肺がん

高齢でも手術を受け回復した患者さん2例

最終更新日
2021年07月14日

順天堂大学医学部附属順天堂医院で、呼吸器外科教授を務める鈴木(すずき)健司(けんじ)先生に、肺がんの症例について伺いました。

高齢でも手術を受け回復した患者さん2例

1人目は80歳代後半の男性で、ステージIの肺がんが発見されました。普段は舞台に立たれている方だったこともあり、年齢を考慮してもとてもお元気な方でした。しかし、この患者さんはたばこを吸う方だったために放射線治療は適応とならず、手術が行われました。

2人目は90歳代男性で、こちらもステージIでした。この方は海外にお住まいの方でしたが、年齢が要因でほかの医療機関で手術を受けることが困難であったため、当院にいらっしゃいました。

患者さんとの信頼関係が大切

お2人とも手術は無事に終了し、再発することなく元気に過ごしていらっしゃいます。海外の患者さんは手術から何年か経った今でも、現地のおいしいコーヒーを持って来てくださいます。そのように、手術を行って元気にされている患者さんが会いに来てくださるのは大変嬉しく、自身の励みにもなっています。

患者さんが高齢であるなどの場合、ガイドライン上では手術は適応とならないことがあります。しかし当院ではそこを杓子定規に判断するのではなく、患者さんに合わせて治療を行うようにしています。

ただし、そのような標準から外れた治療を行うには技術はもちろん、患者さんとの信頼関係も重要です。患者さんと根気強く信頼関係を構築し、手術中の出血が少なく短時間で終えられるという当院の技術的な強みもあり、可能になった手術だと思います。

順天堂大学医学部附属順天堂医院

〒113-8431 東京都文京区本郷3丁目1-3 GoogleMapで見る

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順天堂大学医学部附属順天堂医院で、呼吸器外科教授を務める鈴木(すずき)健司(けんじ)先生に、肺がんの症例について伺いました。 話し合いを重ねて手術に踏み切った、ステージIIIBの患者さん この患者さんは60歳代男性で、来院された時にはステージIIIBの状態でした。すでに抗がん剤治療や放射線治療は難しい状態で手術治療をするほかなく、その旨を伝えたところ患者さんの後ろで首を横に振る奥様の姿が視界に入りました。それは、奥様が肺がんについて大変勉強されていて、ステージIIIBの肺がんに対する手術治療はリスクが高いことをご存知だったからです。 治療は、患者さんとご家族が納得されたうえで行うことが大切です。肺がんのガイドラインに従えば基本的にステージIIIBの患者さんは手術適応とはなりませんが、この患者さんを救える方法は手術治療ただ1つでした。患者さんや院内のスタッフ同士でも話し合いが行われ、最後には手術治療を受けることを決断されました。 ガイドラインを前提としつつも、それだけが全てではない 結果として、患者さんの手術は無事に終了しました。その患者さんは、手術治療が終わってから10年以上が経った今も元気に暮らしていらっしゃいます。 ガイドラインに則った治療は患者さんの治療を行ううえでの前提となるもので、1つの基準でもありますが、それだけが全てではないと思っています。もちろん、手術を安全に行うことが大前提ではありますが、そのなかでも患者さんを救うためにはどうしたらよいかを考え、患者さん一人ひとりに適した治療を提供すること。そのような大切なことを、この患者さんと接するなかで学ぶことができました。


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  • 6年間の薬物治療後に手術が行われた患者さん

    がん研有明病院で呼吸器外科部長を務める文敏景(むんみんぎょん)先生に、肺がんの症例について伺いました。 6年間の薬物治療後に手術が行われた患者さん こちらの患者さんは発見時すでに転移のあるステージIVの肺がんでした。そのため、最初の治療方針では手術治療の適応とはならず、薬物治療が行われることになりました。 しかし、薬物治療を6年継続したところ、手術ができる状態までがんが小さくなったため、手術治療が検討されることになりました。 薬物治療の効果で手術が可能となった こちらの患者さんの場合も、完全胸腔鏡下手術で肺の切除が行われました。低侵襲手術を行うと、開胸手術と比較して回復までの期間が短く済むため、次の治療にも早く移れるという特徴があります。こちらの患者さんの場合にも術後の経過がよく、今のところ再発がないため、経過観察を続けています。 肺がんでは薬物治療の飛躍的な進歩によって、薬物治療でがんが小さくなり、手術治療ができるようになるケースが増えてきています。このように治療によって手術ができるようになった患者さんに対する手術のことを“サルベージ手術”といいます。

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