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22q11.2欠失症候群

最終更新日:
2024年01月26日
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2024/01/26
更新しました
2017/04/25
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概要

22q11.2欠失症候群とは、染色体の一部である22q11.2という部分が生まれつき欠失していることにより、さまざまな病気や症状を伴う病気です。

具体的には患者の80%が生まれつき何らかの病気を合併するといわれているほか、精神発達の遅延や特徴的な顔つき、免疫低下、口蓋裂、鼻声、低カルシウム血症などが見受けられることがあります。また、ファロー四徴症(しちょうしょう)や大動脈離断症など、命に関わる病気を合併していることも少なくなく、合併症に対する治療も重要です。

22q11.2欠失症候群は国の指定難病であり、難病情報センターによれば4,000~5,000人に1人の確率で発症するといわれています。また、ファロー四徴症の患者の15%は22q11.2欠失症候群であるとされています。

原因

22q11.2欠失症候群はその名称のとおり、染色体の一部である22q11.2という部分が欠けていることによって発症します。

ヒトの染色体は2本で1つになっており、合計46本23対存在します。このうち22番目の染色体の“22q11.2”という顕微鏡にも映らないような小さな部分が欠失することにより、TBX1(心臓や大血管の形成に関わる遺伝子)をはじめとする30個ほどの遺伝子が失われ、発症するといわれています。

22q11.2が欠失する原因はほとんどが突然変異です。一方で一部血縁者に遺伝することもあり、実際に22q11.2欠失症候群の患者の子どもは50%の確率で22q11.2欠失を引き継ぐといわれています。

症状

22q11.2欠失症候群の症状は非常に多様ですが、典型的な症状は以下のとおりです。

典型的な症状

  • 発達遅延……精神的な発達の遅延がみられることがあります。
  • 特徴的な顔つき……上瞼が腫れぼったい、目の間が離れている、鼻が平たい、耳が突出している、額が狭いことなどが挙げられます。
  • 粘膜下口蓋裂……口の粘膜の下の筋肉が断裂している状態で、発話などに異常が生じることがあります。
  • 胸腺低形成……骨髄で作られた未熟なリンパ球が正常にはたらくようにするための組織である胸腺が未熟であることで、免疫の低下につながります。
  • 低カルシウム血症……血液中のカルシウム濃度を維持するための副甲状腺ホルモンを分泌する副甲状腺が未熟であることで、カルシウム濃度が低下し、体のしびれ、手指の無意識な筋収縮、けいれんなどの症状を引き起こすことがあります。

主な合併症

22q11.2欠失症候群では、心臓や大血管の形成に関わるTBX1遺伝子が欠失しているため、これらの臓器に関する病気を合併しやすくなります。

心臓に関する合併症――ファロー四徴症など

ファロー四徴症とは心室中隔欠損・大動脈騎乗・漏斗部狭窄(ろうとぶきょうさく)および肺動脈狭窄・右室肥大という4つの特徴を持った心臓の病気です。肺の血流が減少することにより低酸素血症が起こり、唇や爪床が紫色になるチアノーゼという症状がみられることがあります。

加えて生後2か月以降はチアノーゼ発作(無酸素発作)が生じることもあり、時に命に関わります。チアノーゼ発作では急な不機嫌やチアノーゼ、呼吸困難などが起こるほか、重症化すると意識を失ったり、けいれんが起きたりします。最初は哺乳後や入浴後、よく眠って起きた時などにみられ、重症化すると一日中生じるようになることもあります。

大血管に関する合併症――大動脈弓離断など

大動脈は心臓から上方向に出たあと、上半身へとつながる血管を出した後に、ヘアピン状に曲がり、下行大動脈となって下半身に血液を送ります。大動脈離断はヘアピン状の弓部大動脈の途中やその直後が途絶している疾患です。生まれた時から肺の血流量が増加することにより心不全症状が現われます。生まれた直後は動脈管という血管が肺動脈から下行大動脈につながって下半身への血流が保たれていますが、動脈管はその後閉じてきて下半身への血流が少なくなってしまい、命に関わることもあります。

その他の合併症

  • 低身長
  • 血小板・汎血球の減少
  • けいれん
  • 斜視
  • 気管支軟化症
  • 脳の萎縮
  • 白内障

など

検査・診断

生まれつき心臓の病気や胸腺の発達の遅れ、特徴的な顔つきなど、22q11.2欠失症候群を疑う症状があれば染色体検査を行います。染色体検査で22q11.2の欠失が認められれば確定診断となります。

治療

22q11.2欠失症候群は染色体の異常による病気であるため根本的な治療は困難ですが、命に関わるような合併症に対する治療を優先して行います。

具体的にはファロー四徴症や大動脈離断に対する手術治療が行われることが一般的です。新生児のうちから症状が強く現れることもあるため、症状を和らげる手術や根本的に治療する手術を必要に応じて複数回行うこともあります。また、大人になってから再び手術が必要になることもあります。

子どものうちに手術治療後に血流が悪くなった場合はカテーテルと呼ばれる細い管を血管に通し、狭くなった血管を広げて血流を改善させるカテーテル治療を検討することもあります。また、大動脈から肺動脈に異常な血管が形成された場合はコイル塞栓術(そくせんじゅつ)を行うこともあります。

そのほか精神発達の遅延がある場合は、学校生活や就職などをスムーズに送ることができるように社会的な支援が行われます。

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