編集部記事

舌にできる口内炎の原因〜注意の必要な症状とは?〜

舌にできる口内炎の原因〜注意の必要な症状とは?〜
戸原 玄 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...

戸原 玄 先生

山口 浩平 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...

山口 浩平 先生

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口内炎は多くの方が経験したことのある身近な疾患のひとつですが、その症状は程度の軽いものから重いものまで様々であり、ときには舌にできることもあります。

「舌先にできた口内炎がしみて痛い」「舌にできた口内炎が薬を使ってもなかなか治らない」「舌に口内炎によく似た白い斑点があるけれど、痛みがない」といった場合、どうすればよいのでしょうか。

この記事では、舌にできる口内炎の原因や治療法、口内炎に似た見逃せない病気についてお伝えします。

口内炎は口の中の粘膜に炎症が生じる疾患の総称です。

特に、舌にできる口内炎は“舌炎”と呼ばれ、舌の裏側や付け根、歯と接する舌の側面など舌のどこにでもできることがあります。

鏡で見える範囲の口内炎は確認しやすいですが、舌の付け根やその周辺に口内炎ができたときには自分自身では確認が難しく、飲食物を飲み込んだときに喉に痛みを感じて気づくこともあるようです。

舌にできる口内炎には、原因として次のようなことが考えられます。

虫歯によって歯に穴が空いたり、歯に気になる部分があったりすると、つい気になって舌で触ってしまうことがあるのではないでしょうか。

しかし、それが舌への慢性的な刺激となり、口内炎を引き起こす原因となることがあります。

また、義歯が歯茎に強く当たる、義歯の(とこ)(ぶち)(端の部分)がとがっているなどで、舌や歯肉を傷つけてしまうと、これも口内炎を起こす原因のひとつとなります。

歯に気になる場所がある、歯が痛い、義歯が合わない気がするといった場合には、歯の治療や義歯の調整が必要かどうか、早めに歯科で相談することを検討してみましょう。

そのような症状がない場合でも、細菌が繁殖しやすい不衛生な状態では口内炎ができやすくなってしまうことも知られています。そのため、歯磨きやうがい、定期的な歯科でのクリーニングなどを習慣づけ、口の中をいつも清潔に保つようにするとよいでしょう。

皮膚や粘膜の状態を正常に保つはたらきがあるビタミンB群(とくにビタミンB、B)やビタミンCの不足は、口内炎の原因の一つと考えられています。

ビタミンB群のなかでも、ビタミンB2はサケや豚肉、海苔などに、ビタミンB6はマグロや抹茶、ニンニク、唐辛子などに含まれています。また、ビタミンCは柑橘系の果物に豊富に含まれています。

ビタミンB群やビタミンCが不足しないよう、食生活の見直しや改善をしてバランスのよい食事を摂るよう心がけてみるのも方法のひとつです。

睡眠不足や疲労などで生活習慣の乱れが続くと、身体にはストレスが加わります。

このストレスは免疫力の低下を引き起こすこともあると考えられているため、舌の小さな傷でも炎症を起こし、口内炎になりやすくなる可能性があります。

睡眠不足や疲労が原因であれば、規則正しい生活を心がけ、適度に休息を取るようにするとよいでしょう。それが難しい場合でも、ストレスを溜め込まずに自分なりのストレス解消法を見つけることも対処法のひとつです。

口の中の病気の診断・検査・治療は、主に一般歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科などで行われます。舌の口内炎が気になる場合は、これらの診療科で診てもらうとよいでしょう。

また、以下のような症状や状態がみられるときには、早めの受診を検討しましょう。口内炎とは別の病気である可能性があります。

  • 2週間経っても炎症が引かない、傷が治らない
  • 粘膜がただれたようになっているところや、赤い斑点が見られる
  • 口内炎のように見える白い斑点があるが、こすっても取れない
  • 口内炎とその周辺との境界線がはっきりとわからない、腫れやしこりがある

舌にできた口内炎は、程度によっては市販薬で改善を試みることが可能な場合もあります。

ただし、市販薬を使用する際には、必ず添付されている説明書をよく読み、正しく使用しましょう。また、適した薬がわからない場合や、使い方に不安がある場合には、薬剤師に相談して購入するようにしましょう。

また、市販薬を使用しても改善しない場合には、医療機関への受診を検討しましょう。

以下に代表的な口内炎の市販薬の効果的な使い方についてお伝えします。

歯磨きやうがいなどで口の中を清潔にした後、口内炎のある部分やその周辺にガーゼなどを軽くあて、余分な唾液(だえき)や水分を取ります。

パッチの貼り付け面を下にして口内炎がある場所を覆うように貼り、上から指でしっかりと押さえます。うまく貼れるように鏡を見ながら行うのもポイントです。

パッチを貼り付けた後、数分間は剥がれやすいため飲食はなるべく控え、できれば食後や就寝前に使用するとよいでしょう。

こちらもパッチと同様に歯磨きなどで口の中を清潔にした後、口内炎がある場所を覆う程度の薬を塗ります。薬を塗る前にガーゼなどで口内炎のある部分やその周辺を優しく押さえ、余分な唾液を取っておくと塗りやすいでしょう。薬を塗る際は手をきれいに洗い、清潔な綿棒などを使用して口内炎に雑菌が入り込まないように塗るのがポイントです。

また、塗った薬がはがれ落ちないように、薬を塗った部分を舌で触ったり、食べたり飲んだりすることを控え、薬を塗るタイミングはこちらも食後や就寝前がよいでしょう。

口内炎は痛みのほかに水疱、ただれ、潰瘍といった症状がありますが、それに似た症状を起こす病気に、舌がんという口腔がんの一種があります。舌がんの他にも、自分では口内炎だと思っていても、実は似ている他の病気だった、ということもあります。口内炎と舌がんは見た目が似ている場合も多いため、いつまでも治らない場合には他の病気の可能性を考えてみる必要があります。

舌は自分でも簡単に見ることのできる部位であるため、自身で異変に気づくことが多く、口腔がんのなかでも舌がんは比較的発見しやすいがんです。

しかし、初期の舌がんの場合、口内炎と見分けがつかないケースが多くあります。口内炎であれば、一般的には長くても2週間ほどで治りますが、ずっと治らない場合や、次のような症状がみられる場合には、舌がんもしくはその他の病気の可能性があります。

口の中が全体に白い場合には、カンジダ性口内炎(口腔カンジダ症)というカンジダ(カビの一種)によって起こる病気の可能性も考えられます。

カンジダは細菌ではなくカビ(真菌)であるため、抗菌薬ではなく抗真菌薬を用いて対処します。

症状としては、舌以外にも口の中全体が白っぽい膜に覆われており、こすると膜がはがれ赤い腫れがみられる、味覚障害が生じるなどです。

このような症状に当てはまる場合には、早めに医療機関を受診することを検討するとよいでしょう。

口内炎といえば、ピリッとした痛みやしみるような痛みが特徴的ですが、舌がんの場合は痛みを伴わないケースもあります。

加えて舌が動かしづらい、しびれがある、硬いしこりなどがある場合には詳しい検査が必要な場合もあります。早期に医療機関への受診を検討するとよいでしょう。

舌の口内炎と似ているものに、放置しておくと舌がんに進行する恐れがある“白板症(はくばんしょう)”という病気があります。

この白板症の症状としては、口内炎のある部分が白くなり分厚く盛り上がっている、しこりが見られる、白い部分をこすっても剥がれないなどがあります。

白板症のような症状がある場合には、早めに医療機関受診することを検討しましょう。

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  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長

    戸原 玄 先生

  • 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 講師

    山口 浩平 先生

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