ぼうこうりゅう

膀胱瘤

同義語
膀胱脱
最終更新日:
2023年11月17日
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2023/11/17
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概要

膀胱瘤は、骨盤内の臓器が腟から脱出する骨盤臓器脱という病気の一種で、膀胱の一部が腟から脱出した状態を指します。

女性の骨盤には骨盤底筋群という筋肉が存在し、骨盤内に位置する膀胱や直腸、子宮などの臓器が下がらないよう支えています。しかし、出産や加齢などの要因によって骨盤底筋群が緩んだり傷ついたりすると、膀胱などの臓器が腟から出てきてしまう骨盤臓器脱を発症することがあります。

骨盤臓器脱の中でも、腟から膀胱が出てくるものを膀胱瘤といい、直腸が出てくるものは直腸瘤、子宮が出てくるものは子宮脱と呼ばれます。膀胱瘤は骨盤臓器脱の中でもっとも発症頻度が高いとされます。

原因

膀胱瘤は、加齢や出産などによって骨盤底筋群が緩むことが原因で発症します。

特に経腟分娩が原因として有力であると考えられており、経腟分娩によって骨盤底筋群が緩み、さらに加齢によって弱くなることで、膀胱瘤を含む骨盤臓器脱が起こることがあります。経腟分娩での出産回数が多いほど起こりやすくなるといわれていますが、帝王切開での分娩や、出産経験のない場合でも発症することがあります。

また出産や加齢のほかにも、肥満や便秘、重いものを持つ仕事に従事している場合など、腹圧がかかる動作を頻繁に行うことで骨盤底筋群が弱くなり、骨盤臓器脱を発症する原因になることがあります。

症状

膀胱瘤では、腟から膀胱の一部に触れることがあります。発症初期には股の間に何か挟まっている感覚や、入浴時に腟から卵のようなものが触れる感覚があったりします。しかし、このような感覚は膀胱内に尿が充満して膨らんでいるときに自覚するため、排尿後には症状が消失して見過ごしてしまうこともあります。また、膀胱瘤を発症していると尿道を締める尿道括約筋も緩んでいることがあり、咳やくしゃみなどによって尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁を伴うことがあります。

骨盤底筋群がさらに弱くなると、腟から脱出する膀胱の膨らみが大きくなったり、腟から脱出する時間が長くなったりします。それに伴い、膀胱が下着に擦れることで出血がみられたり、歩行しにくくなったりするなど日常生活に支障をきたす恐れもあります。また、進行して膀胱の一部が腟から出たままの状態になると、脱出している部分の膀胱にたまった尿が排出されにくくなります。そのため、発症初期は軽微な腹圧で尿が漏れることがある一方で、進行すると尿が出にくくなったり残尿感が生じたりすることがあります。

検査・診断

膀胱瘤が疑われる場合には、問診や内診、尿検査のほか、腹部超音波検査などが行われます。問診では、自覚する症状のほか、出産経験や喘息などの基礎疾患、便秘の有無など膀胱瘤の発症要因となる事項について確認します。内診では、膀胱瘤の脱出の程度などを確認し、重症度の判定に役立てます。

膀胱瘤では尿が出しにくくなることで膀胱炎を併発することがあるため、尿検査を行い尿に含まれる細菌の有無なども調べます。また、腹部超音波検査により、膀胱の形状や膀胱内に残留する尿の量などを確認します。

上記のような検査によって膀胱瘤と診断された場合、膀胱内に造影剤を注入してX線検査(膀胱造影検査)を行うこともあります。膀胱造影検査では、膀胱瘤がどの程度下垂しているかなどを調べます。

治療

膀胱瘤の治療は保存療法と外科的手術に分けられます。

症状の程度が軽い場合や頻度が少ない場合は、骨盤底筋体操など保存療法で症状が軽減される可能性もありますが、基本的に外科的手術が考慮されます。

保存療法

保存療法には、骨盤底筋体操や腟内装具(ペッサリー)、骨盤底サポーターを使用した治療方法があります。

骨盤底筋体操は骨盤内の臓器を支える筋肉を鍛えるために行われ、尿道や腟、肛門(こうもん)に力を入れて締めたり緩めたりする動作を繰り返し行う運動です。

ペッサリーは柔軟性のあるリング状の装具で、腟内に挿入することで膀胱瘤の下垂を軽減させる効果が期待できます。挿入後はまれに腟内の粘膜が傷ついて、出血やおりものの増加、違和感などを認めることがあるため、定期的な通院や交換が必要です。

骨盤底サポーターは腟に触れる部分が盛り上がっており、ペッサリーと同様に膀胱瘤の下垂を軽減させる効果が期待できます。

外科的手術

立っているときに膀胱瘤が腟から常に脱出している場合や、腟に脱出した膀胱内の尿が排泄されない場合などには外科的手術が考慮されます。

膀胱瘤の手術にはさまざまな術式がありますが、ポリプロピレンメッシュという医療用のメッシュを緩んだ骨盤底筋群の代わりに縫い付け、膀胱を吊り上げて補強する“TVM手術”や、ポリプロピレンメッシュを子宮や腟に縫い付け、その帯を背骨につながる仙骨に固定し、上から引き上げる“腹腔鏡下仙骨腟固定術(ふくくうきょうかせんこつちつこていじゅつ)”などが行われます。また、近年では腹腔鏡下仙骨腟固定術と同様の手術を手術用ロボットにて行う“ロボット支援腹腔鏡下仙骨腟固定術”も行われています。

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