クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Noimage s500x350
家族性地中海熱
家族性地中海熱とは、数週間から数ヶ月毎に発熱や腹痛、胸痛、関節痛などを発作的に繰り返す遺伝性の自己炎症性疾患の一つを指します。典型例において、症状は3日ほど持続しますが、それ以外の期間は症状があ...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました

家族性地中海熱かぞくせいちちゅうかいねつ

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

家族性地中海熱とは、数週間から数ヶ月毎に発熱や腹痛、胸痛、関節痛などを発作的に繰り返す遺伝性の自己炎症性疾患の一つを指します。典型例において、症状は3日ほど持続しますが、それ以外の期間は症状がありません。10代の頃から発作を認めるようになり、全身の炎症を定期的に認めます。無治療のまま放置すると「アミロイドーシス」と呼ばれるタンパク質が体内で多く蓄積するようになります。特に腎臓において影響が生じることが多く、腎不全を生じうる疾患です。

こうした合併症を防ぐためにも、積極的な治療介入を行うことが重要です。 家族性地中海熱という名前から推察されるように、本疾患は地中海周辺領域に関連した民族(例えばアラブやトルコ、ユダヤ系)に頻度が高く見られる疾患です。同民族に対しては200〜1,000人に1人の頻度で患者さんがいるといわれています。日本においては、よりまれな疾患ではありますが、2009年に行われた全国調査によると、全国に500人ほど患者さんがいると報告されています。

原因

家族性地中海熱は、MEFV(Familial Mediterranean Fever gene)と呼ばれる遺伝子に異常が生じることから発症することが1997年に同定されています。MEFV遺伝子は、Pyrin(「パイリン」もしくは「ピリン」)と呼ばれるタンパク質を産生するのに関わっています。パイリンは白血球中に存在するタンパク質ですが、炎症反応の調整に重要な役割を果たしています。細菌やウイルスなどの外敵が侵入した際、外敵を攻撃し組 織の傷を治すためにも炎症反応が適切にはたらくことは重要です。しかしMEFV遺伝子に異常があると、炎症反応が不必要な状況でも引き起こされてしまいます。その結果、家族性地中海熱でみるような定期的な炎症発作が生じるようになります。 家族性地中海熱ではアミロイドーシスが将来的に生じるリスクがありますが、SAA1と呼ばれる遺伝子がアミロイドーシス発症リスクに影響していることも考えられています。SAA1遺伝子にある種の変異があると、家族性地中海熱の経過中にアミロイドーシスを発症する可能性が高くなります。 家族性地中海熱の多くは、「常染色体劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式を取ります。人の細胞の中には2本のMEFV遺伝子が存在しますが、1本に異常を認めるだけでは病気発症せず、病気の保因者となります。しかし両親ともに保因者である場合には、お子さんが異常な遺伝子を1本ずつ両親から引き継ぐ可能性があり、結果として2本とも異常な遺伝子を有することになり得ます。この場合には、お子さんが病気を発症することになります。こうした遺伝形式が「常染色体劣性遺伝」です。

症状

家族性地中海熱の典型的な症状は、数週間から数ヶ月(2〜4週間周期が多いです)に一度認める38℃以上の発熱です。発熱時には腹痛を始めとしたさまざまな随伴症状を認めることがあり、発作は3日ほど持続した後に改善します。発作がない間は無症状であったり、関節の痛みが残存したりさまざまです。発作に際して皮膚の感覚障害などの前兆を感じることもあります。周期的に症状を繰り返しますが、運動、心理的ストレス、感染、手術、月経などがきっかけになりえます。 炎症反応は人の体内に存在する腹膜や胸膜などの「膜」を中心に生じます。具体的に見られるのは、腹膜炎や胸膜炎、心膜炎、関節炎、眼球症状(結膜炎やぶどう膜炎)などです。これらに関連して、腹痛や胸痛、咳、息苦しさ、関節の痛みや腫れ(下肢に見ることが多いです)、目の充血や視力障害などが生じます。発作は10代の頃から認めるようになり、無治療で経過するとアミロイドーシスや白内障など、慢性的な炎症を反映した続発症を見るようになります。 しかしなかには発作の持続時間が短い、もしくは長いこともあります。また発熱も微熱程度のこともあります。こうした例は「不全型」と呼ばれています。

検査・診断

家族性地中海熱では、12〜72時間続く38℃以上の発熱を3回以上繰り返すことが診断には重要です。また発熱時の血液検査にて、CRPやアミロイドAと呼ばれる炎症所見を確認します。典型例であれば、胸痛や腹痛などの随伴症状をもとに診断することが可能です。その他、MEFV遺伝子解析を行うこともありますが、家族性地中海熱を確実に診断できる方法ではなく、結果の解釈に注意を要することもあります。

治療

家族性地中海熱の治療の基本は、コルヒチンと呼ばれる薬が中心になります。発作を抑えるために必要な容量は個人差が大きく、単剤でもコントロールできることもある一方、その他の炎症を抑える方法(NSAIDsやステロイドなど)が併用されることもあります。家族性地中海熱の治療目標は発作の抑制はもちろんですが、将来的なアミロイドーシスの発症予防の目的もあります。このため、コルヒチンを発作時のみならず、常用 薬として使用することが推奨されています。しかし副作用(特に下痢や嘔吐などの消化器症状、脱毛など)や併用薬との相性があるため、担当医としっかりと相談の上、治療を継続することが大切です。その他、IL-1製剤やIL-6製剤、TNF-α製剤等といった薬剤が使用されることもあります。

家族性地中海熱の記事を読む

家族性地中海熱の記事にご協力いただいている医師