きれじ

切れ痔

同義語
裂肛
最終更新日:
2021年12月06日
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2021/12/06
更新しました
2017/04/25
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概要

切れ痔とは、肛門(こうもん)から少し中(2cmまで)に入った部位が切れた状態、あるいは慢性のものは潰瘍(かいよう)になった状態を指します。医学的には“裂肛(れっこう)”と呼ばれます。硬い便が肛門を通過するときに切れることが多いですが、下痢や内肛門括約筋(肛門周囲の筋肉)の締りが強く肛門が狭い人にも生じます。排便に伴って出血や痛みを自覚するようになります。また、切れ痔は女性に多い病気といわれています。

切れ痔が慢性化すると潰瘍になり、肛門ポリープや“見張りいぼ”と呼ばれる突起物などが生じて肛門狭窄(きょうさく)(肛門が狭くなること)になることもあります。排便習慣を整えることが切れ痔の発症予防につながります。

切れ痔による症状は痛みや出血などによって自覚できるので、裂肛を重症化させないためには早い段階で医療機関を受診し、病状に合わせた治療を受けることが大切です。

原因

切れ痔とは、便の排泄の際などに歯状線と肛門皮膚の間に存在する上皮が裂けて、傷ついた状態を指します。上述のように便秘、硬い便、下痢など、便の性状や排便習慣により生じるものが多いのです。そのほか海外の文献では、内肛門括約筋の締りが強い場合には、肛門部位の血流が悪くなり切れ痔が発生すると報告されています。

また、クローン病と呼ばれる炎症性腸疾患では、炎症が肛門管部(肛門皮膚から2cm口側の歯状線までの部位)に生じることがあり、クローン病に特有の深い、縦長の切れ痔が生じることもあります。

肛門上皮(皮の部分)に傷がつくことは決してまれではなく、多くの方が経験されることです。しかし、排便習慣の異常が持続して慢性的に肛門上皮への障害が繰り返されると、傷が完治しづらくなるばかりでなく切れ痔の形や深さが変化して潰瘍の形態になります。肛門の出口が狭くなったり、肛門ポリープや見張りいぼを合併したりする慢性裂肛(慢性の切れ痔)へと悪化します。

症状

排便時に切れ痔を発症すると、強い痛みを自覚します。切れ痔が生じる部位は、痛みを感知する神経が豊富に分布しているからです。排便中だけでなく、排便が終わった後もしばらく痛みが持続することもあります。裂肛の深さが内肛門括約筋に到達すると、常時痛みが生じるようになります。

さらに切れ痔では痛み以外に、排便時に出血も伴います。ただし、トイレットペーパーに血が付着する程度と少量であることが多いです。切れ痔になると、排便のたびに痛み・出血が生じるため、排便を我慢することがあります。そうすると便が硬くなり便秘が誘発され、短期間で治癒する急性裂肛が治りかけたときに排便をして切れ痔が治らずに硬く、深くなっていくという悪循環に陥ることがあります。

また切れ痔が慢性化すると、普通の便でも出血や痛みを生じるようになります。さらに、肛門ポリープを発症すると肛門外に脱出し触れるようになったり、直腸粘液の付着により肛門周囲にかゆみが生じたりするようになります。

検査・診断

切れ痔は、詳細な問診や局所の視診、触診、肛門鏡観察などにより診断されます。

肛門がん大腸がん大腸ポリープなどでも出血することがあるので、症状や年齢などに応じて内視鏡検査(大腸カメラ)や注腸検査なども行うことが検討されます。

治療

内科的な治療と外科的な治療に大きく分けることができます。

内科的な治療

排便習慣の異常と関連して発症することが多いので、便通のコントロールを図ることが大切です。具体的には整腸剤や下剤を使用したり、食物繊維に富んだ食事を心がけたりします。水分が不足すると便が硬くなるので、適度の水分摂取を行うことも大切です。肛門周囲の痛みを緩和したり、血流を改善させて傷の治りを促進したりするような塗り薬(疾用注入軟膏)が使用されることもあります。また、肛門括約筋の緊張を和らげることを目的とした治療が行われることもあります。

外科的な治療

外科的な治療が選択される場合は、内肛門括約筋をメスで切開して肛門を広げる手術や、切れ痔により硬くなったもの、肛門ポリープ、見張りいぼなどを切り取り、広がった傷の部分に肛門の外側の皮膚を移動させて狭くなった肛門を広げる肛門皮膚弁移植術などが検討されます。

外科的治療よりも内科的治療のほうが体に対する影響は少ないので、排便時に痛みがある、出血があるなどの症状がある際には、早い段階での医療機関受診を検討することが大切です。

予防

の病気を予防するためには、第一に健康的な排便習慣を継続することが大切です。便秘や下痢を防ぐため、食生活や運動習慣などを見直しましょう。また、排便の際は便意を感じてからトイレに行くことが望ましいです。便意を感じる前からトイレに行くと、いきむ時間が長くなることによって肛門への負担が強くなってしまいます。

排便する姿勢を長時間続けていることも痔核(じかく)の原因になりやすいとされています。排便にかかわらず小まめに体勢を変える、軽いストレッチを取り入れるなど、姿勢を適宜変更することを心がけましょう。

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