体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)は、早期発見・早期治療が重要な病気です。そのためには病気の兆候を見逃さず、早めに専門の診療科を受診することが大切です。
体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)の主な症状は関節の痛みやこわばりですが、関節以外にも全身症状が見られたり、皮膚や目、消化管など一見関係ないような場所に合併症が現れたりすることがあります。
診断の際には関節以外の症状も手がかりとなるため、脊椎関節炎を専門とする医師に受診する際は漏らさず伝えることが重要です。
体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)の特徴的な初期症状は、腰や骨盤、背中、首のこわばりや痛みです。肩関節や股関節、膝といった四肢の大きな関節のこわばりや痛みで発症することもあります。そのほか、胸骨と肋骨・鎖骨の接合部、かかとなどに痛みが出ることもあります。
関節症状の特徴は、安静時に痛みが強くなり、体を動かすと痛みが和らぐことです。痛みは3か月以上持続*し、時間が経つにつれて悪化していきます。重症化して強直が強くなってくると、背骨や首が前に曲がったまま固まってしまうこともあります。
体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)では、関節だけでなく全身にも症状が現れることがあります。
合併症を併発することで、皮膚の赤い発疹や目の赤み・痛み、下痢や腹痛などの多様な症状を引き起こすことがあります。そのほかにも、よく見られる全身症状として、体のだるさ、疲れやすさ、睡眠障害、微熱、体重減少などが挙げられます。また、罹患している期間が長くなると、骨粗しょう症や骨折を起こすこともあります。
代表的な合併症として以下のようなものが挙げられます。
乾癬は皮膚の病気で、銀白色の鱗屑(りんせつ:粉のようなもの)を伴う盛り上がった赤い発疹が全身に出るのが特徴です。強直性脊椎炎の患者さんの約10%*が乾癬を併発するといわれています。
目の虹彩や毛様体に起こる炎症を前部ぶどう膜炎といい、強直性脊椎炎患者さんの約4分の1*の方に見られる合併症です。なかでも、片側の目のみに生じ、かつ再発するぶどう膜炎は約半数*が脊椎関節炎に関連しているといわれています。
前部ぶどう膜炎を発症すると、目の痛みや頭痛、充血、飛蚊症(糸くずや蚊のようなものが飛んでいるように見えること)、眩しさ、かすみ、眼球の赤み、涙目などの症状が現れます。これらは突然発症し繰り返し起こることが多く、強直性脊椎炎に併発する際は通常片側の目にだけ起こります。白内障や緑内障の原因となることもあります。
炎症性腸疾患とは腸に炎症を起こす病気の総称です。代表的なものが潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とクローン病で、ともに難病に指定されています。強直性脊椎炎患者さんの約4%*が炎症性腸疾患を併発するといわれています。それぞれの特徴は以下のとおりです。
潰瘍性大腸炎は、大腸に以下のような症状が現れます。
・下痢
・腹痛
・血便
など
クローン病は口から肛門までの全ての消化管に症状が現れますが、特に小腸と大腸に症状が現れやすいことが特徴です。主な症状は以下のとおりです。
・下痢
・腹痛
・貧血
・体重減少
・発熱
など
体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)は単なる腰痛ではないため、専門の医師以外による診断が困難です。しかし、早期に発見し治療を開始できれば、進行を抑制することが期待できます。
関節以外でも、当てはまる症状は脊椎関節炎専門の医師に伝えるようにしましょう。また、適切な診断を受けるために、受診時にはこれまでの病歴や症状をしっかりと医師に伝えるようにしましょう。
体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)とは?
腰痛が長引くことに加え、動くとラクになる、夜間に痛みが強くなるなどの特徴がある場合、“強直性脊椎炎”や“X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎”の可能性を考えてみてもよいかもしれません。まずは病気の特徴を知り、自分に当てはまるかどうか考えてみましょう。
体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎/X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)の検査と治療
“強直性脊椎炎”や“X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎”の診断には、専門の診療科での検査が欠かせません。また、時間が経つほど悪化するため、早期に治療を開始することも大切です。事前に検査方法や治療方法を知っておくことでスムーズな受診が可能になるでしょう。