インタビュー

屈折矯正手術後の日常生活―手術後の再発・長期の合併症は?

屈折矯正手術後の日常生活―手術後の再発・長期の合併症は?
鈴木 雅信 先生

国際医療福祉大学三田病院  眼科学教授

鈴木 雅信 先生

この記事の最終更新は2015年12月06日です。

 エキシマレーザー手術や有水晶体眼内レンズ手術による屈折矯正手術は、手術が開始された当初からみれば、短時間で手術が行えるように進歩しています。また、手術を受けることによって生活の質が高くなったと感じる方も増えています。ただ、低減してはいるものの再発もみられますし、術後長期間経過した後に合併症を生じるケースも知られています。この記事では、国際医療福祉大学三田病院眼科教授・鈴木雅信先生に、屈折矯正手術後の日常生活や、再発や長期間経過した後の合併症について解説していただきます。

エキシマレーザー手術、有水晶体眼内レンズ手術ともに、入院を要しない手術となっています。LASIKやPRK、そして有水晶体眼内レンズ手術、いずれの手術も、両眼の手術を行う場合でもせいぜい30~40分程度しかかかりません。ただし、手術後の回復を確認するために手術後は1時間程度安静にしていただき、問題がないことを確認した後に帰宅していただく必要があります。

帰宅されたあとの日常生活ですが、通常手術当日の入浴は避けていただきます。2日目からは首から下のシャワーなどは問題ないとされるケースが多いですが、目に水が入る可能性が高い洗髪や洗顔は、主治医の許可が出るまでは控えるようにしていただくのが一般的です。

また、エキシマレーザー手術・有水晶体眼内レンズ手術ともに裸眼で視力が出るようにするための手術ですが、主治医の許可が出るまでは車の運転は控えていただきます。多くの場合、手術後1週間目の診察で問題がなければ、洗顔や洗髪・車の運転については普段通り行っていただけるようになります。

目に負担がかかるテレビなどの鑑賞やパソコンの操作などは、手術当日は控えていただかなければなりません。さらに事務的な仕事については、術後の翌日も経過を確認するための診察がありますので、手術当日と翌日のお仕事は控えていただき、経過や仕事の再開について主治医と相談された上で復職されたほうがよいでしょう。

また、農業・酪農・その他の肉体労働などの目に細菌が入りやすい作業については、1ヶ月以上様子を見ていただくことも珍しくありません。

同様に、ジョギングなどの軽い運動は、術後1週間程度で再開しても問題がないケースが多いですが、水泳など眼を直接水につける運動などの再開には、術後1ヶ月程度の時間が必要となるケースがほとんどです。

手術後は、合併症などの確認のために定期的に検診を受けていただく必要があります。主治医の判断にもよりますが、手術翌日、1週間後、1か月後、3か月後、6か月後というように、徐々に期間を空けて検診を行うのが一般的です。

LASIKやPRKについては、わずかながらではありますが、手術後6ヶ月または1年以上経過した後に近視遠視乱視が再発してしまう方もいます。これは、角膜修復の個人差によって矯正した屈折が変動してしまい、焦点が合わなくなってしまうためです(手術前の近視の程度が強いほど出現する可能性が高くなりますが、この場合でも再手術で視力が得られることがわかっています)。

有水晶体眼内レンズ手術については、眼内に埋め込むレンズが生体に親和性の高い物質で作られています。そのため、基本的に視力が得られていれば、再手術を行ってレンズを定期的に交換する手術を行う必要はありません。

また、有水晶体眼内レンズ手術を受けられた方において、一定の時間が経過した後に水晶体の混濁(白内障)が生じる場合があります。ただし、レンズの中央に穴をあけて房水の流れをよくするよう改良したHole-ICL(穴あきICL)が開発されてからは、現在までに手術によって白内障が生じた方はほとんど報告されていません。

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