がくへんけいしょう

顎変形症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

顎変形症(がくへんけいしょう)とは、上下の顎の骨の大きさや形、位置、バランスの異常などにより、咬み合わせの問題(不正咬合(ふせいこうごう))や顔の変形といった症状が生じる状態の総称です。

顎変形症の多くは原因不明といわれています。遺伝的な要因により発生するという説や、幼少期の指しゃぶりなどの癖が要因となるという説があります。

顎変形症は、上下どちらの顎の骨にどのような問題が生じているかにより、さらに細かく分類されます。以下は、代表的な顎変形症の一例です。

下顎前突症(かがくぜんとつしょう)

上顎の骨に対して、下顎の骨が前方へ突き出ている状態です。日本における顎変形症のなかではもっとも多く、しばしば「受け口」という俗称が用いられることがあります。

下顎が突出しているため、実際には陥没していないものの、相対的に顔の中央部が凹んでいるようにみえることがあります(三日月様の顔、と表現されます)。

小下顎症(しょうかがくしょう)

下顎骨が十分に発達せず、上顎骨に対して下顎の骨が後退している状態です。小さな顎に一般的な大きさの歯が並ぶため、歯並びが凸凹になりやすい傾向があります。

上顎前突症(じょうがくぜんとつしょう)

下顎骨に対して、上顎骨が前方へ突き出ている状態です。「出っ歯」という俗称が用いられることがあります。日本における顎変形症のなかで多いタイプです。

開咬症(かいこうしょう)

奥歯をしっかりと咬み合わせていても、上下の前歯が咬み合わない状態です。「オープンバイト」とも呼ばれます。

顎変形症の主な症状は、上述したように不正咬合と顔面の変形ですが、歯は顎の変形を補うように並ぶことも多いため(歯の代償適応)、咬み合わせが正常にみえることもあります。

顎変形症の種類によっては、発音の問題や呼吸の問題などが生じることもあります。

原因

顎変形症は、上下の顎の骨の大きさや形、位置、バランスの問題などが関係して起こります。顎変形症のほとんどは原因不明といわれています。顎変形症の原因として明らかになっているものには、生まれつきの病気である口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)や、顎の骨折などがあります。生まれつきの病気による顎変形症の場合、小さな頃からすでに異常が明らかにみられる例もあります。

原因不明の顎変形症が発生する要因としては、人種差や近親者の病歴(家族歴)など、遺伝的な要因が関係しているという説があります。また、指しゃぶりや舌の癖が関与しているという説もあります。

このような顎変形症は、顎が不均衡に成長することによって生じると考えられています。一般的には、小児期には異常がみられず、思春期以降に少しずつ明らかになっていきます。

小下顎症は、遺伝的な要因や骨折などのほかに、顎の関節の炎症なども発症に関与するといわれています。

症状

顎変形症の主な症状は、咬み合わせの異常(不正咬合)と顔の変形です。ただし、歯の代償適応(顎の変形やズレを補おうとする作用)によって、咬み合わせは正常にみえることもあります。

このほか、顎変形症に伴って現れる症状としては、下記のようなものが挙げられます。

  • 食べ物をうまく噛むことができない。
  • 言葉の発音がしにくい
  • 口を自然に閉じることができない(小下顎症の場合):努力して唇を閉じようとすることで、下顎の先(オトガイ部)に縦ジワが入る
  • 衝撃を受けたときに下顎を骨折しやすい:咬み合わせに問題がある場合、上下の歯を咬み合わせても下顎が安定しないために起こる
  • 睡眠時のいびきや、睡眠時無呼吸症候群による症状(小下顎症の場合):空気の通り道が狭くなるために起こる
  • 麺類などを噛み切ることができない:前歯が咬み合わない開咬症の場合に起こる
  • 顎関節に痛みが生じる

など

検査・診断

口の中の診察、頭部のレントゲン検査、CT検査などにより、咬み合わせの評価や、変形がある部位の見極めなどが行われます。

たとえば、下の歯が上の歯よりも前方に出ている反対咬合(はんたいこうごう)の状態を、一括りに「受け口」ということがあります。しかし、反対咬合の原因は下顎骨が突き出ている下顎前突症のほか、上顎の発育不良による上顎骨劣成長症である場合もあります。

そのため、顎変形症の正確な診断のために、検査は矯正歯科、口腔外科あるいは形成外科など、異なる診療科をまたいで行われることがあります。

治療

治療方法は、形成外科、矯正歯科など、さまざまな診療科が連携しながら決めていきます。症例によっては、耳鼻咽喉科や言語聴覚士の協力が必要になることもあります。

顎変形症の治療方法には、歯科矯正治療と手術療法があります。

軽度の顎変形症の場合は、歯科矯正治療のみで治療を行えることがあります。歯科矯正治療では、必要に応じて抜歯などを行いながら徐々に症状を改善させていきます。

上顎骨・下顎骨に、ある程度の変形が生じている場合には、骨切り術という手術療法が選択されることがあります。骨切り術とは、咬み合わせと顔貌の改善のために、骨を切除して移動させる手術です。多くの場合、顔に大きな手術の傷痕を残さないよう口の中から行います。

手術が適している症例の場合でも、手術前後には矯正歯科による歯並びの治療が行われます。手術の後に適切な矯正歯科治療をしっかりと行うことが、変形の再発予防につながります。

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