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強直性脊椎炎の検査と治療法

診断・検査方法とその後の治療について

監修:日本脊椎関節炎学会理事長 山村昌弘先生

強直性脊椎炎を発症しているかを判断するには、まず診察や簡易的な検査から始め、必要に応じて詳しい検査を行います。検査の結果から強直性脊椎炎であると確定した場合、患者さんの状態に応じた治療を検討することになります。

強直性脊椎炎の診断方法

強直性脊椎炎では、一般的に“臨床症状”と“X線検査”から診断を行います。

臨床症状においては、腰や背中の痛みの有無、“動くとラクになる”など痛みの特徴、背骨の曲がりにくさ、深呼吸をしたときに胸囲が正常に膨らむかなどを診察で調べます。その次にX線検査(レントゲン検査)で、骨盤の骨の一つである仙骨と腸骨の間にある仙腸関節の変化を確認します。

臨床症状は自分で気付くことができるものでもあるため、気になる症状があれば医師に相談してみるとよいでしょう。

仙腸関節

強直性脊椎炎の検査方法

多くは10~20歳代で発症し、強直性脊椎炎の診断にはX線検査が必要不可欠ですが、場合によってはMRI検査など他の画像検査を行うこともあります。また、血液検査を行う場合もあります。

X線による画像検査

強直性脊椎炎では早期から仙腸関節に変化が現れやすいので、X線で仙腸関節を撮影して変化がないかを確認します。具体的には、関節の隙間が狭くなっていないか、靱帯が石灰化していないか、強直していないかなどを観察します。

MRI検査が行われる場合も

ただし、発症初期にはX線では異常が見られないことも多く、ほかの病気との区別が難しいことから、MRI検査などの画像検査を行う場合もあります。MRI検査では強い磁石と電波を用いて、さまざまな断面の画像を撮ることができます。MRI検査はX線検査よりも時間がかかり高額ですが、脊髄や関節などを詳しく観察できるため早期の病変を捉えることができます。X線検査とMRI検査の特徴を生かし、適した検査を行うことが重要です。

X先検査 ・短時間で済む ・放射線を使用 ・骨などの観察に有効 ・断面は限定される MRI検査 ・時間がかかり高額 ・磁石と電波を使用 ・脊髄、関節の観察に有効 ・様々な断面を撮影可能

血液検査

多くの場合、強直性脊椎炎では赤沈やCRPなどの炎症反応の値や、MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)が上昇します。ほかの免疫系の病気ではリウマトイド因子や抗核抗体などの項目が高くなるのに対して、強直性脊椎炎では高くなりません(検査値の概要は下表参照)。

また、強直性脊椎炎患者の多くがHLA-B27の遺伝子を持っていますが、これも血液検査で調べることができます。ただし、HLA-B27の検査は保険適用外となります。

赤沈 赤血球が沈降する速度。炎症の広がりなどに関係する
CRP 炎症や組織壊死があると血液中に増加するたんぱく質。炎症性の疾患によって上昇する
MMP-3 関節リウマチ患者の関節内や血中に多く含まれている酵素。関節軟骨の破壊に関係している。
リウマトイド因子 主にリウマチ患者に見られる自己抗体。関節リウマチ患者の多くが陽性となる。
抗核抗体 細胞の核に反応する自己抗体。膠原病であると陽性になることが多いが、陽性であっても無害であることもある。

診断後の治療

現在のところ、強直性脊椎炎を完全に治す治療法は確立されていませんが(2020年4月時点)、治療によって痛みをコントロールし、強直の進行を防ぐことでうまく付き合っていける病気でもあります。治療法には薬物療法、運動療法、手術療法があります。

薬物療法

強直性脊椎炎の治療でよく用いられるのが、鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)と生物学的製剤です。通常はまず鎮痛剤を使用し、鎮痛剤で痛みのコントロールができない場合に生物学的製剤を用いて治療を行います。

・鎮痛剤

鎮痛剤の主な効能は痛みの緩和です。多くは内服薬の使用で痛みが和らぐといわれていますが、効果が不十分な場合は必要に応じて治療を強化していきます。手足など末梢部分の関節に炎症がある場合は、抗リウマチ薬の使用も検討されます。ただし、鎮痛剤は腎臓や胃に負担をかけるため、長期使用によって腎障害や胃腸障害が起こることもあります。

・生物学的製剤

生物学的製剤とは、生物から産生されるたんぱく質などの物質を応用して作られた薬のことで、人間の体の中に存在する物質を制御して病気を抑える作用があります。鎮痛剤は飲み薬として服用するのに対して、生物学的製剤は点滴または皮下注射で投与します。

効果には個人差がありますが、約7割の患者さんに有効性が認められています

鎮痛剤 生物学的製剤

・鎮痛剤と生物学的製剤の比較

生物学的製剤には、免疫を抑制するために肺炎、結核、肝炎といった感染症にかかりやすくなるなどの副作用があります。しかし、痛みのコントロールにおいては鎮痛剤よりも高い効果が期待でき、鎮痛剤では抑制しきれない場合などにも有効である可能性があります。

  メリット デメリット
鎮痛剤
  • 治療費が比較的安い
  • 幅広い患者に使用可能
  • 効果が限定的
  • 長期使用で肝障害や胃障害のリスクがある
生物学的製剤
  • 痛みの抑制について鎮痛剤より高い効果が期待できる
  • 強直の進行抑制も期待できる
  • 治療費が高い
  • 感染症を持っている場合など、人によっては使用できない。
  • 免疫力が低下する

運動療法

強直性脊椎炎では、痛みの緩和や背中・骨盤などの機能を維持するために、柔軟体操やストレッチ、水泳などの運動が効果的な場合があります。ただし、患者さんの状態によって理想的な運動の種類や運動の強さが異なるため、医師の指示に従って行うようにしましょう。

手術療法

関節や膝関節の痛みが強く、動きも悪くなって日常生活に大きな支障をきたすような場合には、元々ある関節を人工のものに換える人工関節全置換手術が検討されます。背骨が強く前屈みになったまま強直している場合には、背骨の角度を伸ばす手術を行うこともあります。

患者の負担を軽減するサポート制度や工夫

治療費が高額となる場合、高額療養費制度などのサポート制度があります。2020年6月現在、強直性脊椎炎は指定難病に認定されているため、強直性脊椎炎と診断され症状の程度が一定の重症度基準を満たす場合には、指定難病患者への医療費助成制度も利用することができます。

早期発見・早期治療が大切

強直性脊椎炎を悪化させないためには早期発見・早期治療が大切です。気になる症状がある場合は、専門医への受診を検討するのもよいでしょう。ただし、スムーズに受診するためにもまず主治医に相談し、紹介状を書いてもらえないか相談するとよいでしょう。

また、いずれの治療法にもリスクや副作用があります。医師とよく相談したうえで決定し、医師の指示に従って治療を受けることが大切です。

*1 出典:難病情報センターHP

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日本脊椎関節炎学会理事長

山村昌弘 先生

この病気は早期に受診する事が重要です。痛みを緩和することができる病気なので、一人で悩まずに、専門の医師にご相談ください。