子宮頸がん
再発したが手術を行うことができた50代女性
倉敷成人病センター理事長の安藤正明先生に、子宮頸がんの症例について伺いました。
再発したが手術を行うことができた50代女性
ほかの病院で手術を受けた後再発し、当院にお越しになる患者さんもいます。こちらの患者さんはすでに子宮を全摘されていましたが再発してしまったため、もともと受診していた病院では放射線治療をすすめられたそうです。しかし、どうにか手術できないかと思い、当院を受診されたとおっしゃっていました。
倉敷成人病センターで手術を実施
幸いこちらの患者さんはリンパ節への転移がなかったため、当院で手術を行うことができました。すでに一度手術をしている方の場合、お腹の中が癒着していることがあります。そのため難しい手術となりましたがこの患者さんは術後の回復が早く、私が声をかけに病棟を訪れたらすでに退院されていて驚いたほどです。
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60代、膣全体にがんが広がった患者さん
倉敷成人病センター理事長の安藤正明あんどう まさあき先生に、子宮頸がんの症例について伺いました。 60代、膣全体にがんが広がった患者さん こちらの患者さんは受診時にはがんが膣全体に広がっており、IIIA期まで進行していました。通常なら手術適応とはならず、放射線治療や化学療法で様子を見る進行がんですが、当院では患者さんの希望もあって手術をしました。 ロボット支援下手術を活用して膣を含めて子宮を全摘 こちらの患者さんの場合、がんが子宮だけでなく膣全体に広がっていたため、広汎子宮全摘術とともに膣も併せて切除することになりました。膣を切除する際は、膣を膀胱や尿管、直腸と切り離して治療する必要があるため、非常に高度な技術が必要となります。そこで当院では、手術用ロボットを用いて膀胱や尿管、直腸をなるべく傷つけないよう治療を行いました。 当院の婦人科は、尿管子宮内膜症や再発がんに対し泌尿器科と連携して積極的に尿路の再建を行なっており、この時その技術が役に立ちました。ロボット支援下手術内で尿管を膀胱に植え直す処置も行いました。この処置を行うことによって術後の尿路合併症を回避することができました。このようなさまざまな工夫を行ったことにより、手術でがんを取り除くことができ、数年経った今も再発はしていません。
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20代で子宮頸がんを発症し、妊娠を希望されていた患者さん
倉敷成人病センター理事長の安藤正明(あんどう まさあき)先生に、子宮頸しきゅうけいがんの症例について伺いました。 20代で子宮頸がんを発症し、妊娠を希望されていた患者さん 20年前の話です。この患者さんは20代で子宮頸がんを発症し、診断の際にはIB1期まで進行していました。通常であれば迷うことなく広汎子宮全摘術となるところですが、子宮を全摘して妊娠を諦めたくないという希望がありました。 その当時、私たちはちょうど子宮を温存できる広汎子宮頸部摘出術を始めたばかりで、症例数も5件程度とまだまだ治療成績が分からない状態でした。患者さんの命にかかわることでもあるため、「命をかけてでも子宮を残しますか?」と質問。それでも患者さんの意思は固く、「それでも残したい、子どもがほしい」という言葉をいただいたため、広汎子宮頸部摘出術を行うことになりました。 広汎子宮頸部摘出術で子宮を温存 写真:倉敷成人病センター理事長 安藤正明先生 当時はロボット支援下手術もまだなく、腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)で広汎子宮頸部摘出術を行いました。その結果、手術は無事に終了。数年後に第一子をご出産された後、さらにその2年後に第二子も出産され、術後18年経つ現在に至るまで再発もなく元気に暮らしていらっしゃいます。 )
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