Img title article01

強直性脊椎炎とは?

動くとラクになる腰痛は免疫疾患が原因の可能性も

監修:日本脊椎関節炎学会理事長 山村昌弘先生

強直性脊椎炎とは

腰や背中などの痛みにはさまざまな原因がありますが、長引く場合には免疫系の病気である可能性もあります。その中の一つが、“強直性脊椎炎”と呼ばれる病気です。強直性脊椎炎とは、何らかの原因によって免疫のはたらきに異常が生じて正常な体内の組織を攻撃し、背骨や骨盤を中心に全身の腱や靱帯に炎症が起きる病気で、国の難病に指定されています。

強直性脊椎炎の分類

強直性脊椎炎は、脊椎関節炎という疾患群の一つに分類されます。脊椎関節炎のいずれにおいても背骨や骨盤などの関節に炎症が起こりますが、中でも強直性脊椎炎では長い年月をかけて関節が強直(骨と骨がくっつく)することからこの名が付けられました。しかし、必ずしも全ての患者さんが強直をきたすわけではなく、強直をきたすのは5人に1人程度といわれています

脊椎関節炎

強直性脊椎炎における患者の傾向

多くは10~20歳代で発症し、病勢のピークが20~30歳代、40歳代に入ると次第に痛みが落ち着き、人によっては強直が強くなってくることが一般的です。発症者の男女比は3:1程度とされています

強直性脊椎炎と遺伝子の関係

また、強直性脊椎炎は特殊な遺伝子の型であるHLA-B27との関連性があり、日本では一般人口の約0.3%がHLA-B27陽性と報告されています。陽性者のうち強直性脊椎炎を発症するのは10%未満で、2018年に行われた全国疫学調査では3,200人と推定されました

日本人のHLA-B27陽性者は諸外国と比べて多くはありません。これに連動して日本人の強直性脊椎炎の発症者も諸外国と比較して少ないため診断が遅れがちで、日本では症状が出てから診断が確定するまで平均で9年前後かかっているといわれています

初発年齢

井上久, 日本脊椎関節炎学会誌, 2011; 3(1): 29-34 より作成

強直性脊椎炎の原因

現在のところ強直性脊椎炎のはっきりとした原因は不明ですが、前述したとおりHLA-B27と関連があることが分かっており、強直性脊椎炎患者さんの多くがHLA-B27の遺伝子を持っています。親子や兄弟姉妹など家庭内での発症例が十数%みられることから、遺伝がある程度関与していることは確かだといわれています。

後天的な要因がある可能性も

しかし、HLA-B27を持っているからといって必ずしも強直性脊椎炎を発症するわけではありません。遺伝以外に何らかの後天的な要因が加わることによって免疫異常を起こし発症すると考えられています。

後天的な要因として、細菌感染や飲食物、化学物質などが考えられていますが、いまだ特定されてはいません(2020年6月時点)

強直性脊椎炎の特徴的な症状

強直性脊椎炎でよく見られる初期症状は、腰や背中、うなじ、骨盤のこわばりや痛みです。肩や股関節、胸骨と肋骨・鎖骨の接合部、かかとなどに痛みが出ることもあります。

特徴としては、夜間や朝方などに安静にしているときに痛みが強くなり、運動するなどして体を動かすとよくなることがあります。また、痛みが強いときと全く痛みがないときがあり、症状の出方の波が激しいことも強直性脊椎炎の特徴です。

時間経過とともに悪化する

この特徴的な痛みは3か月以上続きますが、時間が経つにつれ悪化していきます。具体的には徐々に痛む場所が増え、痛みの頻度が増し、痛みのない時間が短くなります。最終的には常に痛みが出ているようになります。

痛み以外では、病気の経過にかかわらず、体のだるさ、疲れやすさ、食欲減退・体重減少、微熱、貧血などの全身症状が見られる場合もあります。

症状に波がある・3ヶ月以上続く 夜間や起床時に痛み 運動すると軽快

重症化したときに見られる症状

強直性脊椎炎が進行すると背骨や腰が強直し、背骨が次第に前に曲がったまま固まって前傾姿勢となってしまう場合があります。この影響で体を反らす、見上げる、振り返る、腰を曲げるなどの動作に支障が生じます。前傾姿勢によって肺活量が低下する場合があるほか、長期の炎症に伴って骨密度が低下し背骨の骨折の頻度が高くなります。

強直性脊椎炎に合併することのある病気

強直性脊椎炎では、前部ぶどう膜炎という目の病気を伴うことがあり、発症すると目の痛みや充血、飛蚊症(目の前に糸くずや蚊のようなものが飛んでいるように見える症状)などが生じます。

まれではありますが、大動脈弁閉鎖不全症、アミロイドーシス、尿路結石などの病気や、皮膚、呼吸器の疾患を合併することもあります。

なかなか治らない関節痛は専門医に相談を

強直性脊椎炎は、専門医以外による診断が困難な病気です。腰痛をはじめとする関節痛にはさまざまな原因がありますが、上記のように特徴的な症状があり整形外科などで治療を受けてもなかなか治らない場合には、強直性脊椎炎を専門領域とする医師に一度相談してみましょう。

ただし、大病院を受診する際には紹介状がないと通常の診察料とは別に特別料金がかかるので、まずは主治医に相談し、紹介状を書いてもらえないか相談してみるとよいでしょう。

*1 出典:難病情報センターHP
*2 出典:順天堂大学医学部附属 順天堂医院HP

強直性脊椎炎かな?と思ったら

1
Icon check board

まずは症状を自覚する為の
症状チェック

症状をチェックする
2
Icon hospital

強直性脊椎炎の受診が
可能な病院を検索する

病院を検索する

Icon message 監修医からのメッセージ

Img doctor01

日本脊椎関節炎学会理事長

山村昌弘 先生

この病気は早期に受診する事が重要です。痛みを緩和することができる病気なので、一人で悩まずに、専門の医師にご相談ください。