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切れ痔で行う治療法とは?~生活習慣の指導や薬の処方、手術などが行われる~

切れ痔で行う治療法とは?~生活習慣の指導や薬の処方、手術などが行われる~
齋藤 徹 先生

医療法人伯鳳会 大阪中央病院 外科 特別顧問

齋藤 徹 先生

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切れ痔裂肛(れっこう))とは、肛門(こうもん)やその周辺の病気の総称)の一種で、主に排便障害(便秘や下痢など)が原因で、排便時に強くいきむことで生じるとされています。また、刺激物を好んで食べる人、長時間座った姿勢の作業が続く人など、お尻に負担がかかる食生活や生活習慣をしている人も切れ痔の発症リスクが高いといわれています。

通常は生活習慣を見直すことで切れ痔の改善が見込めますが、原因や分類によって適切な治療が異なるほか、切れ痔だと思っていたものが“がん”やほかの病気が原因で発症している可能性もゼロではないため、気になる症状がある場合は病院で診断を受けることが必要です。本記事では病院で行われる切れ痔の治療について詳しく解説します。

切れ痔の治療は、状態によって保存的治療(手術治療を行わずに回復を待つ治療法のこと)と外科的治療(手術)の2種類から選択されますが、通常は最初に保存的治療を行うことが検討されます。

保存的治療は、保存的療法と薬物療法の2種類がありますが、外用薬以外の薬物療法は保険収載されていないので、日本では通常、切れ痔の治療には保存的療法が選択されます。

また、生活に支障が出るほどの症状がある、保存的治療で効果が現れないといった場合は外科的治療が選択されます。しかし、手術が行われるのは切れ痔患者の1~2割といわれています。

保存的治療の保存的療法では主に便通の調節を図る生活習慣や、肛門を清潔にする入浴法の指導をされるほか、炎症や痛みを抑える目的で外用薬などの薬を用いて治療します。一方、薬物療法では、酸化窒素ドナー、ボツリヌス毒素、局所用カルシウムチャネルブロッカーなどを用いて、肛門の締まる強さを低下させることで治癒を目指します。

切れ痔を改善するためには便通をよくすることが大切であり、便通の調節を図る目的で食事指導が行われます。具体的には、下痢や便秘を起こさないように肉類の過剰摂取を控え、野菜・海藻・きのこ類などに含まれる食物繊維を十分に摂取するよう指導されます。このほか、アルコールや香辛料の効いた食べ物などは肛門に刺激を与えることがあるので、このような食品を大量に取り入れる食事は控えるように指導されることもあります。

切れ痔の患者は痛みなどにより肛門を清潔に保てないことがあるので、肛門の衛生を重視した入浴法(下半身だけをお湯につける温坐浴を行う)が指導されます。また、入浴・温坐浴によって患部を温めると、血流が増加することで傷や潰瘍の治りがよくなることを期待できます。

肛門周辺に強い痛みや炎症を生じている場合は、症状を抑える目的でステロイド含有の外用薬や、局所麻酔薬含有の注入用軟膏が処方されることが一般的です。また、排便障害があり、上記のような食生活を改めても便秘の改善が見られない場合は、便の体積を増やして排便を促進する下剤などが処方されることもあります。

以下のような場合には、外科的治療が行われることがあります。

  • 切れ痔の硬化によって肛門が狭くなり日常生活に支障がある
  • ポリープが肛門の外に出ている
  • 触ると痛みを生じる見張りいぼ(炎症が慢性化し、周囲に及ぶなどして肛門の外側にできる皮膚のたるみ)がある
  • 保存的療法や薬物療法では症状が改善されない

手術にはいくつかの種類があり、用手肛門拡張術(ようしゅこうもんかくちょうじゅつ)裂肛切除術、側方皮下内括約筋切開術(そくほうひかないかつやくきんせっかいじゅつ)、皮膚弁移動術が選択肢として挙げられます。実際の手術は、切れ痔の状態によって適切方法が選択されます。具体的な方法は以下のとおりです。

  • 用手肛門拡張術:肛門に指を入れ、狭くなった肛門を広げる方法
  • 裂肛切除術:切れ痔や見張りいぼ、ポリープなどを取り除く方法
  • 側方皮下内括約筋切開術:肛門の皮膚をメスで切り開き、筋肉の一部を浅く切ることで狭くなった肛門を広げる方法
  • 皮膚弁移動術:裂肛切除術(切れ痔、見張りいぼ、ポリープなどを取り除く)に加えて、肛門の外側の皮膚を肛門内に移動し、狭くなった肛門を広げる方法

切れ痔の治療には、大きく分けて保存的治療と外科的治療の2種類があり、最初は保存的治療が行われることが一般的です。切れ痔の治療にはさまざまな種類があり、症状や状態によって治療法が異なります。そのため、自己判断で市販薬を使用するのではなく、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けるのが望ましいでしょう。

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