肺がん
50年間タバコを吸っていた60代男性の肺がん
複十字病院 院長を務める大田 健先生、呼吸器センター長(内科)兼がんセンター長を務める吉森 浩三先生に、肺がんの症例についてお話を伺いました。
50年間タバコを吸っていた60代男性の肺がん
こちらの患者さんはもともとヘビースモーカーでおよそ50年間タバコを吸っていらっしゃるとのことでした。ある時から咳が止まらなくなり禁煙を始めたそうですが、半年経っても咳が治まらず、仰向けで眠れないほどの息苦しさや体重減少などの症状が現れて病院を受診したそうです。その後当院に紹介されCT検査を行ったところ、気管分岐部にがんが見つかり、これが息苦しさなどの原因になっていることが分かりました。
当院では、CTを撮ったその日に緊急で内視鏡治療を行い、気管分岐部にある腫瘍の一部分を焼き切ることによって気道の確保に努めました。しかしそれでも息苦しさの症状が続いていたため、さまざまな処置を行い、最終的に気管支に金属の筒(ステント)を入れることによって気管支を広げ、仰向けで寝ても息苦しくない状態にまで改善させました。
内科治療の進歩によって再発なく5年以上経過
診断の結果、こちらの患者さんは肺がんが進行しており、手術は難しいと判断されたことから、抗がん剤治療と放射線治療を併用する化学放射線療法を実施することになりました。化学療法では何度も点滴を行うため、血管を傷めてしまうことがあります。そこで、皮下にポートを挿入し、血管への負担がなくいつでも治療が行えるようにしました。
治療を数か月実施した後5年間の経過観察を続けましたが、幸い再発はなく、追加治療の必要はないと判断され、ポートを抜去して現在に至ります。こちらの患者さんは、当院で迅速な検査、処置、診断、治療を受けることができ、その結果よい経過をたどることができた例だと思っています。
関連の症例
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70歳代女性の肺がん
こちらの患者さんはもともと慢性胃炎や不眠の症状で近隣の内科を受診していたそうです。ある時から呼吸困難や血痰の症状がみられるようになり、X線やCTを撮影したところ肺がんが疑われ、当院にいらっしゃいました。受診された当初から呼吸の状態が悪く、調べてみると右の気管支がかなり狭窄(きょうさく)していました。右の肺は左の肺と比較すると心臓がない分大きく、右の肺の機能が落ちることは命に関わる可能性もあります。そこで当院ではすぐに呼吸器インターベンション治療を行い、右の気管支を広げて狭窄を防ぐためのステントを留置しました。 呼吸器インターベンションにより薬物治療・放射線治療が可能になった その後の診断で、こちらの患者さんは肺の扁平上皮がんであることが分かりました。呼吸器インターベンション治療を行うことによって呼吸の状態が改善されたため、ステントを入れた状態のまま抗がん剤による薬物治療や放射線治療を開始し、その後免疫治療を開始しました。免疫治療によってがんがかなり小さくなってきているため、今後様子を見てステントを抜去することを予定しています。こちらの患者さんのように治療初期から呼吸器インターベンション治療を行う方は比較的珍しいのですが、呼吸器インターベンションによって全身状態がよくなると、治療の選択肢が広がるケースもあります。
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多くの併存疾患を抱えたステージIIの患者さん
順天堂大学医学部附属順天堂医院で、呼吸器外科教授を務める鈴木すずき健司けんじ先生に、肺がんの症例について伺いました。 多くの併存疾患を抱えた患者さん この患者さんは70歳代後半の患者さんでステージはII、肺がんが発見された時にはすでに狭心症(きょうしんしょう)や脳梗塞(のうこうそく)を既往歴として持っており、かつ透析もされている状態でした。放射線治療の選択が取られる場合もあるなかで、この患者さんの場合には放射線肺臓炎の可能性があったため手術治療となりました。 透析をされている方の場合、時間が勝負です。手術中に体の老廃物がたまり続けるため、長時間の手術には耐えられません。通常4~5時間かかる手術を1時間ほどで済ませなければならないのです。 この患者さんに対しても手術治療を行い、結果は無事に終了。いくつかの病気を抱えていたために合併症などの可能性も懸念されていましたが、手術後の経過もよく合併症なく退院されました。合併症がある症例に強いというのは、総合病院ならではの特徴だと思います。
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