インタビュー

もやもや病の症状とは 発作のタイプと合併症

もやもや病の症状とは 発作のタイプと合併症
吉村 紳一 先生

兵庫医科大学 脳神経外科 主任教授/診療部長/脳卒中センター長

吉村 紳一 先生

この記事の最終更新は2016年02月20日です。

発症すれば脳梗塞脳出血に至ることもあり、場合によっては命取りにもなりかねない「もやもや病」。子どもと大人では症状や合併症の典型例に違いがみられます。具体的な症状や合併症などについて兵庫医科大学脳神経外科主任教授の吉村紳一先生にお話を伺いました。

もやもや病の症状は無症状から一時的な神経症状、永久的な麻痺や言語障害などの後遺症まで多岐にわたります。主な発症のタイプが2つあります。

・脳の血流が不足して起こる「脳虚血型」

・血管が破れて起こる「脳出血型」

好発年齢(発症が多く見られる年齢)のピークは、約10歳までの小児と40歳前後の成人に分かれています。小児では脳虚血発作が多く、成人では脳虚血発作と脳出血が半々の割合で起こります。最近では成人の場合、脳ドッグなどで偶然発見される例も増えています。

子どもの症状で多いのが一過性の脳虚血発作です。吹奏楽器を吹く、熱い麺類を「フーフー」と吹いて冷ますなど、短時間に大きく深い呼吸を繰り返したときなどに、脱力発作・痙攣発作・失神などを起こします。症状は数分から数十分でもどることが多いのですが、脳梗塞になってしまうと症状が戻らないのが特徴です。

毎朝寝起きに頭痛を訴える場合も、もやもや病が疑われます。吐き気や嘔吐を伴うような激しい頭痛を繰り返すときなどは特に注意が必要です。

小児の場合と同じく、一過性脳虚血発作や脳梗塞で発症する場合があります。しかし大人の場合、過呼吸での発症は子どもほど多くありません。突然お箸を落としたり、言葉が出にくいなどの症状があるときは発作かもしれません。すぐに症状が元に戻った場合(TIA)には放置されることが多いのですが、脳梗塞の前触れの可能性もあるので、早期に病院を受診してください。

成人の発作の半数を占めるのが脳出血です。突然の激しい頭痛・意識障害などが起きた時は脳出血が起きている可能性が高いですので、すぐに救急車を呼んで、一刻も早く専門の医療機関を受診してください。

※TIA(transient ischemic attack)

脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内(多くは数分から数十分)に完全に消える症状

前述の通り子どもで発症する場合に多いのが一過性の脳虚血発作ですが、多くの場合は数十分ほどで回復します。しかし脳梗塞を起こして麻痺や言語障害などの後遺症を来すことがあるので注意が必要です。

成人は脳梗塞と脳出血のどちらも起こりえますが、発作を繰り返すことで、麻痺や言語障害だけでなく、高次脳機能障害を起こすことがあります。

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