁の逆流の有無や程度を確認します。また、心臓の電気信号の伝わり方に異常を生じることもあるため、心電図検査が行われることもあります。
診断にはJonesのリウマチ熱の診断基準が参考になります。

治療

A群溶連菌感染症に対し、抗生物質(ペニシリン系など)により適切に治療できれば、リウマチ熱を発症するリスクは軽減します。処方された抗生物質は自己判断でやめず、指示通り内服を完了することが重要です。
リウマチ熱を発症した場合の治療では、次の3つが主な目標として設定されます。

  • 残存するA群溶連菌を根絶するための抗生物質
  • 症状緩和
  • 再発予防

以下に詳細を記します。

残存するA群溶連菌を根絶するための抗生物質

リウマチ熱と診断された急性期においては、ペニシリン系やマクロライド系の抗生物質が使用されます。マクロライド系は、ペニシリンアレルギーがあるときに使用されます。

症状緩和

心不全兆候があれば、強心剤や利尿剤を使用します。心臓の炎症が強い場合には、ステロイドの使用が検討されますし、場合によっては手術が行われることもあります。関節炎の症状が強い場合には、消炎鎮痛剤を使用します。舞踏病を認める際には、抗けいれん薬やステロイドが使用されます。

再発予防

一度リウマチ熱に罹患すると、その後A群連鎖球菌に感染したときに、心臓の臓器障害がさらに悪化することが懸念されます。そのため、A群連鎖球菌に再び感染することのないよう、予防的に抗生物質を使用することが推奨されています。どの程度の期間、抗生物質を使用するべきかについての統一見解は、2017年時点ではありません。心臓の合併症やお子さんの年齢によっても予防期間は異なるため、予防治療の対象になった場合には、担当の先生としっかり相談することが重要です。