クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Liver
肝硬変
肝硬変とは、本来は柔らかい組織である肝臓が、線維化と呼ばれる変化をきたした結果として肝臓全体が硬くなる状態を指します。 肝硬変を引き起こしうる原因は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを代...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました
肝臓

肝硬変(かんこうへん)

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

肝硬変とは、本来は柔らかい組織である肝臓が、線維化と呼ばれる変化をきたした結果として肝臓全体が硬くなる状態を指します。

肝硬変を引き起こしうる原因は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを代表とするウイルス性疾患、長年のアルコール摂取、自己免疫の異常、薬剤など多岐にわたります。

肝硬変を発症した初期であれば、必ずしも明確な自覚症状はありません。しかし肝硬変の状態が悪化すると、出血や腹水、意識変容などの重篤な症状が現れ、命に関わる可能性がでてきます。

肝硬変が進行すると、多くの場合、元の健康な肝臓には戻りません。さらに、病初期の肝硬変から肝不全、肝臓がんといった非常に重い病態に陥ると、よりいっそう治療は困難になります。したがって、肝硬変を来しうる原因疾患を特定し、早期の段階から適切な治療介入を行うことが大切です。

より詳しい記事を読む

原因

肝硬変の原因として大きな割合を占めるものが肝炎ウイルスです。具体的には、約65%がC型肝炎ウイルス、約15%がB型肝炎ウイルスといわれています。残り約10~15%がアルコールによるものとされています。

その他残りの10%の原因は、ウィルソン病やヘモクロマトーシスなどの代謝性疾患、自己免疫性肝炎、胆汁うっ滞(とどこおること)、うっ血(血液の流れが悪くなり、静脈内に血液がたまってしまうこと)などといわれています。また、最近では、非アルコール性脂肪肝炎 (NASH: nonalcoholic steatohepatitis) も肝硬変に発展する恐れがある病気として注目されています。

症状

肝臓は沈黙の臓器といわれるように、自覚症状が現れにくいことで知られています。肝硬変になった場合も例外ではありません。 肝硬変による症状は、肝機能がある程度保たれている「代償期」と、肝機能が低下した「非代償期」とで異なります。

肝機能がある程度保たれている代償期

病初期では取り立てて目立った症状がでないこともまれではありません。みられることがある症状としては、足や手、手指などの筋肉がつる「筋攣縮」がよくみられます。また、掌の膨らんでいる部分だけが赤くなり、そこに赤紫の小さな斑点が混じる「手掌紅斑」もたびたび指摘されます。

また、アルコール性肝硬変の場合には、上胸部から背中にかけて赤い小さな斑点とそこを中心に蜘蛛の足のように拡がった毛細血管がみられる「蜘蛛状血管腫」が認められることが多いです。

肝機能が低下した非代償期

非代償期になると、黄疸(おうだん:肝臓や血液の異常で皮膚や粘膜が黄色くなること)や腹水などの重篤な症状がみられるようになります。黄疸と関連して意識がぼんやりとしたり、皮膚がかゆくなる掻痒感(そうようかん)を引き起こしたりします。また、腹水はお腹が張った状態として認識され、腹水の程度がひどくなると呼吸にも影響が及び、息苦しさを覚えるようになります。

その他、非代償期に認められる症状には、浮腫、肝性脳症、肝性脳症による「羽ばたき振戦」が代表的です。肝性脳症とは、肝臓が本来持つ解毒作用がうまくいかないことから引き起こされる状態であり、見当識(自分がどこにいるかなど基本的な状況がわからなくなること)に問題がでます。

また、昼夜逆転、意識変容などの症状がみられる場合もあります。この他にも多彩な症状が現れ、肝臓でのホルモン代謝が悪くなることから、男性の女性化 (女性化乳房など)、女性の男性化が生じることがあります。

 

検査

肝硬変に陥ると、正常な肝細胞の機能が低下することになります。肝細胞の役割のひとつに、タンパク質や凝固因子(血液を固める際に重要な物質)を合成するはたらきがあります。肝硬変における機能低下を反映して、血液検査にてアルブミン、血液凝固因子の値が低下していることを確認します。

その他、肝硬変に陥ると黄疸のもとであるビリルビンの値が高くなります。また、肝硬変になると脾臓(ひぞう)が腫れてその機能が亢進することから 、血小板数が減少します。

肝硬変では、超音波検査や腹部CT検査、腹部MRI検査といった検査を行い、肝硬変でみられる変化(表面がでこぼこしている、肝臓自体が小さいなど)を確認することも重要です。また、上部消化管内視鏡検査を行うことで、食道静脈瘤といった異常血行路の形成状況を確認します。

治療

肝硬変の治療では、肝硬変の原因になっているものに対するアプローチと、肝硬変により引き起こされている症状に対するアプローチに分けて考えることができます。

肝硬変の原因に対する治療では、肝炎ウイルスを原因とした肝硬変に対する抗ウイルス療法、アルコール性肝硬変に対する断酒がすすめられます。なかでも日本における肝硬変の原因として多いC型肝炎ウイルスに対する治療の進歩に伴い、肝機能の改善が期待できるようになりました。

以前はインターフェロンの薬を中心とした治療が行われていましたが、その副作用から高齢者などでは使用が難しく、また半数程度しかウイルスの排除ができませんでした。しかし近年使用が可能となった経口剤により、高い確率でウイルスを排除できるようになったことが、肝硬変の改善にも役立っています。

また、症状に対する対症療法には、浮腫や腹水に対しての利尿剤や血液製剤の投与、肝性脳症に対しての抗生物質やラクツロースの投与などを例に挙げることができます。

肝硬変を発症すると食事について気をつける点も出てきます。病初期の肝硬変であれば特に食事制限はありませんが、非代償期になると浮腫や腹水が出現しやすくなります。浮腫や腹水は、過剰な塩分摂取をすると悪化するため、塩分を控えることが重要です。

病状が進行した肝硬変においてはタンパク質をうまく代謝できなくなるため、タンパク摂取についても注意を払うことが求められます。また、さまざまな影響から、タンパク質を摂取しすぎると肝性脳症が生じます。このことを避けるために、非代償期にある肝臓に対しては少しでもタンパク質の負荷を減らす必要があり、タンパク摂取量を控えることが求められます。

肝性脳症と関連して、便秘があると症状が悪化します。そのため、便秘を避けるような生活習慣、食事内容が重要です。なお、「肝臓にはシジミがよい」といわれることがありますが、実際は過剰摂取を避けることが大切です。

肝硬変の記事を読む

もっとみる

肝硬変の記事にご協力いただいている医師